ワイモバイルのガラホに乗り換え

12月 23rd, 2017

PHSの終わりと、ワイモバイル国内通話ずっと無料キャンペーン

http://blog.lawfield.com/?p=418

を書いたところ、周囲から反響があった。

私がガラホに乗り換えたあとで、余ったPHSの中古端末を貸してほしい、自分もワイモバイルのキャンペーンで乗り換えたい、というのである。

私もようやくこのたび、ワイモバイルのPHSから、ワイモバイルのガラホ 京セラ DIGNOケータイ2 702KC に乗り換えた。

http://www.ymobile.jp/lineup/702kc/
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/lineup/702kc/

このようなニッチなサービスやガラホ端末をレビューする人などほとんどいないと思われるので、レビューしてみたいと思う。

今回の乗り換えは、仕事でカケホーダイで使っていたPHS回線の乗り換えである。

ケータイ・スマホに契約変更で、国内通話ずーっと無料キャンペーン
http://www.ymobile.jp/cp/tsuwamuryo/index.html?ref=toppick

という大変お得なキャンペーンを使っての乗り換えである。

このキャンペーン、先日まで、2018年1月14日で終了する、とワイモバイルはアナウンスしていたが、撤回して、終了時期未定、と変更された。

といっても、PHSの新規契約は、2018年3月31日で一切受付が停止になる。ちなみに、機種が故障しても、機種の交換も、中古機種への入替も不可となるので、現行PHSユーザー以外には4月以降は関係のない話となる。

この恐ろしくオトクなカケホーダイケータイへの乗り換えキャンペーンに乗りたければ、3月までにPHS中古端末をショップに持ち込んでMNPなり新規なりでPHS回線を契約し、その翌日にでもガラホに乗り換えることをお勧めする。

このキャンペーンがどれくらいお得かと言うと、通話専用ケータイとして持つなら、2年間月額1332円、2年後は月額1008円で、他社含めて時間無制限のかけ放題(スーパー誰とでも定額)が無料で含まれている。

2台持ちにはなるものの、おそろしく格安である。会社のスタッフ用に仕事用ケータイとして持たせるにはピッタリであろう。

但しパケット通信をつけると微妙感はただよう。

パケット通信をつけると、300円からスタートし、わずか110MB使っただけで4500円まで到達し、そこで定額となる。2.5GBまで使った時点で、低速制限(128KBPS)がかかる。

使うにしても、せいぜいメールのみであろう。Webをみるのは勧められない。

なお、メール受信設定で、「差出人+件名+本文」にすると添付ファイルを受信しない。あるいは「300KB以内のメールしか受け取らない」という設定にすることもできる。

PHSからの移行時にメールアドレスはいったん変更されるが、「My Y!mobile」のサイトで以前のメールアドレスに戻せる。

私の場合は、2台持ちが前提なので、パケット通信をわざわざつける理由があまりないので、メールはスマホのgmailに移行して、ガラホのパケット通信は基本使わないことにした。

といっても、最近はgmailよりFacebookなどSNSのメールがポピュラーになってきてしまっているので、ますますケータイのキャリアのメールアドレスの出番は少なくなってきている感が強い。

さて、通話専用ケータイだからできることではあるが、パケット通信機能やWIFI機能をオンしていると電磁波を余分に発生させるので、データ通信そのものをオフにしてしまうと、耳鳴り防止の通話専用端末としてはたいへんよい割り切りとなる。

さらにいえば、設定画面の「モバイルネットワーク」中に、4G/3G/GSMの選択画面があり、そこで、海外電波のGSMや、高速通信のための4Gを外して3Gだけ受信するようにしてしまえば、さらに電磁波の発生量は下がる。

ソフトバンク電波のエリアは3Gのほうがまだまだ広いので通話は3Gのみでほぼ間に合う。

(ただし音質はVoLTE対応の4Gのほうが相手の端末次第ではあるがよいだろう。)

電波の種類を限定しておけばその分もちろん電池の持ちもよくなる。

設定メニューの「エコ・電池」中に、「バッテリーケアモード」というのがあり、オンにしておくと、満充電までいかず85パーセントで充電を止めてくれる。

満充電で1週間以上電池が持つので、バッテリーケアモードにしておくことがお勧めである。

さて、京セラケータイのよさである。

なにしろ、最近の京セラのケータイというのは、本当に丈夫である。壊れない。

スマホでも丈夫さがうりの端末が多い。

ガラケーは、ガラケーそのものがスマホより格段に丈夫である。

PHSの最終機種となった、402KCも、持っていた6台が全く故障しなかった。

このDIGNOケータイ2 702KCも、IPX5/IPX8の防水、IP5Xの防塵性能を持っていて、さらに頑丈さを増している。

スマホでは期待できないレベルの丈夫さである。

通話専用ケータイというのはあらっぽく使うことが多い。小雨の中話すこともあるし、土の上やコンクリートの上に落とすこともある。

やわなスマホでは困るのである。

なお、DIGNOケータイ2になって、Wifiにも対応することになった。

シャープのAQUOSケータイ2は既にWifi対応なので、この点はようやく追いついたことになる。

テザリング環境下や、Wifiルータ下では、通話専用ケータイであっても、データ通信をオフにしていても、ブラウジングもできてしまう。実際やってみると、なかなか速くて快適である。

なお、初期画面上のショートカットキーが3つ(LINEやYahoo地図など)並んでいて、うざったいが、「設定→その他の設定→カスタマイズキー」で消すことができる。

Android端末なので、モバイルデータ通信をオフにして通話専用ケータイにすることができる。

但し、設定は、「設定→無線・ネットワーク→データ使用量→モバイルデータ をオフ」である。少し変わっていてわかりにくかった。

結論として、必要にして十分以上で、満足である。

 

携帯電話のブラック情報(3) 犯罪利用された契約情報

12月 7th, 2017

このブログでは、以前に、

携帯電話のブラック情報(1)電話料金の不払
http://blog.lawfield.com/?p=333
携帯電話のブラック情報(2)端末料金の不払
http://blog.lawfield.com/?p=335

を紹介した。

実は、もうひとつ、携帯電話のブラック情報というのがある。

3つめのブラック情報は、犯罪利用された携帯電話の契約者情報である。

ソフトバンクのサイトであるが、

携帯電話・PHSのサービスを提供する事業者間での携帯電話不正利用防止法」に基づく利用停止情報の交換について 2009年2月2日

https://www.softbank.jp/mobile/info/personal/news/support/090202/
平素よりソフトバンク携帯電話サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。2009年3月以降に、「携帯電話不正利用防止法」の規定に基づき、警察から本人確認の求めのあった回線について、本人確認に応じていただけずに利用停止措置を受けたお客さま(特別利用停止者)の情報を、携帯電話・PHSサービスを提供する事業者間で交換します。
その情報は契約申し込み受付時の加入審査に活用しますので、該当するお客さまは、お申し込みをお受けできないことがあります。
何卒ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

とある。

ある意味、究極のブラック情報である。

携帯電話不正利用防止法(正式な法律名称:携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/050526_1.files/Page377.html

に違反して利用停止された電話回線の契約者情報は、携帯電話会社の事業者間で交換されている。この情報交換は、おそらくNTTドコモ・au・ソフトバンク(ワイモバイルブランド含む)の三大キャリア間のものである。

電気通信事業者協会のWebサイトにはこの情報交換の情報は載っていないので、MVNOまでは情報交換されていないのであろう。

しかし、実際には音声通話SIMの場合は、MVNOで契約する場合も、三大キャリアのリセールであるから、三大キャリアの審査を受ける。その時点で、ブラック情報に該当すると、審査で跳ねられてしまうことになる。

携帯電話不正利用防止法は、詐欺・恐喝・薬物犯罪・売春防止法・出資法の高金利罪などの、犯罪に利用した疑いがあるとして警察署長が本人確認の求めを電話会社に行い、本人確認に応じない携帯電話契約を利用停止してしまうということを実現した法制度である。
偽造免許証などでの契約もあれば、多重債務者がヤミ金に言われて携帯電話を作って売ったりしている場合もある。

安易に他人に携帯電話を渡したりすれば、それが特殊詐欺やヤミ金などに使われてしまうと、このブラック情報(3)に登録されてしまうと、個人情報保護法でも消せる根拠はおよそ存在しない。

「人の生命・身体・財産の保護のため(かつ本人の同意を得ることが困難)」な個人情報については、個人情報保護法の例外事由として、第三者提供も可能、収集に本人の同意も不要、開示請求も訂正・追加・削除の請求も不可能、である。

盗用免許証が利用された場合については、携帯電話会社に、面倒でも適宜の方法で請求すれば、削除には事実上応じてもらえるとは思われるが、軽率に他人に携帯電話端末を渡ししてしまったという場合に、そんな軽率な利用者が再度他人に携帯電話を渡す可能性は否定できないことから、ブラック情報を抹消する必然性は携帯電話会社には無いように思われるので、抹消に応じてもらえない可能性は高い。

一生もののキズになりかねないので、ある意味究極のブラック情報というべきものである。

NHK受信料最高裁判決の衝撃

12月 7th, 2017

最高裁判所大法廷平成29年12月6日判決(受信契約締結承諾等請求事件)が、NHKの全面勝訴という結果で確定することとなった。

その結果はまさしく衝撃的な内容である。

何十年間未払いという人が、仮にNHKから訴訟を起こされ、判決が確定するところまで行ってしまえば、時効主張が全く認められないで敗訴してしまう、というものである。

つまり受信機を設置した日以降は、たとえ何十年分であっても、民法上5年で時効消滅したと主張することができない。

最高裁判決の全文は、pdfで以下の裁判所のサイトで読むことができる。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87281

特に重要なのは、判決文中、3か所である。

 

上記条項を含む受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生するというべきである。

 

受信料は,受信設備設置者から広く公平に徴収されるべきものであるところ,同じ時期に受信設備を設置しながら,放送法64条1項に従い設置後速やかに受信契約を締結した者と,その締結を遅延した者との間で,支払うべき受信料の範囲に差異が生ずるのは公平とはいえないから,受信契約の成立によって受信設備の設置の月からの受信料債権が生ずるものとする上記条項は,受信設備設置者間の公平を図る上で必要かつ合理的であり,放送法の目的に沿うものといえる。
したがって,上記条項を含む受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生するというべきである。

 

受信設備を設置しながら受信料を支払っていない者のうち,受信契約を締結している者については受信料債権が時効消滅する余地があり,受信契約を締結していない者についてはその余地がないということになるのは,不均衡であるようにも見える。しかし,通常は,受信設備設置者が原告に対し受信設備を設置した旨を通知しない限り,原告が受信設備設置者の存在を速やかに把握することは困難であると考えられ,他方,受信設備設置者は放送法64条1項により受信契約を締結する義務を負うのであるから,受信契約を締結していない者について,これを締結した者と異なり,受信料債権が時効消滅する余地がないのもやむを得ないというべきである。
したがって,受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(受信契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は,受信契約成立時から進行するものと解するのが相当である。

 

さて、もしこの裁判所の判例検索サイトのアクセス数を検証したら、史上最大のアクセス数をこの数日に記録することになるのではないかと思われる。

なにしろ、NHK受信料の推計世帯支払率は、平成28年度末で78.2パーセント(前年比1.3ポイント増)。テレビがあって契約しなければいけない推計4621万世帯のうち3612万世帯しか契約をしていないので、1000万世帯以上、2割強の世帯は契約をしていないままテレビを見ていることになる。

平成28年度 NHK受信料の推計世帯支払率

http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20170523.pdf

問題はさらにあって、ホテルなど各部屋にテレビがある宿泊施設である。

宿泊施設は1部屋1契約が必要となる。

ホテルの回転率、空き室率などは考慮してくれない。

まあ確かに住民でも毎日テレビを見ているわけではないとはいえる。

ただ、この論点については、別の裁判が係争中のようであり、最高裁での結論は出ていない。

が、なんとなく流れとしては宿泊施設側に厳しそうである。

2017年3月29日には東京地方裁判所の判決で、東横インに対し、過去最高の計約19億3千万円の支払いが命じられた。
http://www.sankei.com/affairs/news/170329/afr1703290030-n1.html

以下はNHKのコメント。
https://pid.nhk.or.jp/pid99/osk/000000/000001820.pdf

ついでであるが、今回の最高裁判決を受けたNHKのコメントがこれである。

https://pid.nhk.or.jp/pid99/osk/000000/000042197.pdf

なにより衝撃を受けておられると思われる層は、NHKの受信料の徴収員の来訪に対して長年、「うちは払わない」と言って、拒否し続けていたような世帯や、事業所と思われる。

この最高裁判決で、もしNHKが強気になれば、悪質な契約拒否者として把握している世帯から、重点的に、過去のテレビ設置時にさかのぼって支払いを求めてきて、「不満でしたら裁判を起こしますよ」と言ってくることは、十分ありうる。

残念ながら、弁護士が交渉しようにも法的な抗弁は立たない、下手をすればやぶ蛇、というのが、この最高裁判決後の状況判断になる。

さて、では、この最高裁判決を受けて、これまで未契約だったが自分からさらっとNHKを契約する人はどうなるであろうか。

最高裁判決によれば、「消滅時効は、NHKとの受信契約時から進行する」、ということなので、テレビを買い直すなどして、家電店でそしらぬ顔でNHKと契約をしてその月から払い始め、5年間NHKから何事も請求なく過ごせば、それで過去の分は一応時効消滅するだろう、という理屈になる。

でも契約しても一安心ではなくて、契約から5年以内なら、NHKとしては過去にさかのぼった全額が請求可能であり、「あの人は開き直っていた、徴収員を困らせていた、悪質だったから、今さら素知らぬ顔をしてもだめですよ、遡って請求します」ということはありうる。

今回の最高裁判決を読んでみて、現判決が維持されているだけであるから、ある程度予測はついた内容である。

NHK受信料が放送法により発生する特殊な債権であることから、放送法の規定ぶりにしたがって法律を論理的に順に当てはめていけば、判決で命じられてしまうと時効消滅の主張が認められないという結論になるという論理は、確かに形式論理の積み上げとしてはそういわれればそうなる、ということになる。

ただ、それを感覚的に首肯できるかというと、普通の契約上の債権債務の時効消滅と異質な法的論理の過程をたどっているので、かなり違和感がある。

浮世からいささか遠い最高裁判所の裁判官といえ、違和感がないはずはないだろう。

最高裁判所が、あえて、契約未了のNHK受信料債権については、時効消滅をさせない、という判断に至ったポイントは、速やかに受信契約をした者とそれを遅延した者との間で差が出るのはやむを得ない、という価値判断であろう。

最高裁判所として、全世帯の2割に対して、そう言い切るのは、ある意味、勇気が要っただろう、と思うが、最高裁大法廷の15人の裁判官中、反対したのは一人だけで、14人は賛成しているから、ほぼ不動の結論だったと思われる。

これでNHKが強気になったら、世の中が荒れるな、という嫌な予感はするところである。

NHKとしては、今回の最高裁判決は、さすがに勝ちすぎである。

勝って驕らず、と言う言葉がある。

弁護士として、自戒を持って身に染みる言葉である。

NHKのコメントは上記のとおり、一応謙虚なものである。

NHKも、そのあたりのバランスを取って、徴収率アップを図らないと、さすがに全国民の2割をまるごと敵に回してしまうと、NHKどころか、総務省や政府全体までが炎上してしまいかねないと思われるところである。

裁判所であったり法曹というのは、むやみに世間の目を気にして流されることなく超然と理に従って公正に判断するという素養が染みついてしまっているが、政府や政治家としては、そうもいかないだろう。

政治の世界の論理は、世間の目を気にして流される声が大きくなりがちな空間にあり、法律家の世界とは寄って立つ基盤が違っているからである。

なおNHK受信料は、全世帯が払わなければいけないわけではない。

免除制度(生活保護等公的扶助受給者、障害者の方の一部など)
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/taikei-henkou.html

別居する家族割引・別宅割引
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/FamilyPlanPostExp.do

事業所割引
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/jigyousyo-waribiki.html

などもある。免除や割引申請できるのに忘れている方がいるかもしれないので、ご一読をお勧めする。

PHSの終わりと、ワイモバイル国内通話ずっと無料キャンペーン

10月 2nd, 2017

PHSの新規契約は、ついに、来年2018年3月31日で一切受付が停止になる。ちなみに、機種が故障しても、機種の交換も、中古機種への入替も不可となる。

といっても、そもそも、1年くらい前から、PHSはほとんどの機種で新品での販売は停止されており、契約をしようと思えば、中古機種をオークションサイトなどで購入して、持込して、機種変更・新規契約をするしかない状態だった。

私も、スタッフ用のPHS電話機の交換は、そうして調達するしかない状態だった。

逆に言えば、そういう意味では、今でも、PHSの新規契約も、MNPによる転入も、PHSの実機さえあれば、しようと思えばできるのである。

今さらPHSの契約をするような人はまずいないわけであるが、実は、まったく意味が無いわけではない。

実は、2017年8月1日から2018年1月14日まで、ワイモバイルの「スーパー誰とでも定額」ユーザー向けの、4G回線(ガラホ・スマホ)乗り換えキャンペーンが実施されている。

これが、とんでもなくオトクなキャンペーンなのである。

ケータイ・スマホに契約変更で、国内通話ずーっと無料キャンペーン
http://www.ymobile.jp/cp/tsuwamuryo/index.html?ref=toppick

なんと、次回機種変更まで、スーパー誰とでも定額月1000円が無料(基本料金だけでよい)というものである。ガラホ(メール・Webオプションを解除してしまう)であれば、なんと、機種代金込みで、基本料金のみの月980円+税の月額料金で、他社携帯・固定まで掛け放題となる。

これは電話のカケホーダイを重宝して使っている人間にとっては、おどろくほど有利な条件である。ドコモ・ソフトバンク・AUの掛け放題は、同じ条件なら月2500円はするからである。

PHSのスーパー誰とでも定額が、メール・Web付きで1500円で他社掛け放題だから、ガラホ通話のみ980円より、PHSの方がオトクでもある。

あるいはメール・Webはスマホで別に足りるという人には、基本料金込み980円だからPHSのスーパー誰誰とでも定額よりさらにオトクになるのである。

また、ドコモ・ソフトバンク・AUのユーザーでも、今からでもPHSにMNPをして、ただちにワイモバイル(ソフトバンク電波)の4G回線に乗り換えることで、月980円の掛け放題のガラホを持つことができる。

ただし、PHSにMNPしようと思えば、PHSの端末を持ち込まないと、ショップは受け付けてくれない。つまり、必ずPHSの中古端末が必要なのである。

ワイモバイルにこんな持ち込みによるMNPを今からしても、このずっと無料キャンペーンは適用されるとのことである。

そして、一旦契約すれば、機種変更をしない限り、ずっと980円で4G回線の他社掛け放題が使える。

さすがに、4G回線がなくなってしまうような遠い将来には、使えなくなるだろうとは思うけれど。

但し、この乗り換えキャンペーンにはいくつか注意点がある。

掛け放題契約には2年縛りがある。2年目以外の月での解約は9500円の違約金。これはドコモ・ソフトバンク・AUの掛け放題と同等である。PHSの副回線(縛りなし)ほど有利ではないが、さすがにもはや比較しても意味が無い。

次に、一旦乗り換えれば、名義変更できない。つまり他人への契約譲渡はできない。契約譲渡をすると掛け放題は月2500円に跳ね上がる。

また、機種変更すると月2500円に跳ね上がる。だからショップでの「機種変更」は禁忌である。

それではガラホが壊れたときに困る、というかもしれない。

しかし、これは容易に解決可能である。

もし端末が壊れれば、中古でワイモバイルのガラホを買えば、そのままSIMを差し替えて使える。

SIMフリーのガラホも、各種新品が販売されている状況である。

だから、壊れてもワイモバイルショップに行って機種変更する必要が無い。

そもそもワイモバイルのガラホのSIMは、ソフトバンク電波の4Gであり、4GスマホのSIMと変わらない。

現状では、ガラホのnano SIMを、SIMフリースマホに挿してしまえば、普通に通話専用端末として使える。

これは、ネット情報でも、ワイモバイルショップでも、可能ですといっている。

つまり、2台持ちにして、ワイモバイルの掛け放題ガラホ(月980円)のほかに、もう一台データ通信専用の格安スマホを持てばよいのである。

2台持ちは嫌だという人は、スマホ1台で済ませる応用テクニックとして、例えば、SIM二枚挿し・2枚待ち受けができるスマホに挿せば、データ通信はもう一枚の格安SIMで行えば済むということになる。合計で2000円程度で掛け放題スマホ環境の運用ができることになる。

こうやってみると、なかなか、驚きの超お得なキャンペーンである。

このキャンペーンは法人でも個人でも契約可能だそうである。

私は、スタッフ用に携帯電話を複数台契約しているが、このキャンペーンでさすがにPHSからガラホに乗り換えようと決断した。

PHSは電磁波がスマホの何十分の1と格段に低く、耳鳴り予防によいので、ずいぶん重宝してお世話になったものだが、とうとうお別れである。

これからは、bluetooth ヘッドセットなどで電磁波対策をするしかなさそうである。

ガラホは、電磁波量はスマホよりは少し低いくらいで、それは不満であるが、電池の持ちがガラケー並みによいし、なによりエリアが拡がるので、まあ、乗り換えもやむを得ないとは思っている。

それにしても、ガラホに乗り換えたあと、契約が消滅したPHSの中古端末が、手許に何台も余ってしまうことになる。

ドコモ・ソフトバンク・AUの契約の人も、一旦ワイモバイルのPHSにMNPして、さらにガラホに乗り換えれば月980円掛け放題になるので、知人に希望する人があれば、融通してあげようかと思っているところである。

しかしあまりにニッチなやり方なので、誰もやりたがらないだろう。

そもそも掛け放題自体の需要が、若い世代では壊滅的になくなっている。

そもそも世の中の人はほとんどこんなオトク情報は知らない。

若い人には掛け放題など興味がない。

ワイモバイルがいくらPHSをてこ入れしても、掛け放題の需要自体がニッチとなってしまっていたために、退潮傾向を止められなかったのである。

現在も数百万回線という単位で生き残っているPHS契約者は、基本的に、話すことが多い人のはずであるから、こういうキャンペーンが成立するのである。

ガラホといっても、若い人から見れば、なにそれ、である。

しかし、年配層は、電話するには、ガラケー、ガラホの方がかけやすい、便利だ、スマホはすぐ間違い電話をかけてしまうから嫌だ、という人が今も相当数存在する。

未だにPHSから移行しない根強い既存ユーザーの存在は、今もレガシーなガラケーを好む年配層の存在と無縁では無い。

PHSのエリアは昔と比べると格段に広いため、ほとんど不自由はしないのだが、今でも山間部では電波が入らないところがあるので、エリアが狭くてダメだという昔ながらの先入観は否定しがたいものがあり、到頭それを克服できなかった。

今回のオトクなキャンペーンは、ひっそりと終わりゆくPHSに別れを告げなければならない長年の愛用者のための、お別れのお礼の儀式のようである。

長時間話す上で、PHSを電磁波回避対策として愛用していた者にとっては、一層のさみしさを感じる、PHSとのお別れである。

共謀罪に反対する日弁連による国連立法ガイドの誤訳について

5月 16th, 2017

共謀罪に反対する日弁連による国連立法ガイド51項の論点について、話してみたい。

日弁連は、共謀罪に反対する理由として、

2006年9月14日付け意見書
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120413_4.html
において、

51パラグラフは非常に重要なことを述べている 「本条約は,世界的な対応の必要性を満たし,犯罪集団への参加の行為の効果的な犯罪化を確保することを目的としている。本条約第5条は,このような犯罪化に対する2つの主要なアプローチを同等のものと認めている。第5条第1項(α)(ⅰ)および(α)(ⅱ)の つの選択肢は,このように,共謀の法律 (conspiracy laws)を有する諸国もあれば,犯罪結社の法律(criminal association laws)を有する諸国もあるという事実を反映するために設けられたものである。これらの選択肢は,共謀または犯罪結社に関する法的概念を有しない国においても,これらの概念を強制することなく,組織犯罪集団に対する実効的な措置を可能とする 」。つまり,英米法の共謀罪(コンスピラシー)や,大陸法の参加罪(結社罪)を導入しなくても,犯罪防止条約第5条の要件を満たすことが可能であることを立法ガイドは認めている。

として、「国連犯罪防止条約を批准するのには、共謀罪、結社罪(=参加罪)のいずれも導入不要である」
という根拠として主張している。

共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明
http://www.kt.rim.or.jp/~k-taka/kyobozai.html

でもなんと162名の学者や弁護士が、声明書中で、

本条約についての国連の「立法ガイド」第51項は、もともと共謀罪や参加罪の概念を持っていなかった国が、それらを導入せずに、組織犯罪集団に対して有効な措置を講ずることも条約上認められるとしています。

と述べている。

外務省は10年以上前からまったく反対の見解で一貫しており、国連の担当事務局に口頭で確認をおこない、

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji35-1.html
なお、この点に関連して、「国連の担当事務局が作成している『立法ガイド』によれば、共謀罪と参加罪のいずれも設けないことが許されるのではないか。」との指摘がありますが、「立法ガイド」の記載は、共謀罪又は参加罪の少なくとも一方を犯罪とすることを明確に義務付けている条約第5条の規定を前提として、共謀罪を選択した国は参加罪を設ける必要はなく、参加罪を選択した国は共謀罪を設ける必要はないことを述べたものに過ぎず(「立法ガイド」を作成した国連の担当事務局も、我が国の照会に対し、このような理解が正しい旨回答している。)、この指摘は当たらないと考えています。

とこれまた明言している。

なお、アーカイブであるが、平成18年にも外部省は同じことを言っている。
http://archive.fo/lb8Qr

外務省と、反対派の日弁連&学者、どちらの訳が間違っているのであろうか。

私は、この日弁連や反対派学者の主張根拠たるこの訳解こそが、立法ガイドの大誤訳、であろうと考えている。

しかし、この大誤訳は、今回の共謀罪反対運動でも大々的に展開されていて、多くの弁護士や学者に広まっている。

2006年の日弁連意見書の見解に基づいて、弁護士や学者の多くが、この立法ガイド51項を理由にして、共謀罪の制定は不要であるという意見を表明されている。

衆議院法務委員会で2017年4月25日に京都大学の高山佳奈子教授が参考人意見を述べた際にも、立法ガイド51項を根拠に挙げて、共謀罪・参加罪どちらも導入しなくても国連犯罪防止条約の批准は可能であるという発言をされている。

しかし、国連犯罪防止条約の本文である5条が、共謀罪・参加罪のどちらかを導入するように義務付けていることは明らかである。

立法ガイド51項に、条約本文に反した、逸脱するようなことを認めているというのであろうか。

普通に考えれば、外務省の英文解釈が正しいと思われる。

日弁連の立法ガイドの訳解は、5条の明文に反した内容であることは明らかである。

それでも尚、立法ガイド51項にそう記されているから、共謀罪・参加罪のどちらも制定しなくてよいのだと、日弁連や反対派学者は主張するのである。

そこで、立法ガイド51項の英文の解釈を、ここで検討してみたい。

https://www.unodc.org/pdf/crime/legislative_guides/Legislative%20guides_Full%20version.pdf
22Pに該当箇所がある。pdfでいえば43ページ目である。

51. The Convention aims at meeting the need for a global response and at ensuring the effective criminalization of acts of participation in criminal groups. Article 5 of the Convention recognizes the two main approaches to such criminalization that are cited above as equivalent. The two alternative options of article 5, paragraph 1 (a) (i) and paragraph 1 (a) (ii) were thus created to reflect the fact that some countries have conspiracy laws, while others have criminal association (association de malfaiteurs) laws. The options allow for effective action against organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion –conspiracy or criminal association –in States that do not have the relevant legal concept. Article 5 also covers persons who assist and facilitate serious offences committed by an organized criminal group in other ways.

立法ガイド51項は、5つの文章からなる。

問題は、第4文である。

The options allow for effective action against organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion–conspiracy or criminal association–in States that do not have the relevant legal concept.

この文章を、日弁連や反対派学者は、「共謀罪も結社罪(参加罪)もどちらも導入しなくてもほかに効果的な措置を執っていればよいのだ」と訳解する。

外務省は、上記のとおり、共謀罪・参加罪のどちらかは義務だと訳解する。

私は、英文をぱっと読んで、外務省の解釈しか、とれなかった。

そこで、「どちらも不要説」の論拠をよくよく調べてみたところ、「without~either~or」構文だから「どちらも不要」だと言っているものがある。

「not~either~or」は、「どちらも何々でない」の両否定の意味のイディオムだから、「without~either~or」も両否定だ、だから共謀罪・参加罪どちらも導入する必要は無いのだ、というのである。

しかし実際の英文を見れば、「without~either~or」構文(イディオム)の一部だと日弁連がいう「or」は、二つの「-」に挟まれている。

もう一度よく英文をみてもらいたい。

エムダッシュが二つ入っている。

この横線は、長いハイフンのようであるが、エムダッシュ(em dash)という英語の記号である。

なお上記の引用の際には、文字化けしていたので、タイピングの流儀としてハイフン2つで書きなおしているが、原文をみればエムダッシュである。

以下のURLの方がエムダッシュであることがよくわかるかもしれない。

https://www.unodc.org/unodc/en/treaties/CTOC/legislative-guide.html

https://www.unodc.org/pdf/crime/legislative_guides/02%20Legislative%20guide_TOC%20Convention.pdf

エムダッシュは、カンマ、カッコ、コロンの代用として使われる。この場合は、どうみても、カッコである。なぜなら、

either notion

conspiracy or criminal association

だからである。

「いずれかの概念」の説明が「共謀(罪)か結社(罪)」であり、だからエムダッシュで囲われていることが明らかである

このエムダッシュの用法のネイティブの解説を検索してみた。

検索したところ最上位にヒットした、以下のサイトを見てみよう。

em dash
http://www.thepunctuationguide.com/em-dash.html

Depending on the context, the em dash can take the place of commas,
parentheses, or colons
(私訳)
「文脈によって、エムダッシュは、コンマ、カッコ、コロンに代用することができる。」

というものである。立法ガイド51項のエムダッシュがコンマやコロンの代用でないことは明らかであるから、カッコである。

さて、それでは、カッコ(Parentheses)の解説も同じサイトで見てみよう。

Parentheses
http://www.thepunctuationguide.com/parentheses.html

Whatever the material inside the parentheses, it must not be grammatically integral to the surrounding sentence. If it is, the sentence must be recast. This is an easy mistake to avoid.
(私訳)
「カッコの中がなんであれ、カッコの外の周囲の文章に文法的に統合してしまってはいけない。もし統合してしまったら、文章は作り直す必要がある。これは犯しやすい過ちで避けるべきものである。」

こうやってみれば、2つのエムダッシュ(=カッコの代用)に挟まれた「or」を、その外の「either」や、「without」に文法的に(gramatically)統合して(integral)書くのは、よく起こるイージーミスであり、絶対にやってはいけないこととなっているわけである。

となると、この第4文は、「without~either~or」構文ではないことが明らかである。

単に「without~either notion」であって、「いずれかの概念を導入していなくても」という意味、つまり、構文としては単なる「without」構文である。

なお、この私の分析に対して、想定される反論としては、

either notion

conspiracy or criminal association

だから、カッコ内をカッコ外に置き換えれば

without~either notion

without requiring the introduction of conspiracy or criminal
association
(without ~or 構文)

つまり、「without ~ or」構文だから、やはり、共謀罪・参加罪どちらも制定不要だという反論があり得るように思われる。

しかしそうすると、カッコの外の文章だけを読んだとき(without either notion)の場合と、カッコの内側の文章を外出しして置き換えた場合の(without conspiracy or criminal association)文意が、まるきり逆転してしまう。

つまり、この英文は、カッコ内をそのまま本文に置き換えてつなげてしまうと、カッコ内のorによって別の構文に変わってしまって文意がまるっきり変わってしまう、という英文なのである。

そんな訳が両立することはありえないわけで、カッコの内側の文章を外出しして置き換えて構文を別物に読み替えてしまうような訳が、誤訳なのである。

さらにくどくなるが、without~either構文も、文脈によっては、両否定と読めることも、一方を否定すると読めることもあるという指摘がありうる。

しかし、法律英語では、どちらにも読めるような紛らわしい表現は禁忌である。

そもそも、構文としては、

without requiring the introduction

である。

withoutが直接リンクする構造は「『導入を要求すること』なく」という構造で、あくまで「導入を要求すること」を否定しているのである。

withoutと、 of either notion とは、requireとintroductionを挟んでおり、修飾・被修飾関係では、ネストで二重に囲われている、2重に間接的な修飾関係にしかたっていないため、その離れたwithoutとeitherが一体でイディオムを構成するという読み方は不自然でかなり無理がある。

また、法律英語の世界では「either」(2つのうちいずれか)「either or both」(いずれかまたは両方)「both」(両方)はかなり厳格に使い分けがされている。

どちらも採りうるような表現を使えば、混同されると意味が逆転してトラブルになるからである。

もし、日弁連が主張するような「共謀罪・参加罪どちらかまたは両方を導入しなくても(許される)」(第3文でいう二者択一でなくどちらも導入しないという第3の選択肢を認める)と言う意味で英語を書くのであれば、

without requiring the introduction of either or both notions

という表現になるであろう。

あるいは、

with requiring the introduction of neither notion

になると思われる。

法律家の感覚としては、立法ガイドの読者(=各国の立法担当者)が、条約5条本文をみた上で、立法ガイド第3文までの文脈(二者択一を明言している)を読んで、第4文で either or both と書かれていない時点で、without ~ either を「両否定の意味にもどちらにもとれる」とか「両否定である」とは、およそ読まないはずである。

ちなみに、条約5条本文は、

Either or both of the following as criminal offences distinct from those involving the attempt or completion of the criminal activity

となっており、either or both すなわち、共謀罪か参加罪の「いずれかまたは両方」の犯罪化(未遂・既遂の罪とは別に)をおこなうことを義務付けている。

本文の書き方が明確なのである。

そのうえで、日弁連のような読み方ができるわけがない。

これは、論理学に裏付けられた、法律家としての文章の読み書き作法の問題である。

そもそも第3文で選択肢(option)は2つ(共謀罪・参加罪)であり、その2つがalternative(代替可能、択一的)と書かれていて、第4文は、第3文の言い換え、補足として、二者択一だから2つのうちのどちらか一方(either)は導入しなくても許容されますよ、と述べているだけなのである。

それを日弁連や反対派学者が言うように、どちらも導入しないでよい、となれば、それは第3の選択肢を認めるということであって、第3文の2つの選択肢という説明とまるっきり論理的に矛盾してしまっているのである。

第3の選択肢を認めるというのなら、第4文冒頭は、

The options allow for effective action

でなく、

The options allow for other effective action(s) than the options

と書くのが、通常であろう。

このように、これを両否定文と読むことが、英語としての文脈を読めていないことは、明らかである。

なお、第4文の「either notion」は明らかに単数形の可算名詞であるが、冒頭の日弁連意見書は、「これらの概念を強制することなく」と、「これら」と複数形で訳している。

どうやったら単数形を複数形に訳せるのか、理解に苦しむ。

「いずれか(一方)の概念を強制することなく」としか訳せないのを「これら」と複数形で訳しているのである。

反対派学者162名の声明でも、「もともと共謀罪や参加罪の概念を持っていなかった国が、それらを導入せずに」と、「それら」と複数形で訳している。

学問的正確性を重んじるはずの学者が162名も集まってなぜ立法ガイド51項を「それら」と複数形で書くのであろうか。

両否定であると学者たちが考えているのであれば「いずれも導入せずに」と表記するのが、法学者が集まって議論すれば普通にそうなるはずの、法学者としての論理的・学問的正確性というものであろう。

よくみれば、162名の刑事法研究者のなかには、何名かは、大学教授でなく弁護士が混じっている。

この刑事法研究者の声明の起案者が弁護士で、日弁連2006年意見書の「これら」を「それら」とちょっと表現を変えただけだから複数形で平仄が揃っている、ということだとすれば、説明はつく。

いずれにしても、このような文章読みをなんの疑問にも思わず喧伝するというのは、残念と言わざるを得ない。

結局のところ、日弁連の大誤訳が、ほとんどの弁護士の認識をミスリードし、マスコミをミスリードし、学界にすら少なからずミスリードを招いている、といってよいと思われる。

なんとなくであるが、共謀罪反対を唱える弁護士の誰かが、エムダッシュの使い方を見落として、この第4文は「without~either(~or)」構文だ、と言い始めたのが、この大誤訳の始まりなのでは無いかと思われる。

そうしたら、尻馬に乗って、周りの弁護士がそう言いだした。

そう言われて読んだら、そう読めなくもない、という人も出始めてしまった。

翻訳家にも見せたら、そう言われて読んだらそう読めるね、という人までも出て来てしまった。

法律家や日弁連までそういうのだからと、原文を吟味せず受け売りで主張する人も出て来た。

その話が拡散して、今のように学者の間にまで拡がり、このような誤訳に基づいた声明に、名前を並べる学者が162名も出るという事態になってしまったのではないだろうか。

外務省も、上記に引用したアーカイブで(下記で再度URLを掲載しておく)、実際に10年前にも国連の立法担当事務局に問い合わせて、立法ガイドの解釈は外務省の見解が正しいという回答を得ている。

http://archive.fo/lb8Qr

また、念のため、「立法ガイド」を作成した国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)に対してご指摘のパラグラフの趣旨につき確認したところ、UNODCから、同パラグラフは共謀罪及び参加罪の双方とも必要でないことを意味するものではないとの回答を得ています。

というものである。

というのに、それすらまるで聞く耳を持たないで、立法ガイド51条の手前味噌な誤訳に基づいた解釈を、共謀罪不要論の根拠として反対の理由に掲げ続けているのが、日弁連と、その受け売りの反対派学者の声明書である。

考えてみれば、外務省仮訳を誤訳と言い張るのは、日弁連や、共謀罪反対ありきで結論が決まっているような一部の弁護士の論考である。

学界において、立法ガイドの訳について両説を検討したうえで外務省訳が誤訳であると断じたような論文というのはほぼ見当たらない。

仮に学者が少し調べれば、国連の立法担当官の見解を外務省が確認したと言っていることはすぐにわかるので、筆が止まってしまって、それ以上外務省訳が誤訳であるなどと論難するような論文が書けるはずはないからである。

しかし、そんな学者も、以前からの議論をよく知らないまま、受け売りで声明書に名前を連ねるだけならできてしまう、ということであろう。

そして、どうやら、日弁連は、この10年間、一度も、国連の担当事務局に正式な文書で立法ガイドの解釈を問い合わせることもしてこなかったようである。

日弁連が仮に立法ガイド51項について問い合わせたら、外務省訳と同じ答えが返ってくることがわかっているから、問い合わせていないのだろうと思われる。

野党までが、この日弁連の誤訳を振りかざして、共謀罪・参加罪どちらも導入しなくてもよいという根拠にして、10年前も猛反対を繰り広げた。

外務省が国連事務局に問い合わせた内容が間違っているというなら、議員や政党として書面で照会すればよかったはずだが、この10年間、問い合わせもしてこないで、十年一日のごとく日弁連の誤訳の受け売りを続けていることも、ミスリードを拡大していると思われるところである。

この度の十年一日のごとき共謀罪反対論は、まずもって、日弁連や反対派学者の英文解釈のレベルの問題として再考しておくべき問題のように思われる。

あるいは誤訳の受け売りの連鎖というべきか。

残念ながら、外務省の方が英文解釈のレベルは高かったというべきか。

外務省はそもそも英語が本職の実務家集団で、ネイティブがあふれかえっていて、条約英語は最たるエキスパートなのであるから、当然といえば当然ではあるけれども。

外務省からすれば、条約英語を「当たり前」に読んでいるだけだから、それ以上にくどくどしく説明もしないわけである。

そこを、「誤訳」も100回言えば「正訳」になるとでも思っているかようなミスリードに、ほとんどの弁護士も、マスコミも、学者も、国会すらも翻弄されている、という構図が見えてくる。

日弁連会員の一人として、日弁連意見書の価値も地に堕ちてしまったという残念な思いを感じざるをえないところである。

 

(追記)

平成29年5月16日の衆議院法務委員会

2:40:00ころ

日本維新の会の松浪健太議員の質問で、同議員は

「我々から外務省にヒアリングしたところ、立法ガイド51項についての国連からの(共謀罪・参加罪どちらか導入が必要という解釈についての)回答をこれまでどうやって確認していたのかと聞いたところ、口頭だ、といわれたので、外務省から国連に書面で口上書をもらうことになり、この(法務)委員会の中盤で、国連の口上書の仮訳ができあがってきた。それによれば、第3のオプション(共謀罪・参加罪どちらも導入しない選択肢)はばっさりと切られている」

旨、述べられている。

つまり、書面による国連からの正式回答として、日弁連の2006年意見書、2012年意見書のように、立法ガイド51項を、「共謀罪・参加罪どちらも導入しないでよい。第3のオプションが採れる」と和訳するのは、間違い、だということで決着がついたようである。

ただし、この国連事務局からの口上書(回答)の仮訳については、まだマスコミは報道をしていないようである。

国際組織犯罪条約が、参加罪を導入しない限り、長期4年以上の犯罪について共謀罪を導入することを義務付けている、という結論は、もはや動かない。

それが世界標準の刑法の理論と実務の状況なのだ、という認識からスタートしなければ、すべての反対論はただのミスリードに過ぎないと思われる。

本来の争点は、長期4年以上の罪であっても、過失犯類型は除外できるから除外するであるとか、立法事実がないような(国内外の組織犯罪集団が遂行することはないと思われるような)犯罪類型を除外することができるなら除外するといった議論を尽くすべきなのであるが、残念ながら、それ以前の空虚な論争に費やされている。

残念ながら、ここまでの論戦は、大半が日弁連発のミスリードに時間を空費してきたというのが実際のところのように思われる。

実は、欧州はじめ世界の大半といっていい国で導入されている参加罪(犯罪的結社への参加)は、犯罪組織への参加の段階で犯罪が成立する。

一方で日本のテロ準備罪(共謀罪)は、諸外国の共謀罪と比べると極めて成立範囲が狭く、「組織的犯罪集団の組織の活動として、実行するための組織により行われる」「犯罪を計画し」「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われ」なければ犯罪は成立しない。

つまり、事実上、犯罪組織の活動に加わりかつ共謀しかつ準備行為に至ることが必要となっており、諸外国に比べて著しく限定的・抑制的な場合にしか共謀罪が成立しないものとなっている。

比較法的にいえば、今回のテロ準備罪が成立しても、日本は、世界的にも珍しいくらい、組織的犯罪集団への処罰に抑制的な、犯罪者に甘い国、という評価になるだろう。

国際組織犯罪防止条約の要請を満たし、相互主義的にどちらの国ででも処罰可能として、情報交換体制と、犯罪人引渡協定の整備を進め、海外で犯罪を遂行した組織的犯罪集団が日本国内でマネーロンダリングする犯罪収益を没収して、海外に引き渡し、被害回復に役立ててもらうのは、日本の国際的責任である。

その相互主義による見返りとして、はじめて、海外で没収された日本の組織的犯罪集団の犯罪収益が日本に返還され、被害回復に役立つのである。

適用罰条を外国と同レベルに整備して、犯罪人を日本に引き渡してもらうばかりでなく日本も犯罪人を外国に引き渡す。それが相互主義である。

犯罪収益を日本に返還してもらうばかりではなく、日本からも返還してあげなければならないという姿勢が、相互主義である。

反対論こそ正義であるかのように声高に主張する論者には、外国の目から日本をみた相互主義の視点が全く感じられない。

ガラパゴス、というを超えて、エゴイスティックに感じるのは私だけであろうか。

テロ準備罪の適用罰条をひたすら少なくするのが人権擁護にとって絶対善であるなどという、間違った先入観に基づいた立論を、多くの弁護士やマスコミ、学者が当然のように語ることに、違和感を禁じ得ないところである。

英語力が低すぎるから井の中の蛙でミスリードに引っかかってしまう、そしてガラパゴス、果てはエゴイスティックというのは、いかがなものであろうか。

携帯電話のブラック情報(2)端末料金の不払

2月 26th, 2017

携帯電話の通信料金の不払いと、端末代金の不払いは、実は、信用情報の登録先が異なるということを、知っている人は意外と少ない。

携帯電話利用料金はTCA、端末の分割料金はクレジットカード等の情報の信用機関であるCICなどである。

つまり、端末代金を分割にしただけで、不払いの場合、信用情報のブラックの登録が2か所にされてしまう、ということである。

ドコモ・au・ソフトバンクは、携帯電話契約を2年縛りにして、2年ごとの更新月を外しただけで中途解約扱いとして、1万円といった高額な違約金を設定し、携帯電話端末料金を9万円とか6万円といった異常な割高な金額に設定し、それを24回に分けて返済する割賦払い契約をユーザーと結び、一方で、月2000円ほどの額を月々割り引くので結局機種代金は無料あるいは格安ですよ、とセールスする、といった、面倒くさい販売手法を取る。

これは、ユーザーを2年間解約させないで高額な月額料金に縛り付けておくための、3大キャリアの側の都合で考案された、ユーザーに不利益な、ある意味あこぎな販売手法である。

しかし、ユーザーは、そのために、割賦販売契約を結ばされることになる。この場合、ユーザーの割賦販売債務がクレジット情報として、延滞もしていないのに、信用情報機関(CICなど)に個人情報が登録されてしまうことになる。

ちなみに、機種代金を一括で支払えば、割賦販売契約ではないから、CICには登録されない。

でもそんなことを知っている人はほとんどいないだろうし、一括払い契約を選択する人はもっと少ないはずである。。

やっかいなのは、通話料金を3か月以上延滞してしまうと、割賦販売代金までもが道連れで61日以上の延滞となってしまい、CICでの信用情報も、いわゆる事故状態(ブラック状態)となってしまうということである。

クレジットカードの支払いを61日以上延滞すれば、言い訳もしようがないけれども、携帯電話料金について、まさか同じ扱いがされると思っていなかった、という人はそれなりに多い。

3大キャリアのスマホを漫然と買って、携帯電話料金だけが遅れたつもりだったのに、携帯電話端末の割賦販売代金が遅れたことにされてしまい、ほかのクレジットカードなどの利用までドミノ式に次々と制限されたり、解除されてしまうことが起きてしまうのである。

CICの事故情報は、契約中および契約終了から5年間、保有される。

http://www.cic.co.jp/confidence/posession.html#sst02
http://www.cic.co.jp/qa/registration.html

携帯電話料金を支払わなかった延滞期間が61日に達しただけで、最低5年もの間、信用棄損状態が回復しない(不払いの事実を消す手段もない)というのは、相当なダメージである。

ユーザーは、本来、携帯電話利用契約を結んでいるだけのつもりであって、クレジットカードまで影響するようなリスクを自分が冒している、とは全く想定してはいない。

こうやってみるドコモ・au・ソフトバンクでスマホを割賦販売契約で買うことは、実は想像する以上にリスキーなことである。

それが、携帯電話会社がほとんどユーザーを縛るという自分の都合で、ユーザーを誘導して高額のスマホ利用契約に伴って割賦販売契約をさせているわけであるから、なんとも罪深いことである。

格安SIM会社(MVNO)で携帯電話を買えば、端末料金は普通は一括払いであり、1万円から3万円までで十分な機種が買える。

MVNOでも、好き好んで端末料金を分割払いにするユーザーもいるであろうが、安い料金を分割にしてCIC登録されてしまい一歩間違えれば信用情報が事故扱いというリスクを考えれば、分割払いはとてもお勧めできるものではないだろう。

ドコモ・au・ソフトバンクの販売手法は、ユーザーを自社に縛り付けるのに懸命である。

そのためにユーザーに割賦販売契約を結ばせ、CICに登録させ、不払いによるドミノ式の信用リスクのことをよくわかっていないユーザーがリスクにさらされてしまっている。

消費者目線でいえば実にけしからんやり方だ、というべきだろう。

私は、多重債務者の経済的更生のために、スマホをドコモ・au・ソフトバンクからMVNOに乗り換えさせるという指導はよくおこなっている。

しかし、この2年縛りの端末代金5万円とか9万円といった違約金が、解約時に一気に発生してしまい、しかもそれが信用情報のブラック化という事態を招いてしまう、という仕組みは、ユーザーにとって重大な不利益であり、苦しい立場にある方の経済的更生にとってまことに不愉快な障害になってしまっているのである。

賢い消費者は、できるだけ3大キャリアのスマホ契約は避けて、格安SIM(MVNO)を選ぶべきだろう。

通話かけ放題を使わなければいけない人は、スマホとは別に、ガラケーの中古端末を、ドコモ・au・ソフトバンク・ワイモバイルに持ち込んで通話のみの端末として開通して、かけ放題契約をすればよい。

ワイモバイルのPHSなら月1500円、それ以外のガラケーは月2200円から持てる。

持ち込み新規契約であれば、かけ放題については2年縛りにはなっても、割賦販売契約を結ぶことがないので、CICに登録もされないのである。

なお、携帯電話会社に全く支払わないまま5年以上滞納した、催告書も最近は送られてきていない、裁判も支払督促もされていない、債務承認書も書いていない、電話でも払うと言っていない、という場合は、消滅時効を主張することができる場合がある。

滞納者が、消滅時効を主張して、携帯電話会社がそれを受け入れれば、通信料金も端末代金も時効消滅することになる。

TCAやCICの登録内容の変更も請求できるだろう。

なお、それでも、不払いにした通信会社の内部情報としては保有される可能性があるので、同じ電話会社で契約するのはそれ以降もNGというのは起こりうる。

但し、消滅時効の起算点には注意すべきである。

消滅時効の起算点は、端末割賦販売代金の場合は催告による割賦販売契約解除成立の日、通信料金の場合は最終月料金の支払予定日より遡ることは無く、その後の携帯電話会社による催告や、一部弁済や債務承認によっても、中断することがある。

つまり、不払いにしはじめてから5年ちょうどでは時効消滅するわけではない、ということに注意が必要である。

携帯電話のブラック情報(1)電話料金の不払

2月 25th, 2017

多重債務者が、自己破産手続きをとったときに、携帯電話料金の滞納があって、携帯電話利用契約を解除されてしまうことがある。

とはいえ、毎月発生する携帯電話料金については、破産裁判所は、大幅な滞納がなければ、固定電話料金と同じように、そのまま毎月支払い続けることについて、ある程度は黙認し、特に問題視することはないというのが一般的である。

しかし、ドコモ、au、ソフトバンクのスマホの月額料金は高額なので、滞納してしまっているとたちまち5万円以上になってしまうことがある。

こういう状態で自己破産を決断して、各債権者に受任通知を送れば、それ以降の支払いについては、偏波弁済だ、として、問題視されるという可能性は否定できないので、弁護士としては、破産法の建前からすると、非常に気持ちが悪く、依頼者に対して「大丈夫ですよ」といえなくなり、その結果、多重債務者も不安を感じる、という事態が起きてしまう。

多重債務の解決にあたっては、まずは生活の再建を優先し、例えばこれまでの滞納した携帯電話契約は解除されるにまかせて、破産手続、債務整理、小規模民事再生などの手続に進み、新しい電話番号にして、債権者からの連絡を避けることも兼ねて、携帯電話利用契約を新規で別の電話会社でやり直してもらうことがある。

気を付けないといけないのは、携帯電話料金の滞納が個人にあると、その滞納情報(不払い情報)は、ドコモ・au・ソフトバンクの3社と一部のMVNOでは、情報交換されて共有されていて、情報を交換している電話会社に新規契約を申し込むと断られてしまう、という事実である。

正確にいうと、電気通信事業者協会(TCA)に加盟していて、かつ、不払い情報の交換を実施していると発表している、下記(末尾に記載)の通信会社である。

http://www.tca.or.jp/mobile/nonpayment.html

但し、破産手続をとっても、免責決定がされていれば、不払い情報は抹消される。

免責と同時に通信会社側で自動的にすぐにTCAに抹消申請してくれるとは限らないため、不払いにした携帯電話会社に免責されたことを債務者から連絡して、抹消請求をすれば、TCAに連絡してもらえるので、不払い情報は抹消される。

債務整理などの場合は、滞納料金を完済すればTCAの不払い情報は抹消される。

民事再生手続については、電気通信事業者協会のサイトには書かれていないが、カットされた残債権を完済すれば、抹消は可能なはずである。

すなわち、小規模(給与)民事再生の計画案提出および認可の際、携帯電話料金について少額一括返済を選択しておけば、少額一括返済後の時点で抹消、または計画弁済の完済時点で、不払い情報の抹消を、携帯電話会社に請求すればよい。

とはいえ、破産の委任を弁護士にして、破産申し立てをして、破産開始決定、免責決定までたどり着くには、数か月かかる。

このタイムラグの間に携帯電話会社を乗り換えないといけないときには、通信料金不払いのブラック情報により、再契約ができなくなる、免責まで待たなければいけない、という事態が起きうることに注意が必要である。

なお、家族には影響はないので、家族契約で持つことは可能である。

救いもある。

MVNOには、意外とTCAで不払い情報を交換していないところが結構あるのである。

現時点で、OCNモバイルONEもそうである。

OCNモバイルONEは、クレジットカード決済でなくても、銀行引き落としでも契約ができる。
https://mypage.ocn.ne.jp/ksupport/bill/payment_demand/

一方、多くのMVNOは、クレジットカード必須である。

となると、自己破産をしたり債務整理によってクレジットカードを当面持てない人には、OCNモバイルONEは、いざというときの駆け込み寺になるだろう。

OCNモバイルONEは、初期料金は無料に近く、初月無料、月2000円以下で電話番号付きスマホが持てて、端末も1万円前後から買えるからである。

 

(不払い情報を交換している通信会社)

電気通信事業者協会
不払者情報の交換
http://www.tca.or.jp/mobile/nonpayment.html
2.対象となるお客様
平成11年4月1日以降に契約解除となり料金不払いのあるお客様※1を対象といたします(料金が完済された場合は対象外となります※2)。
また、お客様の氏名及び住所等の情報を、契約解除となり料金不払いがある場合に他の携帯電話等の移動系通信事業者に通知することについては、契約約款の規定に基づいてお客様にご同意いただきます(既にご契約済みのお客様についても同様といたします)。
※1 自己破産等により免責が決定している方、係争中(料金不払いのあった事業者と料金不払いに関して訴訟が行われており、判決が確定するまでの間を言います。)の方は含まれません。なお、いずれの場合も、料金不払いのあった事業者でその事実が確認できる必要があります。
※2 料金を完済された事実が、時間的な制約から、情報交換を行っている他の事業者に伝わっていない場合があります。疑義のある方は、お手数ですがお申し込みの事業者にご申告ください。ご申告に基づき、お申し込みの事業者より完済された事業者に確認させていただきます。
3.交換の期間
契約解除後5年以内といたします(期間経過後は自動的に抹消されます)。
7.情報交換をする事業者
NTTドコモ
KDDI、沖縄セルラー電話
ソフトバンク
ウォルト・ディズニー・ジャパン
UQコミュニケーションズ
ウィルコム沖縄
サジェスタム
ラネット
ヤマダ電機
ノジマ
日本通信
汐留モバイル
ケイ・オプティコム
東日本旅客鉄道
ニフティ
フリービット
トーンモバイル
プラスワン・マーケティング
UQモバイル沖縄
ビッグローブ
TOKAIコミュニケーションズ
アクセル
SORAシム
Link Life
ドリーム・トレイン・インターネット
MEモバイル
メディエイター
ジェイコム
ジュピターテレコム

OCNモバイルONEへ乗り換え

2月 18th, 2017

格安スマホとしてこれまで約2年半、BIGLOBE SIM(イオンのスマホ)を使ってきた。

BIGLOBE SIMは、1か月1400円+消費税で、1GBの高速通信ができた。

低速(0.2MBPS=200Kbps)になった場合でも、それ以上の超低速制限はかからない良質なSIMである。

私の持っていた旧型の遅いスマホでも、1分で1MB程度のダウンロード速度が確保できていた。

IIJ系のSIMは、低速になってから3日で366MB使うと超低速になり、使い物にならなくなる。

それにくらべればBIGLOBE SIMは、良質で良心的である。

ドコモ・au・ソフトバンク・ワイモバイルは、7Gといった容量を超過するとなんと格安スマホ以下の128Kbpsに低下し、ソフトバンクなどは目も当てられない遅さになる。

それにくらべれば低速時の使い勝手の良いBIGLOBE SIMには、まずまず満足していたのだが、この度、OCNモバイルONEに乗り換えることにした。

OCNモバイルONEは、月3Gで1800円である。単純に400円上がる。

それでも乗り換えた理由はいくつかある。

まず、低速時のバースト転送の秀逸さである。

BIGLOBE SIMには、バースト転送が備わっていない。

BIGLOBE SIMを実際に使っていると、バースト転送らしき動きは垣間見える。

Webページを開いた時のデータ転送の初速が多少早く感じるのである。

とはいえ、公開されている仕様上ではBIGLOBE SIMにバースト転送機能は掲載されていないので、公式には無い(裏で動作はしていても動作保証はない)、ということである。

IIJ系のSIMには、バースト転送があるSIMが多い。

しかし、IIJ系のSIMのバースト転送のサイズは75Kbyteである。

一方、OCNモバイルONEのバースト転送サイズは、150Kbyteである。

150Kbyte=1200Kbitであるから、200Kbpsの低速モードでいえば、約6秒分を一瞬にしてダウンロードしてくれることになる。

一方でIIJ系のバースト転送は3秒分である。

ニュースサイトのページを、低速時にクリックして、開くのに、3秒はかかっても、6秒かからないことが多い。

このサイトをめくるたび3秒の違いは非常に大きい。

実際にニュースサイトをOCNモバイルONEで低速モード(ターボOFFモード)開けば、ほぼ一瞬で文字をダウンロードしてしまうことがわかる。

画像はあとから多少遅れて開くサイトも多いが、なにぶんニュースサイトはページを細かくめくることが多いので、体感速度はずいぶん変わる。

YouTubeでも、画面解像度を低画質モードにしてあれば、OCNモバイルONEの低速モード 200kbpsでも、ほぼ音楽が切れることなく視聴できる。

これも、youtubeの視聴し始めた際のバースト転送による貯金がゆとりとなって、音途切れを防いでいるようである。

OCNモバイルONEに乗り換えて、ターボOFFモードで1週間ほど使ってみたが、BIGLOBE SIMの低速モードよりはるかに体感速度が速く、乗り換えた値打ちがあった。

LINEなどのSNSであれば、そもそもBIGLOBE SIMの低速モードでも使用に支障はないが、OCNモバイルONEでは速度は明らかに向上する。

もうひとつ、BIGLOBE SIMは低速・高速の切り替えができない。

だから、月の初めから強制的に高速容量を使っていく。

OCNモバイルONEは、低速・高速の切り替えが、アプリを立ち上げて、ワンタッチでできる。

例えば、スマホにPCをテザリングでつないで、PC上でメールをダウンロードするときや動画を見る時など、通信を高速にしたいときだけ、高速に切り替える。

普段は、ターボOFFにしておいて低速でも、SNSやWebサイト閲覧はたいてい事足りる。

LINEやgmailで少々大容量のファイルが送られてきたところで、高速容量を食わない。気づきもしない間にゆっくりダウンロードしておいてくれている。

OCNモバイルONEは、Wifiのアクセスポイントも、非常に多い。

SECURED Wi-Fi エリアと、DoSPOTエリアでWifiが可能で、約9万か所、これが使えて、月1800円の中に含まれている。

BIGLOBE SIMのWifiスポット数はOCNモバイルONEに劣らず秀逸であるが、Wifiは月250円のオプションである。

1400円+250円=1650円となると、OCNモバイルONEの3ギガ契約とは150円差。もはや、使い勝手では、この時点でコストパフォーマンスは逆転している。

OCNでんわは、通常の携帯電話音質で、半額の30秒10円で掛けられる。

OCNでんわは、10分かけ放題で月850円のプランを提供していて、他社の5分かけ放題プランが同金額帯であることをみると、あきらかに優位に立っている。

OCNモバイルONEにはもうひとつ、IP電話(050Plus)1回線が標準で付属する。

050Plusは、月額300円+消費税の基本料金がかかる。それが1800円に含まれる。

IP電話で、月額基本料金が無料のものはいくつもあるが、実は固定電話にかけても携帯電話に掛けるのと同じに30秒8円かかったりする。

しかし、050Plusは、なんと、固定電話への料金が3分8円である。

これは、海外旅行に行った時に、ありがたみがわかってくる。

SIMフリーのスマホを持っていれば、海外に行った時は、SIMを差し替えて、外国の現地のSIMを挿し替えて使うことができる。

デュアルSIM対応のスマホの中でも、gooのg07などは、現地SIMと日本のSIMを両方挿して両方着信待ちが可能である。

日本からかかってきた電話はローミングで着信まではできるが、出ないようにして、折り返しは、現地SIMの電波を使って(またはWifi環境下で)、050Plusでかければ、日本向けの通話が3分8円、日本の携帯電話にかけなおしても1分16円である。

IP電話はどうしても多少の遅延はあるのだが、高速な電波やWifiのもとでだと結構話せる。

もっとも、LINEの無料通話やコールクレジットのほうが、050PlusといったIP電話よりも、はるかに遅延がすくなく、快適に話せるので、実はLINEのコールクレジットをよほどお勧めする。(LINEのコールクレジットだと相手がドコモの携帯電話だと非通知着信になってしまうが)。

LINEの無料電話は音が痩せていて、圧縮率が高いと思われるが、その分、遅延が少なく海外では実に快適なのである。

さらに奥の手を使えば、海外旅行中は、日本から出発する直前に携帯電話の転送先を050Plusの番号に転送設定することがおすすめである。そうすれば、携帯電話のバカ高い海外ローミング転送料金はかからず、国内転送料金だけがかかることになる。

着信に出て、おり返せばよい。これで海外ローミングの日額何千円の基本料金も海外転送料金も全くかからない。

折り返しはLINEのコールクレジットで掛ける。

相手によっては、こちらが非通知だと電話に出てくれない場合がある。

そのときは、現地SIMから、gmailやSMSで相手の携帯電話に、「海外だから非通知で掛ける」とか、「IP電話から掛ける」、とメールで送っておき、それから電話を掛けたら出てくれるであろう。

ちなみに、国内にいるときでも、050Plusの番号同士の通話は無料で、OCNモバイルONEのシェアは大きい上に、家族で050Plus回線をそれぞれ持てば、家族間通話がそれでかけ放題となる。

OCNモバイルONEでは、高速通信時でも050Plusはカウントフリーで、いくら通話しても高速容量を食わない。

シェアSIMも強力である。1枚月400円で最大4枚まで追加できる。通話付きのシェアSIMでも1枚月額1100円である。

OCNモバイルONEは低速でもバースト転送容量が大きくて快適なので、3ギガの高速容量でも、低速にしている家族はその間まったく高速容量を食わないので、IIJ系のSIMやBIGLOBE SIMのように強制的に月の初めから高速容量から食い始めるSIMのシェアSIMと比べると、OCNで使える毎月の高速容量の実サイズははるかに大きいことになる。

とはいえBIGLOBE SIMのシェアSIMは1枚月200円で持つことができる。

これはOCNモバイルONEより明らかに安い。

しかし、シェアSIMも親SIMも、月の初めから高速容量から食っていくので、たちまち高速容量を消費してしまうのがデメリットとなる。

このように、丁寧に使い勝手を考えていくと、OCNモバイルONEは、実に良心的で良質であることがわかる。

なお、格安SIMの初期契約手数料は3000円くらいがほとんどであるが、OCNモバイルONEの通話SIMは、初期契約料金無料のパッケージがアマゾンなどで200円くらいで売られている。

MNPによる乗り換えもそれでできるので、それを買えばいいのである。

また、Goo simsellerという、NTTレゾナントが運営するスマートフォンの販売サイトがある。

しょっちゅうバーゲンセールやキャンペーンをやっていて、初級機から高級機まで、かなり安い価格帯で売られている。

キャンペーン時ともなると、端末で利益が出ているのかと思うくらい、端末料金が割安である。

Goo simsellerでスマホを買えば、OCNモバイルONEの通話SIMの初期契約料金無料のパッケージが無料で一緒に送られてくる。

別にOCNモバイルONEと契約してもしなくても、スマホ販売料金は変わらないが、これで通話SIMを契約すれば、初期契約料金3000円が0円となる。

ちなみに、今は、3ギガ→4ギガ、基本料金2か月間700円引きというキャンペーンをやっている。

こういった具合である。OCNモバイルONEの強力さが、多少なりとおわかりいただけただろうか。

MVNOの回線速度比較などでは、OCNモバイルONEはいつも遅い方から数えて何番目かである。

ということは、ひたすら早く動画を見たい、一瞬でサイトが開かないといらだつ、という人には、OCNモバイルONEは向かないSIMなのだろうと思う。

にもかかわらず、OCNモバイルONEは、MVNOのシェアはだいたいがトップか、最近こそ楽天モバイルに抜かれつつ、2位の位置にある。

これは、NTT系という安心感が理由としては大きいと思われるが、それを裏付ける、良心的な高品質SIMだから、店としても勧めやすくて、不満も出にくいことが理由なのだと思う。

OCNモバイルONEは、1日110MBプランが1600円で、3ギガプランより200円安い。これも秀逸である。シェアSIMにも対応している。

低速に切り替わっても快適に使用できるOCNモバイルONEだからこそできるプランで、格安SIMの他社が、長年にわたり全く追随できていない、良心的なプランである。

移行してみて、それをしみじみ感じた次第である。

「仁」という言葉の意味

1月 30th, 2017

今回は、論語の話をしてみたい。

論語を初めて読んだのは、中学1年生のときに、校長先生の授業で「論語物語」(下村湖人)を渡されたときだったから、かれこれ36年余り前ということになる。

授業であまり論語を採り上げたわけではないが、「論語物語」は、読んでハマりにハマった本であった。

夢中で読破し、続いて岩波文庫の「論語」訳注やら、孔子の思想の解説書など、何冊も買い込み、飽き足らずに図書館で借りては読んでいた。

以来、論語は折に触れては読み返す本ではあるのだが、文意にまったく納得できない部分がずっと残っていた。

「仁」という概念である。

論語を読む限り、仁について語られる箇所は50箇所を下らない。

孔子は、「仁」という概念を徳の最上位に置いていて、弟子たちも仁について問う問答が非常に多く、弟子たちも孔子の思想の根幹が仁であるとみなしていたことは間違いないのだが、その「仁」という概念が、私にはどうしてもすっきりと理解できなかったのである。

国語辞典や漢字辞典では、仁は「思いやり」「いつくしみ」が語意であるとされる。2人の人がいて、他人を思いやる心である、というものである。

ほとんどの論語の解説書にも訳本にも、そう書いてある。

あるいは論語の解説になると、「人を愛することだ」とも「克己」とも「仁愛」とも書かれている。

こういったあたりが仁の語義として学会の通説なのだろう。

しかし、論語を何回読み返しても、仁について語った箇所を「思いやり」と訳しても、意味がつながらない。

こう感じるのは私だけではないはずだ。

だからこそ、学者の解説でも、「仁」の意味は弟子たちにもわかりにくかった、とか、孔子の仁の思想は深遠だ、といった、奥歯に物が挟まったような、隔靴掻痒の解説になりがちである。

実際、後世の儒学者は、必ずしも仁という言葉に孔子ほど重きを置いて突き詰めることなく、別の語句で儒学の教えを構築していくのである。

しかし、仁の意味が「思いやり」なら「他人への思いやり」であって意味は単純で、わかりにくい概念、となるはずはない。

結局、論語を読んでも、訳や解説書に納得できず仁の意味に違和感が残ったままで、そこが孔子の教えというものに対する最大の消化不良点であった。

例にもれず、論語読みの論語知らず、というやつである。

それが最近、ふと、仁とはこういう意味ではないか、と自分なりに、「気づいた」ように思っている。

結論からいえば、孔子の言う「仁」とは、「(1)無私(無我)(2)志道(3)克己(4)利他(5)謙譲」の5つの心構えの複合体であるように思う。

5つの要素はどれも「仁」に不可欠であるが、意外なことに、文意としては、「無私(無我)」のウエイトが高いように考える。

また、「志道」、「克己」。これも、自分の心の内面に向いたものである。

「謙譲」も、外面的なものではなく、志道と克己の行きつく先に現れる態度である。

他人への思いやり、といった情愛的なものというより、「人を大切に思う気持ち」がにじみ出て「利他」として表出するさまをいうものであろう。

道を志し、己に克ち、他人のために尽くし、謙譲を忘れず、努め続け、その先に到達する究極は、無私・無我の境地となる。

この心構え、生き方の姿勢を、「仁」と孔子は表現していると、私は考える。

論語に沿って、例を挙げてみよう。

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(1)「巧言令色鮮し仁」(學而篇第一、陽貨篇第十七)
・・・(直訳)「言葉を巧みにかざることは仁が乏しい。」
この仁を「思いやりが乏しい」とは訳せない。
一方で、「言葉を巧みに飾ることは無私の境地から遠い」という文意ならしっくりくる。

(2)「人にして不仁ならな礼をいかんせん。人にして不仁ならば楽を如何せん」(八しょう篇第三)
・・・(直訳)「不仁ならば、例も楽もどうにもならない」
この仁も「思いやりがなければ」とは訳せない。
心から相手に対し素晴らしいことをするという気持ちを込めて正しい言動に努め、無私の境地で音楽を奏でる。そういう思いで礼と楽を遂行せよという意味であろう。

(3)「不仁者は約におるべからず。もっと長く楽におるべからず。」(裡仁篇第四)
・・・(直訳)「不仁者は逆境に長く耐えられない。順境にも長くはいられない」
この不仁も「思いやりがない者」とは訳せない。
克己心のないもの、志道の心のないもの、利他の姿勢がなく我欲に囚われるもの、の意味であろう。

「ただ仁者のみ能く人を好み、能く人を悪む」
「まことに仁に志せば、悪しきことなし」
これも、思いやりある者、というより、志道と克己の末無私の境地に達した者、であろう。

(4)「回や、その心、三月仁に違わず。その余はすなわち日月に至るのみと」(雍也篇第六)
・・・(直訳)「顔回の心は三か月間仁の境地にあり続ける。私は一日一月続けばせいぜいだ」
ここでいう仁は、持続的な志道と克己に努める姿勢とそれによる無私の境地のことであろう。

(5)「仁を問う。曰く、仁者は難きを先にして獲ることを後にす。仁と謂うべしと。」・・・(直訳)「仁者は困難なことに先に取り掛かり、見返りを得るのは後回しにする」

この仁も、思いやり、ではない。
無私、利他、克己心ある者の意味である。

(6)「仁とは己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。能く近く取りて譬うるを仁の方というべきのみ」
・・・(直訳)「仁とは自分が立身したいときに人を立たせ、自分が達成したいときに人に達成させる。仁とはもっと身近に譬えられるものだ」
この仁も、思いやりというのではなく、謙譲、利他、他人への貢献、無私というべきであろう。

(7)「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず」(子罕篇第九、憲問篇第十四)
この場合の仁者は、憂えない、一喜一憂しない、心配に押しつぶされない、の意味である。
これを「思いやりある者」とは訳せない。
不断に道を志して克己した者、無我の境地にある者を仁者というのであろう。

(8)「顔淵礼を問う。子曰く、己に克ちて礼を復むを仁となす」「顔淵曰く、その目を請い問う。子曰く、非礼視ることなかれ、非礼聞くことなかれ、非礼言うことなかれ、非礼動くことなかれと」(顔淵篇第十二)
論語の仁の説明として、時に、仁とは克己のことである、という説明がされるのは、この句に拠るものであろう。
さらに仁の詳細を顔淵が問うたことに対し、孔子は、「見る、聞く、言う、行動する」基準が礼にかなっているようにという。

「正しく見る、正しく聞く、正しく言う、正しく行動する、己を克服すべく正しい思念を持って精進する」ということである。

こうしてみると、孔子の言う「仁」を追究する学び・研鑽なるものは、釈迦の唱えた八正道(正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、正定)とほとんど同じ、パラレルな内容であることがわかる。

礼は、広義には「正しい規範」のことである。礼にかなった、を正しい、と置き換えてみれば、孔子のこの句と釈迦の八正道の教えがほとんど似通っていることがわかる。

無私、志道、克己、利他、謙譲が、無我と八正道と置き換えることができるとすると、仏教でも原初の教えである釈迦の教えのエッセンスとこの句に見える孔子の仁の教えはかなり相通じるというべきであろう。

なお、先進篇第十一に
「子曰く、回やそれちかきか、つねに空し」という句がある。
・・・直訳「(ほかの弟子たちを一言で評したのち)顔回は私に近い。つねに空である。」
大乗仏教の原初の般若経の根本概念が「空」である。「空」は釈迦の原初の教えの「無我」に近いが、大乗仏教の「空」には社会的存在として利他への志が背景にあり、無我をより肯定的にした概念と大乗仏教では解されている。
孔子は、様々な弟子を一言で喩えるなかで、自らと、自らの最高の弟子であった顔回をして、空と喩えた。
孔子は、上記の雍也篇で、顔回を自分と比べても長く仁の境地にあり続けられる者と評した。つまり「仁」と「空」は顔回への端的な評言であり、孔子が自らのあるべき特性として共鳴する点である。
仁に、空の概念が含まれると考えることは、容易に可能であると思われる。
ちなみに、孔子が生きた時代は、釈迦とは前後するが、大乗仏教の興隆よりはかなり前である。
大乗仏教の「空」は、サンスクリット語の「ゼロ」の漢語訳であるから、孔子の言う「空」とは時代も遅れるし、淵源が全く異なる。
しかしながら、孔子が顔回や自らを評した「空」は、大乗仏教の「空」と相通ずるものがあると言わざるを得ない。
後世の儒家たちが、この点にほとんど気づいていないのは、奇妙に思われるくらいである。
これは、後世、孟子や朱熹の解釈が孔子の思想の解釈のスタンダードとなったことと無縁ではないだろう。
孟子の仁の解釈は当たっている部分と狭く解釈した部分があるし、朱熹にしてもそうである。

*なお、孔子が顔回を評した「空」を、現代の日本語訳の殆どは「米櫃が空=貧しかった(が道を楽しむ)」と訳するが、これはおそらく朱熹以降に確立した解釈である。一方、加地伸行の訳は「心空(むな)し」と訳す。これは、南北朝時代の論語義疏(先進篇の該当箇所)といった古注によるもので、空とは虚心、心を虚しくすることで、心を虚しくすることが道を知るに不可欠で、聖人の道である、それが顔回を空と評した孔子の意図である、という解釈が、朱熹以前には「顔回は貧しい」と解するほかにもかなり有力だった。私見も、顔回を一言で評するのに「米櫃が空だった」はあんまりだろう、と考えるので、古義に拠った加地訳に与したいと思っている。

(9)「樊遅仁を問う。子曰く、人を愛すと」
仁の意味が、「愛」「思いやり」のことであると言われるのは、この句によるものであろう。 「敬天愛人」の淵源も、この句であろう。
しかし、この論語でいう「愛」はLOVEの意味ではない。
古代中国語の愛、原始仏教の愛(執着であるとして否定的)、密教の愛(絶対肯定)、キリスト教でいう愛、現代語としてのLOVE(男女の愛)、は、みな意味するところがが異なる。
古代中国語の愛は、広義には、他人を大切に思い大切に扱う気持ち、というのが一番語感に近いように思う。

(10)「樊遅仁を問う。子曰く、居所恭しく、事を執りて敬し、人と忠なるは、夷狄にゆくといえども棄つべからざるなり」(子路篇第十三)
・・・(直訳)「家にいてもうやうやしく身を慎み、物事に当たれば敬意の念をもって懸命に励み、人に対しては心から誠実であること」
この仁も、思いやり、ではないであろう。無私、克己、利他の心構えと態度のことであろう。

(11)「剛毅木訥、仁に近し」
この仁も、思いやりとは、訳せない。
無私、志道、克己、利他、謙譲だと考えれば、剛毅も朴訥も、心構えや態度としてはかなり性質が近い。

(12)「仁者は必ず勇有り。勇者は必ずしも仁有らず」(憲問篇第十四)
この仁も、思いやり、の意味ではない。
志道、克己の末に、無私・無我の境地に達した者は、物事にひるまないので、必ず勇の徳性を具備するという意味であろう。
勇のことを論じているのに、他人への思いやりがと論じるのは、いささか論証として必然性がなくつながりが弱いであろう。
ここで仁のことを思いやりという語意で論じているものとは思われない。

(13)「子張仁を孔子に問う。」「曰く、恭・寛・信・敏・恵なりと。恭なれば則ち侮られず、寛なれば則ち衆を得、信なれば則人任じ、敏なれば則ち功あり、恵なれば則ち以て人を使うに足れりと」(陽貨篇第十七、堯曰篇第二十)
ここでいう仁が、単に思いやりでないことは明らかである。
無私、志道、克己、利他、謙譲の心構えと態度をもって周囲に接したときの効果を述べたものであろう。
但し、仁者であることの利を説いているようにも見えて、やや功利的で、孔子の教えというより子張ら後世の弟子の教えと思えなくもない。

(14)「子夏曰く、博く学びて篤く志し、切に問いて近く思う。仁そのうちにあり。」(子張篇第十九)
この仁も、思いやり、の意味でないことは明らかである。
志道、克己のためにたゆまず学び努める中に、仁がある、という意味であろう。
なお、朱熹の著「近思録」の語源はこの句にある。

————————————

長々と論語を引用した。

このように、「仁」を「思いやり」と解しては文意が定まらない箇所が実に多いのである。

もっとも、仁を「思いやり」「仁愛」と解して矛盾がない箇所も多いし、そう訳した方が良い箇所もある。

しかし、仁が、「思いやり」「仁愛」だけの語義でないことは、こうやって論語中で仁の語が現れる箇所を一通り検証してみると、改めて自分の臓腑に落ちる思いである。

孔子によって、仁が場面場面でかなり複合的な意味でつかわれるのは不思議なことではない。

英語の”integrity”が、同様に、はなはだ複合的な徳を含む概念として使われることが思い起こされる。

孔子は、語義として通有的な意味を超えて仁という言葉を造語的に使っていた可能性が高い。

とはいえ、上記のような「仁」の語義の解釈は、多くの碩学が書かれた論語の訳や解説書ではほとんど採られていない独自の見解であって、私は、自分の見解の方が正しいとか優れていると唱えるつもりはない。

大修館書店「大漢和辞典」でも「仁」には17種類もの意義が書かれているが、論語に関していえば意味は「いつくしむ、親しむ、思いやり、慈しむ、親しみ、克己、徳化、善政」などである。

ただ、文意の解釈としては、私の読み方が自然だと、今ではほぼ確信に近く感じている。

愛読書として折に触れて論語を読んで三十六年を経てようやく、論語の最上の徳「仁」の語意の解釈に、自分なりにたどり着いた、という思いである。

人権疲れとトランプ現象

1月 17th, 2017

トランプ現象の背景にあるのが、米国の国民の「ポリティカル・コレクトネス」に対する嫌悪感の拡がりにある、というニュース解説が目立つようになった。

アメリカの民主党政権というのは、歴代、概して、米国内にとどまらず、外国の人権状況に対するコミットメントが厳しく、クリントン政権もさりながら、オバマ政権に至ってその傾向は強まったと言えるだろう。

そもそも、オバマ政権の前のジョージ・W・ブッシュ大統領の共和党政権が、「サダム・フセインを打倒して、イラクに民主主義を根付かせる」「民主主義の戦い」と宣言して、あのイラク戦争を引き起こしたのである。

その結果が、イラクの宗派対立からの大混乱と内戦、あげくにISの台頭である。

さらに、イラク戦争は、中東の独裁国家への反発を広げ、アラブの春を誘発する。

アラブの春で、革命がある程度成立してしまったほとんどの国は内戦などの大混乱に陥った。

独裁が復活したエジプトなどは人権抑圧とともに安定を取り戻しもしたが、最悪の結果がアサド独裁政権下のシリアで、ISはおろか、反政府組織もテロ組織に親和性があり、それに対するアサド政権の虐殺と人権抑圧は内戦前よりはるかに激化した。

EUにはシリアから難民が大量に流入し、難民を寛容に受け入れてきたドイツやフランスの「ポリティカル・コレクトネス」を根本から揺るがした。

イギリスに至っては、EUの理想である一つのヨーロッパというという「ポリティカル・コレクトネス」から、国民投票によるEU離脱決定という形で、背を向けてしまった。

その中でのトランプ現象である。

「ポリティカル・コレクトネス」に対し、あからさまに露悪的に背を向けた言動を繰り返したトランプ氏を地滑り的に大統領に押し上げた米国社会には、どこか「ポリティカル・コレクトネス疲れ」の空気がひっそりと拡がっていたのだと思われる。

フィリピンでは、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、検察官出身であり、ダバオ市長時代から麻薬犯罪に対する過激なまでの取り締まりをしてきたが、ドゥテルテ大統領の言動を、オバマ政権が人権侵害であると繰り返し警告したことから、ドゥテルテ大統領が激しく反発し、米国とフィリピンの国家間の関係は抜き差しならない状態に陥ってしまった。

ドゥテルテ大統領は、検察官出身で、現時点では少なくとも、見境の無い暴君というわけではなさそうである。

フィリピンの麻薬戦争において麻薬密売犯罪組織を撲滅するためにやむにやまれぬ強硬手段を講じているという自覚を持っていることが、言動からうかがえる。

コロンビア麻薬戦争、メキシコ麻薬戦争といった、犯罪組織との内戦ともいうべき状態にある国々を見ていると、フィリピンの麻薬組織の深刻さと社会全体にもたらしている被害も相当なものであり、それが、麻薬組織に対し殺戮を辞さない超法規的な取り締まりをおこなうドゥテルテ大統領が、国民支持率90パーセントという異常な支持を獲得している理由であろう。

もちろん、ドゥテルテ大統領の行為が、デュー・プロセスでアウトであることは疑問の余地はなく、ペルーのフジモリ大統領のごとく(フジモリ大統領もペルーの麻薬組織を強引に撲滅して社会的経済的安定をもたらした)、政治的に落ち目になれば職権濫用・虐殺の汚名を着せられることは容易に想像がつく。

ドゥテルテ大統領は、そこまで予測しながら麻薬密売犯罪組織の壊滅を優先しているかのような開き直りを感じる。

これが、ドゥテルテ大統領が守りに入って自らの保身に走った時は、たちまち市民を弾圧する独裁政権へと転ずる可能性は否定できない。

一方、麻薬組織の撲滅がひと段落つけば、法曹らしくデュープロセスに回帰する可能性もある。

トランプ大統領はといえば、ポリティカル・コレクトネスを偽悪的に貶めるような発言が目に付く。

ポリティカル・コレクトネスそのものがトランプ氏自身に対する攻撃手段だとみなして、手当たり次第に反発しているように見受けられる。たいしたことでもないのにスルーができていないのが幼稚に見えるくらいである。

そんなトランプ政権は、オバマ政権とは打って変わって、外国の人権抑圧状況をスルーするようになる可能性が高いと思われる。

これは、一面では世界の人権外交と人権状況の後退である。

しかし、米国の人権外交が、OECDレベルの先進国を除けば、多くの国にとって国の実情を無視した迷惑な内政干渉、政権転覆行為、犯罪組織の跋扈や混乱を助長し国民を不幸に陥れる行為と、しばしば受け取られていることも、一面の事実である。

さらに、多くの場合、米国の人権外交は、実は米国の国益追及と裏でリンクしていて、米国の国益にそぐわなければ米国はしばしば人権外交を手控える、という批判も、また一面の真理であろう。

例えば、中国国内での人権抑圧には、米国の歴代政権は、民主党政権含めて、極めて寛容である。

米国の、イラク戦争の遂行や、アラブの春への中途半端な口先介入による混乱が、人権外交の結果だとすれば、人権外交が招いた中東の諸国民にとっての結果として最悪である。

トランプ大統領のアメリカは、外国との経済関係とのバーターで、外国の人権状況など、簡単にスルーしてしまうように思われる。

そういう意味で、トランプ政権下で、対ロシア、対フィリピンなどとの関係の改善が見込まれるのは、予想とたがうところではないだろう。

トランプ次期大統領は、シリアなどはアサド政権とロシアの圧政に任せた方がよいと、まじめに考えている可能性が高い。

米国基準の感覚で人権を振りかざすことが、ある国家の状況においては、最大多数の最大幸福に必ずしもつながらないことを、米国が、対外的にも、対内的にも、ここ数年で示してしまったのかもしれない。

それは、世界にとって、長期的には不幸なことであるが、短期的には社会の安定と経済的繁栄をもたらすかもしれない。

トランプの米国が、人権外交を押し付け振りかざすというオプションをあまり行使しなくなる、というのは、ある意味米国が世界の多様性を認め、傲慢な理想の押し付けを控えるようになる、といえるようにも思われる。

米国の傲慢な利益誘導とパワーゲームが逆に増えるとは思われるが、それはそれで他国からすれば米国の行動基準を予測しやすくするかもしれない。

一方、トランプ氏の論理と政策が、米国民の幸福の最大化をもたらすかは、正直疑問なようにも思う。

とにかくも露骨に利益誘導的でエキセントリックで、一国の指導者としての持続可能性に疑問がわくほどに危なっかしい。

とはいえ、米国という民主主義社会は極めて強靭であるから、とことん深刻な事態にはならないとも思われる。

なにしろ、8年間のジョージ・W・ブッシュ政権すら、米国はやり過ごしてきた。

ブッシュ政権のもとで起きたリーマンショックは民主党政権がしりぬぐいをし、アフガニスタン戦争・イラク戦争は共和党が政権を奪還してなおまだ負の遺産として尾を引いているが。

米国はやはり民主主義国家としては別格だと言わざるをえない。

しかし、歴史を鳥瞰すれば、先進国と中進国と途上国、さらにはキリスト教国とイスラム諸国とアジアの国々を、経済的状況もさりながら人権状況において、ひとくくりにすることができないこと、それぞれの国がめざす解は短期的中期的に一つではないことも、また事実である。