藤井総太棋士が九段になる日

3月 23rd, 2018

藤井総太六段の活躍から目が離せない。

2016年10月1日、中学生にして、奨励会を抜けて四段昇段、プロ入り。

2017年6月26日、デビュー以来の29連勝の新記録達成。

2018年2月1日、名人戦の順位戦C級1組に昇級して五段昇段。

2018年2月17日 五段昇段後全棋士参加棋戦(朝日杯将棋オープン戦)に優勝し、六段昇段。

ちなみに、藤井総太棋士のデータベースは、日本将棋連盟の以下のサイトで見られる。
https://www.shogi.or.jp/player/pro/307.html

戦績が一番わかりやすいのは以下のサイトかと思う。
http://kishi.a.la9.jp/2017R/1307.html

29連勝が止まってから、2018年1月11日以来、2018年3月23日まで、16連勝と、ふたたび連勝街道を邁進している。

その16連勝の中で、現A級棋士だけでも、佐藤天彦名人、羽生善治竜王、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段(次期A級に昇格決定済み)に勝利した。

既に、それまでに、屋敷伸之九段にも勝利している。

非公式戦も含めれば、佐藤康光九段、深浦康市九段、行方尚史八段にも勝利している。

藤井総太棋士に勝ったA級棋士は、現時点で、稲葉陽八段、深浦康市九段、豊島将之八段。いずれもA級棋士の中でも絶好調の棋士である。

まだ当たっていないA級棋士が、渡辺明棋王、久保利明王将、三浦弘行九段。

こうやってみると、藤井総太六段の棋力は、名人戦A級棋士らと既に対等以上である、といって差し支えないと思われる。

どれほどすごいことか。

高校の全国選手権クラスとなると、一般の将棋ファンからすると神の領域である。

大学トップクラスとなるとさらに高校選手権クラスなど苦も無くひねってしまう。

しかし大学トップクラスといっても奨励会三段にはほとんど勝てるものではない。

その奨励会も30人中、半年で2人しか四段に昇格できず、26歳の年齢制限で大半の会員は脱落して辞めていく。

四段昇格で晴れてプロ棋士となるわけだが、名人戦リーグに参加しても、A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5段階に分かれ、一番下のC級2組だけで50人が所属する。上位の棋士をなぎ倒す若手棋士もおれば、上の組から落ちてきた強豪棋士がひしめく。その中でC級1組に昇給できるのは年に3人だけ。

そのC級2組も全勝で1年で突破である。

藤井総太棋士は、実は、デビュー以来の29連勝中のあと、上位の棋士にかなり負けが込んだ時期がある。

しかしたちまち再び連勝を再開し、特にこの16連勝中の差し回しは、29連勝中に輪をかけて顕著に強くなっていて、A級棋士相手に対等以上の戦績を収めており、もはやA級棋士に交じっても最強と言えるレベルに達しているように思われる。

私も学生時代から将棋ファンではあったが、将棋部の同級生には飛車角香落ちでも簡単にひねられていた。

それでも将棋の定跡をいろいろ覚えこんだものだったが、羽生善治がタイトル戦に登場したころから、定跡の変化があまりに早くなり、また複雑化し、もはや全くついていけなくなってしまい、「見るだけ」に陥ってしまった。

それ以来、だんだん棋譜を見ることからも遠ざかってしまった。

子供心にカッコよかった振り飛車が戦法として落ち目になり、藤井システムには興奮したものの、居飛車優位の傾向が続き、さらに玉を囲わない急戦が当たり前になり、さらに居飛車穴熊などという戦法をプロが真面目に指すようになって、なにか、価値観が崩壊したような不思議な感覚に襲われることが多くなった。

ひさびさに注目したのが、「電王戦」(今の叡王戦)であった。

AI対、人間の棋士。

しかし、これも、コンピュータのAIプログラムで、自己対戦によるアルゴリズム強化が圧倒的演算量でおこなわれるようになったことで、もはや、「人間が勝てるわけがない」ことがはっきりした時点で、興味を失ってしまった。

そんな中で、藤井総太棋士の登場である。

玉を囲わない急戦が当たり前な現代の棋戦の中でも、藤井総太棋士の早攻めは群を抜いているように思われる。

とにかく、攻め出すタイミングが早いのである。

しかも、たいてい、自分から戦端を開く。

このあたりはAIの早攻めとよく似ている。

え?、無理して早攻めしてない?と思うくらいであるが、なぜかしのぎ切って勝ちに持って行ってしまうのである。

中盤終盤での正確な寄せが速く読み切れるから、多少無理な攻めでも相手が最善手を指し続けられないために、どこかで有効に成立してしまうのである。

羽生善治が7冠になったころ、圧倒的に勝ち進んでいたころが、まさにそういう差し回しだった。羽生マジック、と言われていた。相手のミスを誘うと。

が、藤井総太棋士の差し回しのほうが、序盤から一貫して、羽生善治の20代よりもはるかに正確、と言われている。

寄せ方は盤石。

詰め将棋で棋界随一の実力者であるが、ここまで実戦で強いのと両立する棋士はかつていなかった。

すべてが規格外である。

とにかくみていて気持ちいい。

何百人といるプロ棋士たちは、もはや、A級棋士も含めて、「藤井総太には勝てない」とあきらめの境地に入りつつあるような気がする。

その藤井総太棋士が、昇段において、九段まで上がれるのは、最短でいつになるのであろうか。

日本将棋連盟 棋士昇段規定
https://www.shogi.or.jp/match/dan_provisions/

昇段規定は、8大タイトルをとることで、七段までは比較的昇段はしやすい。

しかし八段への昇段は非常に条件が厳しい。

最高位の九段となると、八段になってからでないと昇段はできないので、たとえば、タイトルを3期獲得しても、一旦八段になっていないと昇段はできない。

つまり藤井総太棋士が九段になろうと思えば、どこかで八段になっておかないといけない。

その八段になる条件が、非常に時間がかかるのである。

羽生善治が九段になれたのは、タイトルを三期以上保持したうえで、名人戦A級に昇級した時点(23歳6か月)だった。

名人戦A級になるには、プロ入りから毎年昇級しても5年かかる。

つまりそもそも名人位に就いて九段に昇段するにはプロ入り5年以内は無理なのである。

ちなみに、ひとつだけ、五年以内に八段に昇段できる可能性は、「竜王位1期獲得」である。

2期で九段に昇段する。

ちなみに、竜王位挑戦だけで昇段する。

この昇段規定は、渡辺明五段が竜王に挑戦し一気に竜王位を獲得したころに少し緩和された条件で、渡辺明竜王はこれで竜王位を2期保持して、21歳7か月で九段に昇段した。

竜王戦は、竜王戦リーグの一番下の六組の棋士でも、予選トーナメントで各組の優勝者らをひたすら破って勝ち抜けば、実はプロ入り一年目でも竜王位への挑戦は可能である。

藤井総太棋士は、一年目は六組では優勝したがその上のトーナメントで敗れた。

しかし、翌年の竜王戦リーグではどうだろうか。五組優勝から、挑戦者となり、羽生善治竜王を破る、という可能性は、いまでも既にA級棋士の絶好調棋士以外は藤井総太棋士に勝てない状況からして、十分にあり得るものと思われる。

王座獲得→竜王位獲得→もう一つのタイトル(王将くらいがありうる)獲得で、九段になれるわけであるから、2019年前半には、九段に昇段してしまう可能性があるのである。

昔からの将棋ファンには、九段といえば、大山康晴、升田幸三、中原誠の三人、ほぼタイトルホルダーというイメージであった。

まさにヒーローとあがめる領域であった。

その後、勝ち星やA級在籍年数で八段から九段に昇段できる規定変更のためにずいぶん九段が増えたが、子ども心にヒーローはいつもその三棋士であった。

歴代の九段の中で、文句なしに上記三名と並び崇めるべき存在と言えば、谷川浩司、羽生善治がまず挙がるであろうか。

佐藤康光、渡辺明、森内俊之がそれに次ぐ存在だろうか。

藤井総太棋士は、どうやら、「谷川浩司・羽生善治・藤井総太」と、同時代に生きて、それぞれ自分の時代を築いた三人の棋士として、並び称される存在となるように思われる。

升田・大山・中原の三巨頭がヒーローとして並び称された時代の再現というべきであろうか。

オールド将棋ファンの心を、40年の時を経て、童心に帰ったようにワクワクさせてくれる、新しい将棋ヒーローの出現と、今回の将棋ブームの始まりに、まことに心躍る日々である。

精神疾患に関する労災認定について~財務局の決裁文書書き換え問題

3月 16th, 2018

森友学園に対する土地払い下げに関し、近畿財務局で文書の書き換え(改ざん)がなされていたことが判明して、大きなニュースとなっている。

朝日新聞は平成30年3月2日付の朝刊で、近畿財務局が契約当時に局内の決裁を受けるために作った文書の内容が昨年2月の国有地売却問題の発覚後に国会議員らに開示した決裁文書の内容と違っている、と報じた。

さらに、近畿財務局で、決裁文書作成(書き換えにも関与?)当時の担当職員が、昨年秋頃から体調不良で休職しがちになっていたところ、3月7日に自殺したというニュースが流れている。

痛ましい流れになってしまっている。

決裁済の公文書を訂正印で対応するのでなく差し替えてしまうと言うのが言語道断であることは論を待たない。

公文書偽造・虚偽公文書作成罪などの可能性も取り沙汰されているが、決裁権があるものが了解して作り替えた場合、さらに結論や理由の本質的部分にわたらない場合には、そういった罪が成立するかは、必ずしも定かでは無い。

しかし、公文書の決裁に関する規程を逸脱した、ルール違反の行為であったことは疑いをみないわけで、関与した者がラインごと軒並み懲戒処分になることは避けられないと思われる。

さらに、報道されているところによると、自殺した担当職員が、休職前に月100時間の残業をしていたこと、おそらく上司の指示で決裁文書の書き換え作業をさせられていたであろうことが報道されている。

この報道をみて、私が感じたのは、なんともいえない痛ましさとともに、「労災適用になるだろう」というものである。心理的負荷の要因としては、長時間労働と、業務に関して違法行為を強要された(それがマスコミにより公になった)、という2点に該当することになるように思われる。

メンタルヘルス型の労災認定は、申請されるうち認定される率は3割台で推移しており、業務上災害とされる割合は決して高くない。しかし、3割台という数字は決して低くはないとも言えるだろう。

最近5年間の精神障害の労災認定件数の統計は以下である。

平成28年度「過労死等の労災補償状況」を公表:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168672.html

表2-1 精神障害の労災補償状況
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11402000-Roudoukijunkyokuroudouhoshoubu-Hoshouka/28_seishin.pdf

メンタルヘルスから自殺まで到った事案は、年間百数十~二百件程度である。

そして、メンタルヘルス型の労災認定基準は、以下のものである。

精神障害の労災認定
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/120427.html

基労補発1226第1号
平成23年12月26日
都道府県労働局労働基準部長 殿
厚生労働省労働基準局
労災補償部補償課長
心理的負荷による精神障害の認定基準の運用等について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120118b.pdf

この、メンタルヘルス型労災の、労災認定基準の判断プロセスと要素は、非常に多岐にわたるが、判断要素は

精神障害発病前おおむね6か月の間に、当該精神障害の発病に関与したと考えられる業務によるどのような出来事があったのか、その出来事の心理的負荷の強度はどの程度と評価できるか

である。その中でも、実務上特に重要視されるファクターが、

超過勤務時間が過労といえるレベルだったかどうか

である。

超過勤務時間についていえば、上記「心理的負荷による精神障害の認定基準の運用等について」の中で、以下のように記載されている。長くなるが引用する。

ア 極度の長時間労働による評価
極度の長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となることから、発病日から起算した直前の1か月間におおむね160時間を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。
イ 長時間労働の「出来事」としての評価
長時間労働以外に特段の出来事が存在しない場合には、長時間労働それ自体を「出来事」とし、新たに設けた「1か月に80時間以上の時間外労働を行った(項目16)」という「具体的出来事」に当てはめて心理的負荷を評価する。
項目16の平均的な心理的負荷の強度は「Ⅱ」であるが、発病日から起算した直前の2か月間に1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行い、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであった場合等には、心理的負荷の総合評価を「強」とする。項目16では、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった(項目15)」と異なり、労働時間数がそれ以前と比べて増加していることは必要な条件ではない。
なお、他の出来事がある場合には、時間外労働の状況は下記ウによる総合評価において評価されることから、原則として項目16では評価しない。ただし、項目16で「強」と判断できる場合には、他に出来事が存在しても、この項目でも評価し、全体評価を「強」とする。
ウ 恒常的長時間労働が認められる場合の総合評価
出来事に対処するために生じた長時間労働は、心身の疲労を増加させ、ストレス対応能力を低下させる要因となることや、長時間労働が続く中で発生した出来事の心理的負荷はより強くなることから、出来事自体の心理的負荷と恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)を関連させて総合評価を行う。
具体的には、「中」程度と判断される出来事の後に恒常的な長時間労働が認められる場合等には、心理的負荷の総合評価を「強」とする。なお、出来事の前の恒常的な長時間労働の評価期間は、発病前おおむね6か月の間とする。

ごくかいつまんでいうと、別表1の項目16において、
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427_4.pdf
・80時間未満の時間外労働の場合に「弱」(他の盲目で評価されない場合のみ)
・80時間以上の時間外労働の場合に「中」(他の盲目で評価されない場合のみ)
・発病直前に連続2ヶ月間120時間以上の時間外労働または連続3ヶ月間に100時間以上の時間外労働の場合「強」
ということになる。

1ヶ月100時間程度の時間外労働が恒常的に続いていた場合は、上記の「ウ」に該当するから、他の出来事(3段階で「Ⅱ(中)」程度のストレス要因)と合わせて、「強」程度に属する心理的負荷があったと認定されやすいであろう。

そして、本件では、決裁権者の指示でも無い限り自発的にこの様な書き換えを末端の担当者がおこなうとは通常考えられないから、平成23年版の心理的負荷による精神障害の認定基準によれば、「業務に関連し、違法行為を強要された」として、心理的負荷として、Ⅱ(中程度)に該当する可能性が高い。

また、本件の場合、マスコミに公になることによって、決裁文書の書き換えを担当した者は、責任を問われることが相当な確実性で見込まれる。これは、「会社で起きた事故、事件について、責任を問われた」として、心理的負荷として、Ⅱ(中程度)に該当する可能性が高い。

中程度以上の出来事が2つ以上存在する場合は、心理的負荷は、「強」または「中」とされる。なお、「強」になるか「中」になるかは、近接の程度、出来事の数、その内容を考慮して全体を評価することになる。

決裁文書書き換えからマスコミへの発覚までには6ヶ月は経過しているようであるが、本件では、6ヶ月以内の昨年秋で既に発病しており、またその後マスコミにより公文書書き換えの事実が発覚したことにより、さらに心理的負荷を生じたといえるから、合わせて「強」と評価される可能性は高いように思われる。

このような生生しい時点で、労災認定基準への当てはめをおこなうことには、正直躊躇もあるが、精神障害の労災認定のシミュレーションとしては非常にわかりやすい事例である。

従業員や公務員が、上司に指示されたり、または暗黙の了解で、業務上、違法行為や隠蔽行為に加担させられて、精神的に追い詰められて自殺をするという事件は、報道に接する度、あまりに痛ましく、およそあってはならないことである。

だからこそ、精神障害の労災認定基準でも、平成11年以来、ファクター(出来事)の中に、「違法行為を強要された」ことを掲げている。

本件では、ある意味、労災認定されやすいファクターが揃ってしまっているように思われる。

本件で仮に労災申請がされた場合に、労働基準監督署が、労災申請を却下するとは考えにくい。

労働基準監督官も、公務員として、決裁文書の書き換えをさせられる、さらにそれが発覚してマスコミで大々的に取り上げられる、ということのおぞましさは、痛いほどよくわかっていると思われるからである。

振り返って、マスコミ報道で、もとの文書と書き換え後の文書があれこれ比較されているが、そもそも、もとの決裁文書が長々と不要なことを書きすぎているように思われる一方で、削除したとされる部分も、別に政治家から財務局への口利きや働きかけがあったと書いているわけでもないから、わざわざ書き換えるほどでもなくて、仮に国会で問題になっても正直に答弁するか、あるいは詰めずに決裁文書と異なる答弁をしてしまったのであれば答弁の方を修正すればよかっただけのようにも思われる。

財務省・財務局のやっていることの、つたなさ、見苦しさに、首をかしげる、というのが正直なところであるが、その結果は、あまりに痛ましいものであった。

あらゆる組織のリーダーたるものは、もって他山の石とすべきニュースである。

単に批判するのはいささか安易で、批判するにしても、どこまで自分の問題として引きつけて考えられているか、が問われるところである。

JASRACは音楽教室団体に勝ったの?

3月 9th, 2018

今日は、著作権について書いてみよう。

ニュースでも流れているところであるが、平成30年3月7日付で、「音楽教育を守る会」がおこなった一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に対する裁定の申請を認めないとする内容の裁定を文化庁が行った。

文化庁:著作権等管理事業法に基づく裁定について
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1402106.html

ニュースの字面だけみると、文化庁が、JASRACを勝たせて音楽教室を敗かしたように聞こえてしまう。

しかし、上記のURLを辿って、内容をよく読めば、別に全然そんな内容ではない。

文化庁はJASRACを勝たせてもいなければ、もちろん敗かせてもいない。

裁決の結論は以下の主文に書いてある。判決でも主文というのが結論である命令となる。

 主 文
平成 29 年6月7日付けで一般社団法人日本音楽著作権協会から文化庁長官に届出のあった使用料規程については,音楽教育を守る会が求める実施の保留は行わず,著作権等管理事業法第 24 条第3項に基づき,本裁定の日をもって実施の日とする。

これは、JASRACが届け出た使用料規程の実施時期を延期しない、というだけの意味である。

一方、別に、「音楽教室を守る会」は、JASRACに対して平成29年6月20日、訴訟を提起し、現在、東京地方裁判所において係属中である。

音楽教室を守る会
https://music-growth.org/

JASRACによる音楽教室における著作物の使用料徴収に対し、東京地裁に「音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不存在確認訴訟」を提起しました
https://music-growth.org/topics/170620.html#box-psc01

正確にいえば、同会に所属する249社が原告団を結成し、JASRACによる音楽教室における著作物の使用料徴収に関し、音楽教室でのレッスンには著作権法に定める演奏権は及ばず、JASRACの徴収権限は無いことを確認するための「音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不存在確認訴訟」を東京地方裁判所に提起した、というものである。

要は、音楽教室がJASRACに使用料を払わなければいけないかどうかは、あくまで裁判によって決着がつくべき話である。

おそらく音楽教室もJASRACも引くことはないと思うので、最高裁判決まで至ることになるであろう。

では、この文化庁の裁定というのは、いったい、なにを審理していたのか。

本来ただの民間の社団法人であるはずのJASRACが、通信カラオケの月額使用料から、あるいはテレビ・ラジオ局から、あるいは音楽を流すカフェなどの店舗そのほか音楽の著作権法上の利用に該当する行為をしている利用者に対し、いきなり訴訟を起こしたりして、著作権使用料を請求できる根拠は、「著作権等管理事業法」という法律に基づくものである。

JASRACは、著作権管理事業法に基づき、指定著作権等管理事業者として、指定されている団体であり、2001年以前は許可制であった(JASRACは許可を得ていた)が、2001年以降は届出制となっている。

指定著作権管理事業者は、なにもJASRACだけではない。

こんなにある。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kanrijigyoho/jigyosha/index.html
一般社団法人 日本音楽著作権協会
協同組合 日本脚本家連盟
協同組合 日本シナリオ作家協会
公益社団法人 日本複製権センター
一般社団法人 日本レコード協会
公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会
有限責任中間法人 出版物貸与権管理センター

残念ながら私もJASRAC以外ほぼ知らない。100パーセント独占ではないということだけ知っている。

それくらい、音楽著作権管理の業界は、圧倒的にJASRACの寡占が生じており、実際は事実上独占に近い。

独占禁止法で違反として分割すべきではないかとまで批判されるのも、わからないではない。

さて、では、指定著作権管理事業者が、どんな事業から使用料を徴収できるのかは、実は、著作権管理事業法にはなにも規定されていない。

著作権管理事業法13条1項により、指定著作権管理事業者は、使用料規程を定めて、文化庁に届け出なければならないとされている。

届出であるから、文化庁は、届出された使用料規程を否定(たとえば却下したり不受理にしたり)は、できない。

もっとも、指定著作権管理事業者が使用料規程を定めたり変更しようとするときは、利用者又は団体から意見を聞く努力義務(13条2項)、公表義務(13条3項)、使用料規程の届出から実施まで30日を置く義務(14条1項)がある。

さらにいうと、その使用料規程が著作物等の円滑な利用を阻害するおそれがあると認めるときは、文化庁は届出受理日から3か月(最大6か月)を超えない範囲内で実施日を延長することができる。

また、指定著作権管理事業者は、利用者から協議を求められれば協議に応じなければならず(23条2項)、協議が成立しないときは文化庁に裁定を求めることができる(24条1項)。

さて、それであれば、著作権のもめごとはなんでもこの裁定で決めてもらえるのだろうか、といえば、実は全然そうではない。

この裁定が決めてくれるのは、当該使用料の金額・料率などの条件だけである。言ってみれば高いか安いか。

24条6項において

 使用料規程を変更する必要がある旨の裁定があったときは、当該使用料規程は、その裁定において定められたところに従い、変更されるものとする。

とされているのがそれである。

つまり、「音楽教室が著作権使用料を払う必要があるかないか」「音楽教室が教室内の演奏により音楽家の著作権を侵害しているか」「いくらを損害賠償として支払え」というのは、文化庁の法24条裁定の審理の対象ではない。

あくまで裁判所が判決で決めることなのである。

だから、上記の文化庁裁定は理由中でこう書いている。長くなるが引用する。

 申請人は,本件裁定申請とは別に,その会員の一部を原告,相手方を被告として,本件使用料規程が対象とする音楽教室における著作物の使用に関して相手方に請求権がないことの確認を求める訴えを提起し,東京地方裁判所において現に係属中である(以下「別件訴訟」という。)ところ,申請人は,そのことを理由として,別件訴訟の判決が確定するまで本件使用料規程の実施を保留することを求めるものである。しかし,仮に申請人の求めるとおり保留するとすれば,保留されることとなる期間は一義的に明確ではなく,また,仮に上告審まで争われる場合には長期間を要する可能性があり,その場合には著作権等管理事業法が定めている上記の実施禁止期間を大幅に超えてしまうこととなる。したがって,別件訴訟の判決が確定するまで本件使用料規程の実施を保留することはできないと考えられる。
 また,仮に別件訴訟が早期に終了する可能性がある場合であっても,そもそも,著作権等管理事業法においては,原則として,当該利用区分に係る個別具体の利用行為に著作権等が及ばないと利用者が主張していることを理由として,文化庁長官に届出のあった使用料規程の実施を裁定によって保留することは予定されていないと考えられる。
 なぜなら,上記「2」記載のとおり,著作権等管理事業法においては,使用料規程が届出制とされており,届出制のもとにおける使用料規程の実施の効果は,利用区分ごとの使用料の額等が明確化されるにとどまり,それを超えて,当該利用区分に係る個別具体の利用行為に著作権等が及ぶことを公に認めるというものではなく,当該利用区分に係る個別具体の利用行為に著作権等が及ぶか否かについては,著作権等が及ばないことが一義的に明らかである場合等は異なる扱いをすることがあり得るとしても,当事者間による協議,それが妥結しないときは最終的には司法の判断により決定されるということが予定されていると考えられるからである。
 翻って本件を見ると,別件訴訟における争点である相手方の請求権の存否については,法律分野に係る有識者からもその判断が容易ではない旨の意見陳述があったところであり,本件使用料規程については,少なくとも,著作権等が及ばないことが一義的に明らかである場合等(注3)には当たらない。このことを踏まえると,当該利用区分に係る個別具体の利用行為に著作権が及ばないと利用者代表が主張していることを理由として,文化庁長官に届出のあった使用料規程の実施を裁定によって保留することはできないと考えられる。
 以上のことから,申請人の求めるとおり,別件訴訟の判決が確定するまで裁定によって本件使用料規程の実施を保留することが妥当であると認めることはできない。また,このように,裁定によって本件使用料規程の実施を保留しなかった場合であっても,そのことは,当該利用区分に係る個別具体の利用行為に著作権が及ぶことを公に認めるものではなく,この点については司法判断に委ねられるものであることは上記のとおりである。

裁定は、くどくどしいくらい、音楽教室の音楽の利用行為に著作権法が及ぶかどうかについては司法判断にゆだねられるものであること、文化庁が著作権管理事業法で裁定するものではないと言っている。

裁定では正面から争いにはなっていないようであるが、仮にJASRACの利用料規程が高いか安いかを判断しようにも、司法判断が確定しないと無理だ、ということになるのであろうか(少なくともJASRACの利用規程が不当に高額かどうかは現時点でも裁定申請にはなじむと思うのだが、音楽教育を守る会が全面的に戦うという姿勢からすると、腰折れな争い方になるのでその係争方針はとらなかったものと思われる)。

なお、裁定の末尾において、文化庁は、JASRACに対して、かなり釘を刺している。長くなるが引用する。

 上記のとおり,裁定によって本件使用料規程の実施が認められるとしても,当該利用区分に係る個別具体の利用行為に著作権が及ぶか否かは司法判断に委ねられるべきものである。このため,確かに,相手方が本件使用料規程に基づき使用料徴収行為を開始する場合には,その態様如何によっては,申請人が指摘するとおり,当該徴収行為により社会的混乱が生じるおそれが考えられる。この点,相手方は,文化審議会著作権分科会使用料部会に提出した平成30 年2月1日付け文化庁長官宛文書において「演奏権が及ぶことを争う者に対しては,演奏権が及ぶかどうかの争いがある使用態様につき,司法判断が確定するまでは個別の督促(利用許諾契約手続の督促・使用料の請求)は行わない」こと(ただし,「演奏権が及ぶ(相手方の使用料請求権が認められる)との司法判断が確定した場合には,契約手続督促・使用料請求業務を保留していた音楽教室事業者に対しては,使用料規程が実施された日以降の使用料相当額を遡及して請求する」こと)を提案しているところであり,社会的混乱の回避のため,演奏権が及ばないと主張している音楽教室事業者に対する配慮が期待されるところである。また,演奏権が及ぶことを争わない者に対して使用料の請求を行う場合であっても,本件使用料規程において規定する料率を上限とし,利用者の利用の実態等を踏まえ,適宜協議を行うなどにより適切な額の使用料の額とすることも期待されるところである。
 以上のことを踏まえ,文化庁長官として,相手方に対し,本裁定とは別に,本件使用料規程の実施に当たって社会的混乱を回避すべく適切な措置を採ることを求めることとする。

特に最後の一文などは、予想以上に、余計なくらい、JASRACに釘を刺しに刺しているという印象を感じるのは私だけだろうか。

裁判官なら判決でこの最後の一文は書かないであろう。

一歩間違えれば蛇足である。

行政庁の裁定だからか、ある意味大岡裁き、というべきか、採決で行政指導をしているというべきか。

それ以上に、ほう、と感じたのは、

個別具体の利用行為に著作権が及ぶか否かは司法判断に委ねられるべき

という一文である。

これは、意外に意味が大きいと思われる。

音楽教室における練習に対して、「公衆に対する演奏」であるから著作権侵害である、と主張するJASRACの論理には、「味噌もくそもいっしょにして金をとろうとしている」という批判は、かなりの程度妥当せざるをえないと私は感じている。

なぜなら、音楽教室では、教師や生徒が楽譜を購入して使用料を払い、発表会ではホールやスタジオなど演奏会場の使用料を通じてJASRACに使用料を払っている。

つまり、仮に音楽教室が使用料を払っていない部分があるとすれば、通常は、先生と生徒、あるいは生徒単独での練習の場面くらいであろう。

「JASRACは、練習を、「公衆」に対する演奏と言うのか?」というのが、今回の音楽教室訴訟において疑問の生じる、重要なポイントなのである。

通常は、公衆は、鑑賞目的で聴きに来る公衆のことを言うし、そこに限定して事足りると思われる。この見解に絶対的・公権的解釈があるわけでは必ずしもないが、少なくとも長い間そういう感覚が世間では一般的だったと思われる。

社会通念上そうでしょう、というべきか。

もちろん音楽教室での演奏でも、発表会となると公衆に対する演奏だろうが、練習を鑑賞目的で聴きに来る公衆などというのは、仮にいたとしてもまれで(例えば3歳5歳の子供のレッスンに親が同席した場合に、親は公衆だというであろうか。さすがにJASRACもそうは主張しないだろう。あるいはグループレッスンで他の生徒の鳴らす楽器の音を聞いたものは聴衆だろうか。これもこじつけのように思われる)、それを理由にJASRACがレッスン料全般から利用料を取る理由になるのだろうか?というのが普通に沸く疑問である。

レッスン料というのは音楽家がレッスンをする指導の対価ではないのか。

せいぜいそこに場所代が入っている程度ではないのか。

そういう疑問が出て当然である。

こうやって細かく分析していくと、レッスンを「公衆に対する演奏である」と、言いくるめようとする、JASRACの請求は、一般人にとっては、詭弁に聞こえかねない微妙なものである。

JASRACが音楽業界のあちこちに使用料規程の網掛けを広げてきてことごとく勝訴してきたことは確かであるが、さすがに音楽教室の練習から徴収とは、まさか、長年誰もそんなことは考えたこともなかった、と思われてきた、理論的にも空白の領域であろう。

公衆に対する演奏と言うには、あまりにニッチでせこいところを狙って網を打ってきた、というのが、今回のJASRACに対する私の評価である。

なお、著作権法の法学者としての大家である中山信弘東京大学名誉教授が、音楽教室側で意見書を書いている。

https://music-growth.org/topics/180205.html

中山信弘教授は西村あさひ法律事務所に所属しているわけで、意見書自体が手前味噌と受け取られる可能性はあり、また思ったほど整理されていないようにも思えるが、示唆的な記述は多い。

少なくとも私は、生徒と先生の間での、本番でない練習における演奏を、公衆に対する演奏ということには、違和感があるを超えておよそ否定的である。

そこまでの保護が著作権法において想定されているとも思われないし、必要とも思えないということである。

著作権法が「音楽指導」により対価を得ている行為に対して著作物の利用であると定めているのであればさておき、著作権法にはそんな定めはない。

だからこそJASRACは、公衆演奏権を徴収の根拠に持ち出してきたのである。

指導であっても、最低限楽譜を買えばできると思われるところであるが、そもそもレッスンのときに生徒の持っている楽譜を少し見れば、その場で暗譜で鳴らしてしまうのが指導者というものである。

発表会など本番における演奏に対して、ホールやスタジオなどの使用料を通じて徴収すれば通常は事足りる(もちろん音楽教室がそういう設備を備えていれば徴収は可能と思う)というのが、社会通念に照らした常識的理解ではないかと思われるところである。

そもそも音楽教室の練習で音楽を習うものが増えるほどに教材となる楽譜の売上には貢献すると思われるのである。

楽譜を売るという行為には、これで練習してください、それには1人1冊買ってくださいという意味がこめられており、そこに、楽譜の所持者が練習することの許諾は含まれているであろう。

モーツァルトの時代から、作曲家は楽譜を出版して生業とし、他の音楽家がそれを教材として家庭教師などをして音楽指導に用いてきたわけで、でも、音楽を教える先生の報酬については楽譜代と別にその都度著作権法上の利用にあたるから作曲者に金を払え、などという理解は、およそ伝統的にそう理解されていたとは言い得ない。

JASRACは音楽教室だけでなく個人教授であっても将来的に徴収の例外ではないことをWebで宣言している。

2018年4月1日から楽器教室における演奏等の管理を開始することになりました(JASRACサイト)

http://www.jasrac.or.jp/news/18/0308_01.html

本件管理対象の範囲 
楽器メーカーや楽器店が運営する楽器教室を対象とします。これらの教室の管理水準が一定のレベルになるまで、当分の間、個人が運営する楽器教室については管理の対象としません。将来的に管理の対象と考えているのは、ホームページなどで広く告知や広告して不特定多数の生徒を常時募集しているような場合を想定しています。

個人の先生がホームページを持っていて、そこで生徒随時募集と書いてしまうと「不特定多数」というべきだからほぼアウトで、いずれJASRACから警告が飛んでくるようである。

レッスンにおいて、先生につかずに楽譜だけで独習できるのは、ほぼ音楽を生業とするプロである。

いや、独習だけで済むのは、さらにそのプロの一部だけであろう。

みんなが楽譜で独習できれば、プロの音楽家は指導者として食い詰めてしまう。

練習中にわずかに先生が生徒に手本をみせたら、というより指導に使うこと自体が公衆に対する演奏であるというのが、JASRACの見解なのである。

これまたニッチな極端な、ということになるのも当然である。

ただ、これを極端だと思うか当たり前と思うかは、裁判官の現場感覚にかかっているのかもしれない。

あるいは、音楽出版社は、楽譜に、「この楽譜は音楽指導には使えません。その場合は別途著作権者に利用料をお支払いください」と書き込むようになるのであろうか。

それが時代の変遷ということなのか。

著作権者集団のベースを構成しているプロの音楽家たちの生業を支えている音楽教室の、しかも本番ではない練習の場面だけを、公衆に対する演奏だとして使用料を取るというのは、一歩間違えれば、音楽業界の自殺にも近い。

一方で、モラルの低い音楽教室で楽譜を個人的利用の範囲を超えて違法コピーするようなことがあれば、それは著作権侵害となるわけである。

が、それを取り締まるべきであるという視点は、公衆演奏権の侵害とはおよそ別の問題であり、その償いに音楽教室に著作権使用料を払えと言うのは理屈として成り立たない無理筋であり、またJASRACもそんなことは言っているわけではない(JASRACが音楽教室において楽譜が違法コピーされる場合があることを音楽業界の自殺に等しいと苦々しく思っていた可能性はあるが)。

JASRACの収入に多少でもあずかれるような音楽家は極めて一部である。

一方、それを裾野で支える圧倒的にほとんどのプロは、音楽指導を生業にして暮らしている。

JASRACからの収入にあずかれるトップの音楽家たちも必ず裾野をくぐり抜けてきた立場であり、トップの音楽家たちは、裾野の音楽家たちに支えられる運命共同体においてたまたま上にたどり着くことができただけの幸運な(もちろん才能は必要であるが)存在である。

JASRACが踏み出したものは、音楽業界の自殺ではなく、ごく少数のトップによる裾野の搾取、なのかもしれない。

このJASRACの動きに対する、音楽家たちの複雑な思いが透けて見えるようである。

ATOKの変換で、ファンクションキーが利かなくなった

1月 31st, 2018

ちょっとしたTIPSの紹介である。

PCのキーボードの上に並んでいるファンクションキー、つまりF1~F12キーを、私はよく使う。

特に、ATOKの日本語変換時に駆使する。

文節区切りを1文字短くするのにF2キーを、1文字長くするのにF3キーを、ATOKのカスタマイズ機能を使って、割り付けている。

さらにいえば、F4キーは変換対象の文節を左に移動、F5キーは変換対象の文節を右に移動するように設定している。

変換対象文節の左右移動は、さらに操作方法としてもう一通りできるようにしていて、一番下の段のキーのうち、「無変換」キーで左移動、「変換」キーで右移動という設定もおこなっている。

ちなみに、ATOKの起動(日本語変換ソフト=IMEの起動)は、「変換」キーでON/OFFできるように設定してある。

どこが便利なのか、理解出来ない、という方もいるかもしれないが、実際設定して、しばらく意識して使ってみれば、どれだけ便利かよくわかるので、だまされたと思って一度設定してみられたらよいと思う。

これがなぜ標準キー設定に取り入れられないのかが不思議なくらいである。

「ファンクションキーなんて使わない」「何に使うの?」「ノートパソコンで画面の明るさを変えたり音量を上げ下げするくらい?」、という人も結構いるのではないかと思う。

Windowsになってから、ファンクションキーを使うことはめっきり減った。

最近はファンクションキーの無いコンパクトキーボードも結構存在している。

そんなコンパクトキーボードに対応しようとすれば、アプリケーションがファンクションキーに必須の機能を標準で割り当てることは難しい。

それゆえ、Windowsはファンクションキーを必須のキーと位置づけていない。

私はMS-DOS時代からパソコンを使っている。

MS-DOS時代は、ファンクションキーに日本語変換ソフト=IMEの機能を設定することは当たり前だった。

しかし、Windowsになって、さらにノートパソコンになって、ファンクションキーは、画面の明るさ変更・音量変更・モニター出力先の変更に使うようになった。ただし、最初は、Fnキーと同時にファンクションキーを押すことで、画面の明るさ・音量変更・モニター出力先の変更ができた。

しばらく前、Gatewayのノートパソコンを買って、ATOKをインストールしたところ、ファンクションキーに割り当てた文節移動や文節区切り変更がまったく機能しない、という現象が起きて、しばらく悩んだことがあった。

しばらく熟考し、ネットで調べてみると、あっさり判明した。

BIOS設定であった。

「Function Key Behavior」の項目が、「Multimedia Key (First)」(マルチメディア機能優先)になっていた。

これを「Function Key (First)」(ファンクションキー優先)に変更する。

これによって、画面の明るさ変更・音量変更・モニター出力先の変更は、Fnキーを押しながらファンクションキーを押すように(旧来のように)設定変更される。

旧来のノートパソコンは、画面の明るさ変更・音量変更・モニター出力先の変更といったマルチメディア機能は、Fnキーを押しながらファンクションキーを押すのが普通だった。

それが、最近のGatewayのノートパソコンでは、Fnキーを押さなくてファンクションキーを押しただけで、マルチメディア機能が呼び出せるわけだが、かえって、ファンクションキーを頻繁にIMEなどで使うユーザーには、混乱を引き起こしているわけである。

ネットで調べてみると、DELLのノートパソコンも、同様にマルチメディア機能優先になっているものがあるようである。

ポイントに気付いて調べれば簡単な話であったが、私も気付くまで少し時間がかかった。

インターネット検索しても、キーワードが思いつきにくいので、意外と情報にたどり着きにくい。

つまり、PCのリテラシーが上級者レベルでないと、ATOKでファンクションキーがなぜまともに動かないか、原因を調べるきっかけもわからないわけである。

昔のノートパソコンどおり使いたければBIOS設定が必要、というのも、いかにも初心者無用でハードルが高い。

DELLやGatewayのユーザーサポートセンターは、問い合わせがきたら、初心者にBIOS設定の変更を案内しているのだろうか?

しかし、おそらく、ファンクションキーを日本語変換やショートカットで駆使するような人自体が、昨今は極めて少なくなってしまったのかもしれない。

いわば、PCは進化しているが人間は劣化させられているようなものである。

日本語入力の生産性向上のためには、ファンクションキーの駆使や上記の設定は不可欠だろうと思っている。

マイクロソフトの日本語変換ソフト=MS-IMEの変換精度も、もはやATOKに遜色はないのだが、キーカスタマイズ設定の細かさや、設定情報の移行、辞書の移行などで、未だにATOKに遅れをとっている。

というより、ATOKは昔からキーカスタマイズ設定や辞書の移行方法が一貫していてシンプルなので、まるで迷うことがないのである。

マイクロソフトのOSやソフトの標準仕様がころころ変わるものに追従しようとするためのTCOコスト、なれるまでの無駄な時間コストは、現在でも、甚だしいものがある。

複数台数PCを管理し、操作性を統一して生産性を向上させようとするものからすれば、こういったTCOコストの多寡は無視できない。

さすがにワープロソフトに一太郎を使う時代ではないが、日本語変換ソフトとしてATOKが未だに手放せないのは、こうったマイクロソフト製品のユーザービリティが低いが故、TCOコストが高いゆえである。

とりわけ、日本語変換ソフトは手の一部、脳の一部も同然であり、効率的入力は死命線である。

ちなみに、裁判所・弁護士の業界は、現在もなお一太郎がかなり生き残っている。

データファイルが一太郎で届くことが今もある。

だから、私は今も、定期的に一太郎は新バージョンを購入している。

Windowsのバージョンアップで旧バージョンが動かなくなるからである(笑)。

なお、ATOKだけを使いたければ、ATOK Passport というオンラインソフトがジャストシステムのサイトからダウンロードできて、Android、Windows、Mac版、とりまぜ計10台までライセンスできて月286円である。

https://www.justsystems.com/jp/products/atok-passport/

ワイモバイルのガラホに乗り換え

12月 23rd, 2017

PHSの終わりと、ワイモバイル国内通話ずっと無料キャンペーン

http://blog.lawfield.com/?p=418

を書いたところ、周囲から反響があった。

私がガラホに乗り換えたあとで、余ったPHSの中古端末を貸してほしい、自分もワイモバイルのキャンペーンで乗り換えたい、というのである。

私もようやくこのたび、ワイモバイルのPHSから、ワイモバイルのガラホ 京セラ DIGNOケータイ2 702KC に乗り換えた。

http://www.ymobile.jp/lineup/702kc/
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/lineup/702kc/

このようなニッチなサービスやガラホ端末をレビューする人などほとんどいないと思われるので、レビューしてみたいと思う。

今回の乗り換えは、仕事でカケホーダイで使っていたPHS回線の乗り換えである。

ケータイ・スマホに契約変更で、国内通話ずーっと無料キャンペーン
http://www.ymobile.jp/cp/tsuwamuryo/index.html?ref=toppick

という大変お得なキャンペーンを使っての乗り換えである。

このキャンペーン、先日まで、2018年1月14日で終了する、とワイモバイルはアナウンスしていたが、撤回して、終了時期未定、と変更された。

といっても、PHSの新規契約は、2018年3月31日で一切受付が停止になる。ちなみに、機種が故障しても、機種の交換も、中古機種への入替も不可となるので、現行PHSユーザー以外には4月以降は関係のない話となる。

この恐ろしくオトクなカケホーダイケータイへの乗り換えキャンペーンに乗りたければ、3月までにPHS中古端末をショップに持ち込んでMNPなり新規なりでPHS回線を契約し、その翌日にでもガラホに乗り換えることをお勧めする。

このキャンペーンがどれくらいお得かと言うと、通話専用ケータイとして持つなら、2年間月額1332円、2年後は月額1008円で、他社含めて時間無制限のかけ放題(スーパー誰とでも定額)が無料で含まれている。

2台持ちにはなるものの、おそろしく格安である。会社のスタッフ用に仕事用ケータイとして持たせるにはピッタリであろう。

但しパケット通信をつけると微妙感はただよう。

パケット通信をつけると、300円からスタートし、わずか110MB使っただけで4500円まで到達し、そこで定額となる。2.5GBまで使った時点で、低速制限(128KBPS)がかかる。

使うにしても、せいぜいメールのみであろう。Webをみるのは勧められない。

なお、メール受信設定で、「差出人+件名+本文」にすると添付ファイルを受信しない。あるいは「300KB以内のメールしか受け取らない」という設定にすることもできる。

PHSからの移行時にメールアドレスはいったん変更されるが、「My Y!mobile」のサイトで以前のメールアドレスに戻せる。

私の場合は、2台持ちが前提なので、パケット通信をわざわざつける理由があまりないので、メールはスマホのgmailに移行して、ガラホのパケット通信は基本使わないことにした。

といっても、最近はgmailよりFacebookなどSNSのメールがポピュラーになってきてしまっているので、ますますケータイのキャリアのメールアドレスの出番は少なくなってきている感が強い。

さて、通話専用ケータイだからできることではあるが、パケット通信機能やWIFI機能をオンしていると電磁波を余分に発生させるので、データ通信そのものをオフにしてしまうと、耳鳴り防止の通話専用端末としてはたいへんよい割り切りとなる。

さらにいえば、設定画面の「モバイルネットワーク」中に、4G/3G/GSMの選択画面があり、そこで、海外電波のGSMや、高速通信のための4Gを外して3Gだけ受信するようにしてしまえば、さらに電磁波の発生量は下がる。

ソフトバンク電波のエリアは3Gのほうがまだまだ広いので通話は3Gのみでほぼ間に合う。

(ただし音質はVoLTE対応の4Gのほうが相手の端末次第ではあるがよいだろう。)

電波の種類を限定しておけばその分もちろん電池の持ちもよくなる。

設定メニューの「エコ・電池」中に、「バッテリーケアモード」というのがあり、オンにしておくと、満充電までいかず85パーセントで充電を止めてくれる。

満充電で1週間以上電池が持つので、バッテリーケアモードにしておくことがお勧めである。

さて、京セラケータイのよさである。

なにしろ、最近の京セラのケータイというのは、本当に丈夫である。壊れない。

スマホでも丈夫さがうりの端末が多い。

ガラケーは、ガラケーそのものがスマホより格段に丈夫である。

PHSの最終機種となった、402KCも、持っていた6台が全く故障しなかった。

このDIGNOケータイ2 702KCも、IPX5/IPX8の防水、IP5Xの防塵性能を持っていて、さらに頑丈さを増している。

スマホでは期待できないレベルの丈夫さである。

通話専用ケータイというのはあらっぽく使うことが多い。小雨の中話すこともあるし、土の上やコンクリートの上に落とすこともある。

やわなスマホでは困るのである。

なお、DIGNOケータイ2になって、Wifiにも対応することになった。

シャープのAQUOSケータイ2は既にWifi対応なので、この点はようやく追いついたことになる。

テザリング環境下や、Wifiルータ下では、通話専用ケータイであっても、データ通信をオフにしていても、ブラウジングもできてしまう。実際やってみると、なかなか速くて快適である。

なお、初期画面上のショートカットキーが3つ(LINEやYahoo地図など)並んでいて、うざったいが、「設定→その他の設定→カスタマイズキー」で消すことができる。

Android端末なので、モバイルデータ通信をオフにして通話専用ケータイにすることができる。

但し、設定は、「設定→無線・ネットワーク→データ使用量→モバイルデータ をオフ」である。少し変わっていてわかりにくかった。

結論として、必要にして十分以上で、満足である。

 

携帯電話のブラック情報(3) 犯罪利用された契約情報

12月 7th, 2017

このブログでは、以前に、

携帯電話のブラック情報(1)電話料金の不払
http://blog.lawfield.com/?p=333
携帯電話のブラック情報(2)端末料金の不払
http://blog.lawfield.com/?p=335

を紹介した。

実は、もうひとつ、携帯電話のブラック情報というのがある。

3つめのブラック情報は、犯罪利用された携帯電話の契約者情報である。

ソフトバンクのサイトであるが、

携帯電話・PHSのサービスを提供する事業者間での携帯電話不正利用防止法」に基づく利用停止情報の交換について 2009年2月2日

https://www.softbank.jp/mobile/info/personal/news/support/090202/
平素よりソフトバンク携帯電話サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。2009年3月以降に、「携帯電話不正利用防止法」の規定に基づき、警察から本人確認の求めのあった回線について、本人確認に応じていただけずに利用停止措置を受けたお客さま(特別利用停止者)の情報を、携帯電話・PHSサービスを提供する事業者間で交換します。
その情報は契約申し込み受付時の加入審査に活用しますので、該当するお客さまは、お申し込みをお受けできないことがあります。
何卒ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

とある。

ある意味、究極のブラック情報である。

携帯電話不正利用防止法(正式な法律名称:携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/050526_1.files/Page377.html

に違反して利用停止された電話回線の契約者情報は、携帯電話会社の事業者間で交換されている。この情報交換は、おそらくNTTドコモ・au・ソフトバンク(ワイモバイルブランド含む)の三大キャリア間のものである。

電気通信事業者協会のWebサイトにはこの情報交換の情報は載っていないので、MVNOまでは情報交換されていないのであろう。

しかし、実際には音声通話SIMの場合は、MVNOで契約する場合も、三大キャリアのリセールであるから、三大キャリアの審査を受ける。その時点で、ブラック情報に該当すると、審査で跳ねられてしまうことになる。

携帯電話不正利用防止法は、詐欺・恐喝・薬物犯罪・売春防止法・出資法の高金利罪などの、犯罪に利用した疑いがあるとして警察署長が本人確認の求めを電話会社に行い、本人確認に応じない携帯電話契約を利用停止してしまうということを実現した法制度である。
偽造免許証などでの契約もあれば、多重債務者がヤミ金に言われて携帯電話を作って売ったりしている場合もある。

安易に他人に携帯電話を渡したりすれば、それが特殊詐欺やヤミ金などに使われてしまうと、このブラック情報(3)に登録されてしまうと、個人情報保護法でも消せる根拠はおよそ存在しない。

「人の生命・身体・財産の保護のため(かつ本人の同意を得ることが困難)」な個人情報については、個人情報保護法の例外事由として、第三者提供も可能、収集に本人の同意も不要、開示請求も訂正・追加・削除の請求も不可能、である。

盗用免許証が利用された場合については、携帯電話会社に、面倒でも適宜の方法で請求すれば、削除には事実上応じてもらえるとは思われるが、軽率に他人に携帯電話端末を渡ししてしまったという場合に、そんな軽率な利用者が再度他人に携帯電話を渡す可能性は否定できないことから、ブラック情報を抹消する必然性は携帯電話会社には無いように思われるので、抹消に応じてもらえない可能性は高い。

一生もののキズになりかねないので、ある意味究極のブラック情報というべきものである。

NHK受信料最高裁判決の衝撃

12月 7th, 2017

最高裁判所大法廷平成29年12月6日判決(受信契約締結承諾等請求事件)が、NHKの全面勝訴という結果で確定することとなった。

その結果はまさしく衝撃的な内容である。

何十年間未払いという人が、仮にNHKから訴訟を起こされ、判決が確定するところまで行ってしまえば、時効主張が全く認められないで敗訴してしまう、というものである。

つまり受信機を設置した日以降は、たとえ何十年分であっても、民法上5年で時効消滅したと主張することができない。

最高裁判決の全文は、pdfで以下の裁判所のサイトで読むことができる。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87281

特に重要なのは、判決文中、3か所である。

 

上記条項を含む受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生するというべきである。

 

受信料は,受信設備設置者から広く公平に徴収されるべきものであるところ,同じ時期に受信設備を設置しながら,放送法64条1項に従い設置後速やかに受信契約を締結した者と,その締結を遅延した者との間で,支払うべき受信料の範囲に差異が生ずるのは公平とはいえないから,受信契約の成立によって受信設備の設置の月からの受信料債権が生ずるものとする上記条項は,受信設備設置者間の公平を図る上で必要かつ合理的であり,放送法の目的に沿うものといえる。
したがって,上記条項を含む受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生するというべきである。

 

受信設備を設置しながら受信料を支払っていない者のうち,受信契約を締結している者については受信料債権が時効消滅する余地があり,受信契約を締結していない者についてはその余地がないということになるのは,不均衡であるようにも見える。しかし,通常は,受信設備設置者が原告に対し受信設備を設置した旨を通知しない限り,原告が受信設備設置者の存在を速やかに把握することは困難であると考えられ,他方,受信設備設置者は放送法64条1項により受信契約を締結する義務を負うのであるから,受信契約を締結していない者について,これを締結した者と異なり,受信料債権が時効消滅する余地がないのもやむを得ないというべきである。
したがって,受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(受信契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は,受信契約成立時から進行するものと解するのが相当である。

 

さて、もしこの裁判所の判例検索サイトのアクセス数を検証したら、史上最大のアクセス数をこの数日に記録することになるのではないかと思われる。

なにしろ、NHK受信料の推計世帯支払率は、平成28年度末で78.2パーセント(前年比1.3ポイント増)。テレビがあって契約しなければいけない推計4621万世帯のうち3612万世帯しか契約をしていないので、1000万世帯以上、2割強の世帯は契約をしていないままテレビを見ていることになる。

平成28年度 NHK受信料の推計世帯支払率

http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20170523.pdf

問題はさらにあって、ホテルなど各部屋にテレビがある宿泊施設である。

宿泊施設は1部屋1契約が必要となる。

ホテルの回転率、空き室率などは考慮してくれない。

まあ確かに住民でも毎日テレビを見ているわけではないとはいえる。

ただ、この論点については、別の裁判が係争中のようであり、最高裁での結論は出ていない。

が、なんとなく流れとしては宿泊施設側に厳しそうである。

2017年3月29日には東京地方裁判所の判決で、東横インに対し、過去最高の計約19億3千万円の支払いが命じられた。
http://www.sankei.com/affairs/news/170329/afr1703290030-n1.html

以下はNHKのコメント。
https://pid.nhk.or.jp/pid99/osk/000000/000001820.pdf

ついでであるが、今回の最高裁判決を受けたNHKのコメントがこれである。

https://pid.nhk.or.jp/pid99/osk/000000/000042197.pdf

なにより衝撃を受けておられると思われる層は、NHKの受信料の徴収員の来訪に対して長年、「うちは払わない」と言って、拒否し続けていたような世帯や、事業所と思われる。

この最高裁判決で、もしNHKが強気になれば、悪質な契約拒否者として把握している世帯から、重点的に、過去のテレビ設置時にさかのぼって支払いを求めてきて、「不満でしたら裁判を起こしますよ」と言ってくることは、十分ありうる。

残念ながら、弁護士が交渉しようにも法的な抗弁は立たない、下手をすればやぶ蛇、というのが、この最高裁判決後の状況判断になる。

さて、では、この最高裁判決を受けて、これまで未契約だったが自分からさらっとNHKを契約する人はどうなるであろうか。

最高裁判決によれば、「消滅時効は、NHKとの受信契約時から進行する」、ということなので、テレビを買い直すなどして、家電店でそしらぬ顔でNHKと契約をしてその月から払い始め、5年間NHKから何事も請求なく過ごせば、それで過去の分は一応時効消滅するだろう、という理屈になる。

でも契約しても一安心ではなくて、契約から5年以内なら、NHKとしては過去にさかのぼった全額が請求可能であり、「あの人は開き直っていた、徴収員を困らせていた、悪質だったから、今さら素知らぬ顔をしてもだめですよ、遡って請求します」ということはありうる。

今回の最高裁判決を読んでみて、現判決が維持されているだけであるから、ある程度予測はついた内容である。

NHK受信料が放送法により発生する特殊な債権であることから、放送法の規定ぶりにしたがって法律を論理的に順に当てはめていけば、判決で命じられてしまうと時効消滅の主張が認められないという結論になるという論理は、確かに形式論理の積み上げとしてはそういわれればそうなる、ということになる。

ただ、それを感覚的に首肯できるかというと、普通の契約上の債権債務の時効消滅と異質な法的論理の過程をたどっているので、かなり違和感がある。

浮世からいささか遠い最高裁判所の裁判官といえ、違和感がないはずはないだろう。

最高裁判所が、あえて、契約未了のNHK受信料債権については、時効消滅をさせない、という判断に至ったポイントは、速やかに受信契約をした者とそれを遅延した者との間で差が出るのはやむを得ない、という価値判断であろう。

最高裁判所として、全世帯の2割に対して、そう言い切るのは、ある意味、勇気が要っただろう、と思うが、最高裁大法廷の15人の裁判官中、反対したのは一人だけで、14人は賛成しているから、ほぼ不動の結論だったと思われる。

これでNHKが強気になったら、世の中が荒れるな、という嫌な予感はするところである。

NHKとしては、今回の最高裁判決は、さすがに勝ちすぎである。

勝って驕らず、と言う言葉がある。

弁護士として、自戒を持って身に染みる言葉である。

NHKのコメントは上記のとおり、一応謙虚なものである。

NHKも、そのあたりのバランスを取って、徴収率アップを図らないと、さすがに全国民の2割をまるごと敵に回してしまうと、NHKどころか、総務省や政府全体までが炎上してしまいかねないと思われるところである。

裁判所であったり法曹というのは、むやみに世間の目を気にして流されることなく超然と理に従って公正に判断するという素養が染みついてしまっているが、政府や政治家としては、そうもいかないだろう。

政治の世界の論理は、世間の目を気にして流される声が大きくなりがちな空間にあり、法律家の世界とは寄って立つ基盤が違っているからである。

なおNHK受信料は、全世帯が払わなければいけないわけではない。

免除制度(生活保護等公的扶助受給者、障害者の方の一部など)
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/taikei-henkou.html

別居する家族割引・別宅割引
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/FamilyPlanPostExp.do

事業所割引
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/jigyousyo-waribiki.html

などもある。免除や割引申請できるのに忘れている方がいるかもしれないので、ご一読をお勧めする。

PHSの終わりと、ワイモバイル国内通話ずっと無料キャンペーン

10月 2nd, 2017

PHSの新規契約は、ついに、来年2018年3月31日で一切受付が停止になる。ちなみに、機種が故障しても、機種の交換も、中古機種への入替も不可となる。

といっても、そもそも、1年くらい前から、PHSはほとんどの機種で新品での販売は停止されており、契約をしようと思えば、中古機種をオークションサイトなどで購入して、持込して、機種変更・新規契約をするしかない状態だった。

私も、スタッフ用のPHS電話機の交換は、そうして調達するしかない状態だった。

逆に言えば、そういう意味では、今でも、PHSの新規契約も、MNPによる転入も、PHSの実機さえあれば、しようと思えばできるのである。

今さらPHSの契約をするような人はまずいないわけであるが、実は、まったく意味が無いわけではない。

実は、2017年8月1日から2018年1月14日まで、ワイモバイルの「スーパー誰とでも定額」ユーザー向けの、4G回線(ガラホ・スマホ)乗り換えキャンペーンが実施されている。

これが、とんでもなくオトクなキャンペーンなのである。

ケータイ・スマホに契約変更で、国内通話ずーっと無料キャンペーン
http://www.ymobile.jp/cp/tsuwamuryo/index.html?ref=toppick

なんと、次回機種変更まで、スーパー誰とでも定額月1000円が無料(基本料金だけでよい)というものである。ガラホ(メール・Webオプションを解除してしまう)であれば、なんと、機種代金込みで、基本料金のみの月980円+税の月額料金で、他社携帯・固定まで掛け放題となる。

これは電話のカケホーダイを重宝して使っている人間にとっては、おどろくほど有利な条件である。ドコモ・ソフトバンク・AUの掛け放題は、同じ条件なら月2500円はするからである。

PHSのスーパー誰とでも定額が、メール・Web付きで1500円で他社掛け放題だから、ガラホ通話のみ980円より、PHSの方がオトクでもある。

あるいはメール・Webはスマホで別に足りるという人には、基本料金込み980円だからPHSのスーパー誰誰とでも定額よりさらにオトクになるのである。

また、ドコモ・ソフトバンク・AUのユーザーでも、今からでもPHSにMNPをして、ただちにワイモバイル(ソフトバンク電波)の4G回線に乗り換えることで、月980円の掛け放題のガラホを持つことができる。

ただし、PHSにMNPしようと思えば、PHSの端末を持ち込まないと、ショップは受け付けてくれない。つまり、必ずPHSの中古端末が必要なのである。

ワイモバイルにこんな持ち込みによるMNPを今からしても、このずっと無料キャンペーンは適用されるとのことである。

そして、一旦契約すれば、機種変更をしない限り、ずっと980円で4G回線の他社掛け放題が使える。

さすがに、4G回線がなくなってしまうような遠い将来には、使えなくなるだろうとは思うけれど。

但し、この乗り換えキャンペーンにはいくつか注意点がある。

掛け放題契約には2年縛りがある。2年目以外の月での解約は9500円の違約金。これはドコモ・ソフトバンク・AUの掛け放題と同等である。PHSの副回線(縛りなし)ほど有利ではないが、さすがにもはや比較しても意味が無い。

次に、一旦乗り換えれば、名義変更できない。つまり他人への契約譲渡はできない。契約譲渡をすると掛け放題は月2500円に跳ね上がる。

また、機種変更すると月2500円に跳ね上がる。だからショップでの「機種変更」は禁忌である。

それではガラホが壊れたときに困る、というかもしれない。

しかし、これは容易に解決可能である。

もし端末が壊れれば、中古でワイモバイルのガラホを買えば、そのままSIMを差し替えて使える。

SIMフリーのガラホも、各種新品が販売されている状況である。

だから、壊れてもワイモバイルショップに行って機種変更する必要が無い。

そもそもワイモバイルのガラホのSIMは、ソフトバンク電波の4Gであり、4GスマホのSIMと変わらない。

現状では、ガラホのnano SIMを、SIMフリースマホに挿してしまえば、普通に通話専用端末として使える。

これは、ネット情報でも、ワイモバイルショップでも、可能ですといっている。

つまり、2台持ちにして、ワイモバイルの掛け放題ガラホ(月980円)のほかに、もう一台データ通信専用の格安スマホを持てばよいのである。

2台持ちは嫌だという人は、スマホ1台で済ませる応用テクニックとして、例えば、SIM二枚挿し・2枚待ち受けができるスマホに挿せば、データ通信はもう一枚の格安SIMで行えば済むということになる。合計で2000円程度で掛け放題スマホ環境の運用ができることになる。

こうやってみると、なかなか、驚きの超お得なキャンペーンである。

このキャンペーンは法人でも個人でも契約可能だそうである。

私は、スタッフ用に携帯電話を複数台契約しているが、このキャンペーンでさすがにPHSからガラホに乗り換えようと決断した。

PHSは電磁波がスマホの何十分の1と格段に低く、耳鳴り予防によいので、ずいぶん重宝してお世話になったものだが、とうとうお別れである。

これからは、bluetooth ヘッドセットなどで電磁波対策をするしかなさそうである。

ガラホは、電磁波量はスマホよりは少し低いくらいで、それは不満であるが、電池の持ちがガラケー並みによいし、なによりエリアが拡がるので、まあ、乗り換えもやむを得ないとは思っている。

それにしても、ガラホに乗り換えたあと、契約が消滅したPHSの中古端末が、手許に何台も余ってしまうことになる。

ドコモ・ソフトバンク・AUの契約の人も、一旦ワイモバイルのPHSにMNPして、さらにガラホに乗り換えれば月980円掛け放題になるので、知人に希望する人があれば、融通してあげようかと思っているところである。

しかしあまりにニッチなやり方なので、誰もやりたがらないだろう。

そもそも掛け放題自体の需要が、若い世代では壊滅的になくなっている。

そもそも世の中の人はほとんどこんなオトク情報は知らない。

若い人には掛け放題など興味がない。

ワイモバイルがいくらPHSをてこ入れしても、掛け放題の需要自体がニッチとなってしまっていたために、退潮傾向を止められなかったのである。

現在も数百万回線という単位で生き残っているPHS契約者は、基本的に、話すことが多い人のはずであるから、こういうキャンペーンが成立するのである。

ガラホといっても、若い人から見れば、なにそれ、である。

しかし、年配層は、電話するには、ガラケー、ガラホの方がかけやすい、便利だ、スマホはすぐ間違い電話をかけてしまうから嫌だ、という人が今も相当数存在する。

未だにPHSから移行しない根強い既存ユーザーの存在は、今もレガシーなガラケーを好む年配層の存在と無縁では無い。

PHSのエリアは昔と比べると格段に広いため、ほとんど不自由はしないのだが、今でも山間部では電波が入らないところがあるので、エリアが狭くてダメだという昔ながらの先入観は否定しがたいものがあり、到頭それを克服できなかった。

今回のオトクなキャンペーンは、ひっそりと終わりゆくPHSに別れを告げなければならない長年の愛用者のための、お別れのお礼の儀式のようである。

長時間話す上で、PHSを電磁波回避対策として愛用していた者にとっては、一層のさみしさを感じる、PHSとのお別れである。

共謀罪に反対する日弁連による国連立法ガイドの誤訳について

5月 16th, 2017

共謀罪に反対する日弁連による国連立法ガイド51項の論点について、話してみたい。

日弁連は、共謀罪に反対する理由として、

2006年9月14日付け意見書
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120413_4.html
において、

51パラグラフは非常に重要なことを述べている 「本条約は,世界的な対応の必要性を満たし,犯罪集団への参加の行為の効果的な犯罪化を確保することを目的としている。本条約第5条は,このような犯罪化に対する2つの主要なアプローチを同等のものと認めている。第5条第1項(α)(ⅰ)および(α)(ⅱ)の つの選択肢は,このように,共謀の法律 (conspiracy laws)を有する諸国もあれば,犯罪結社の法律(criminal association laws)を有する諸国もあるという事実を反映するために設けられたものである。これらの選択肢は,共謀または犯罪結社に関する法的概念を有しない国においても,これらの概念を強制することなく,組織犯罪集団に対する実効的な措置を可能とする 」。つまり,英米法の共謀罪(コンスピラシー)や,大陸法の参加罪(結社罪)を導入しなくても,犯罪防止条約第5条の要件を満たすことが可能であることを立法ガイドは認めている。

として、「国連犯罪防止条約を批准するのには、共謀罪、結社罪(=参加罪)のいずれも導入不要である」
という根拠として主張している。

共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明
http://www.kt.rim.or.jp/~k-taka/kyobozai.html

でもなんと162名の学者や弁護士が、声明書中で、

本条約についての国連の「立法ガイド」第51項は、もともと共謀罪や参加罪の概念を持っていなかった国が、それらを導入せずに、組織犯罪集団に対して有効な措置を講ずることも条約上認められるとしています。

と述べている。

外務省は10年以上前からまったく反対の見解で一貫しており、国連の担当事務局に口頭で確認をおこない、

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji35-1.html
なお、この点に関連して、「国連の担当事務局が作成している『立法ガイド』によれば、共謀罪と参加罪のいずれも設けないことが許されるのではないか。」との指摘がありますが、「立法ガイド」の記載は、共謀罪又は参加罪の少なくとも一方を犯罪とすることを明確に義務付けている条約第5条の規定を前提として、共謀罪を選択した国は参加罪を設ける必要はなく、参加罪を選択した国は共謀罪を設ける必要はないことを述べたものに過ぎず(「立法ガイド」を作成した国連の担当事務局も、我が国の照会に対し、このような理解が正しい旨回答している。)、この指摘は当たらないと考えています。

とこれまた明言している。

なお、アーカイブであるが、平成18年にも外部省は同じことを言っている。
http://archive.fo/lb8Qr

外務省と、反対派の日弁連&学者、どちらの訳が間違っているのであろうか。

私は、この日弁連や反対派学者の主張根拠たるこの訳解こそが、立法ガイドの大誤訳、であろうと考えている。

しかし、この大誤訳は、今回の共謀罪反対運動でも大々的に展開されていて、多くの弁護士や学者に広まっている。

2006年の日弁連意見書の見解に基づいて、弁護士や学者の多くが、この立法ガイド51項を理由にして、共謀罪の制定は不要であるという意見を表明されている。

衆議院法務委員会で2017年4月25日に京都大学の高山佳奈子教授が参考人意見を述べた際にも、立法ガイド51項を根拠に挙げて、共謀罪・参加罪どちらも導入しなくても国連犯罪防止条約の批准は可能であるという発言をされている。

しかし、国連犯罪防止条約の本文である5条が、共謀罪・参加罪のどちらかを導入するように義務付けていることは明らかである。

立法ガイド51項に、条約本文に反した、逸脱するようなことを認めているというのであろうか。

普通に考えれば、外務省の英文解釈が正しいと思われる。

日弁連の立法ガイドの訳解は、5条の明文に反した内容であることは明らかである。

それでも尚、立法ガイド51項にそう記されているから、共謀罪・参加罪のどちらも制定しなくてよいのだと、日弁連や反対派学者は主張するのである。

そこで、立法ガイド51項の英文の解釈を、ここで検討してみたい。

https://www.unodc.org/pdf/crime/legislative_guides/Legislative%20guides_Full%20version.pdf
22Pに該当箇所がある。pdfでいえば43ページ目である。

51. The Convention aims at meeting the need for a global response and at ensuring the effective criminalization of acts of participation in criminal groups. Article 5 of the Convention recognizes the two main approaches to such criminalization that are cited above as equivalent. The two alternative options of article 5, paragraph 1 (a) (i) and paragraph 1 (a) (ii) were thus created to reflect the fact that some countries have conspiracy laws, while others have criminal association (association de malfaiteurs) laws. The options allow for effective action against organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion –conspiracy or criminal association –in States that do not have the relevant legal concept. Article 5 also covers persons who assist and facilitate serious offences committed by an organized criminal group in other ways.

立法ガイド51項は、5つの文章からなる。

問題は、第4文である。

The options allow for effective action against organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion–conspiracy or criminal association–in States that do not have the relevant legal concept.

この文章を、日弁連や反対派学者は、「共謀罪も結社罪(参加罪)もどちらも導入しなくてもほかに効果的な措置を執っていればよいのだ」と訳解する。

外務省は、上記のとおり、共謀罪・参加罪のどちらかは義務だと訳解する。

私は、英文をぱっと読んで、外務省の解釈しか、とれなかった。

そこで、「どちらも不要説」の論拠をよくよく調べてみたところ、「without~either~or」構文だから「どちらも不要」だと言っているものがある。

「not~either~or」は、「どちらも何々でない」の両否定の意味のイディオムだから、「without~either~or」も両否定だ、だから共謀罪・参加罪どちらも導入する必要は無いのだ、というのである。

しかし実際の英文を見れば、「without~either~or」構文(イディオム)の一部だと日弁連がいう「or」は、二つの「-」に挟まれている。

もう一度よく英文をみてもらいたい。

エムダッシュが二つ入っている。

この横線は、長いハイフンのようであるが、エムダッシュ(em dash)という英語の記号である。

なお上記の引用の際には、文字化けしていたので、タイピングの流儀としてハイフン2つで書きなおしているが、原文をみればエムダッシュである。

以下のURLの方がエムダッシュであることがよくわかるかもしれない。

https://www.unodc.org/unodc/en/treaties/CTOC/legislative-guide.html

https://www.unodc.org/pdf/crime/legislative_guides/02%20Legislative%20guide_TOC%20Convention.pdf

エムダッシュは、カンマ、カッコ、コロンの代用として使われる。この場合は、どうみても、カッコである。なぜなら、

either notion

conspiracy or criminal association

だからである。

「いずれかの概念」の説明が「共謀(罪)か結社(罪)」であり、だからエムダッシュで囲われていることが明らかである

このエムダッシュの用法のネイティブの解説を検索してみた。

検索したところ最上位にヒットした、以下のサイトを見てみよう。

em dash
http://www.thepunctuationguide.com/em-dash.html

Depending on the context, the em dash can take the place of commas,
parentheses, or colons
(私訳)
「文脈によって、エムダッシュは、コンマ、カッコ、コロンに代用することができる。」

というものである。立法ガイド51項のエムダッシュがコンマやコロンの代用でないことは明らかであるから、カッコである。

さて、それでは、カッコ(Parentheses)の解説も同じサイトで見てみよう。

Parentheses
http://www.thepunctuationguide.com/parentheses.html

Whatever the material inside the parentheses, it must not be grammatically integral to the surrounding sentence. If it is, the sentence must be recast. This is an easy mistake to avoid.
(私訳)
「カッコの中がなんであれ、カッコの外の周囲の文章に文法的に統合してしまってはいけない。もし統合してしまったら、文章は作り直す必要がある。これは犯しやすい過ちで避けるべきものである。」

こうやってみれば、2つのエムダッシュ(=カッコの代用)に挟まれた「or」を、その外の「either」や、「without」に文法的に(gramatically)統合して(integral)書くのは、よく起こるイージーミスであり、絶対にやってはいけないこととなっているわけである。

となると、この第4文は、「without~either~or」構文ではないことが明らかである。

単に「without~either notion」であって、「いずれかの概念を導入していなくても」という意味、つまり、構文としては単なる「without」構文である。

なお、この私の分析に対して、想定される反論としては、

either notion

conspiracy or criminal association

だから、カッコ内をカッコ外に置き換えれば

without~either notion

without requiring the introduction of conspiracy or criminal
association
(without ~or 構文)

つまり、「without ~ or」構文だから、やはり、共謀罪・参加罪どちらも制定不要だという反論があり得るように思われる。

しかしそうすると、カッコの外の文章だけを読んだとき(without either notion)の場合と、カッコの内側の文章を外出しして置き換えた場合の(without conspiracy or criminal association)文意が、まるきり逆転してしまう。

つまり、この英文は、カッコ内をそのまま本文に置き換えてつなげてしまうと、カッコ内のorによって別の構文に変わってしまって文意がまるっきり変わってしまう、という英文なのである。

そんな訳が両立することはありえないわけで、カッコの内側の文章を外出しして置き換えて構文を別物に読み替えてしまうような訳が、誤訳なのである。

さらにくどくなるが、without~either構文も、文脈によっては、両否定と読めることも、一方を否定すると読めることもあるという指摘がありうる。

しかし、法律英語では、どちらにも読めるような紛らわしい表現は禁忌である。

そもそも、構文としては、

without requiring the introduction

である。

withoutが直接リンクする構造は「『導入を要求すること』なく」という構造で、あくまで「導入を要求すること」を否定しているのである。

withoutと、 of either notion とは、requireとintroductionを挟んでおり、修飾・被修飾関係では、ネストで二重に囲われている、2重に間接的な修飾関係にしかたっていないため、その離れたwithoutとeitherが一体でイディオムを構成するという読み方は不自然でかなり無理がある。

また、法律英語の世界では「either」(2つのうちいずれか)「either or both」(いずれかまたは両方)「both」(両方)はかなり厳格に使い分けがされている。

どちらも採りうるような表現を使えば、混同されると意味が逆転してトラブルになるからである。

もし、日弁連が主張するような「共謀罪・参加罪どちらかまたは両方を導入しなくても(許される)」(第3文でいう二者択一でなくどちらも導入しないという第3の選択肢を認める)と言う意味で英語を書くのであれば、

without requiring the introduction of either or both notions

という表現になるであろう。

あるいは、

with requiring the introduction of neither notion

になると思われる。

法律家の感覚としては、立法ガイドの読者(=各国の立法担当者)が、条約5条本文をみた上で、立法ガイド第3文までの文脈(二者択一を明言している)を読んで、第4文で either or both と書かれていない時点で、without ~ either を「両否定の意味にもどちらにもとれる」とか「両否定である」とは、およそ読まないはずである。

ちなみに、条約5条本文は、

Either or both of the following as criminal offences distinct from those involving the attempt or completion of the criminal activity

となっており、either or both すなわち、共謀罪か参加罪の「いずれかまたは両方」の犯罪化(未遂・既遂の罪とは別に)をおこなうことを義務付けている。

本文の書き方が明確なのである。

そのうえで、日弁連のような読み方ができるわけがない。

これは、論理学に裏付けられた、法律家としての文章の読み書き作法の問題である。

そもそも第3文で選択肢(option)は2つ(共謀罪・参加罪)であり、その2つがalternative(代替可能、択一的)と書かれていて、第4文は、第3文の言い換え、補足として、二者択一だから2つのうちのどちらか一方(either)は導入しなくても許容されますよ、と述べているだけなのである。

それを日弁連や反対派学者が言うように、どちらも導入しないでよい、となれば、それは第3の選択肢を認めるということであって、第3文の2つの選択肢という説明とまるっきり論理的に矛盾してしまっているのである。

第3の選択肢を認めるというのなら、第4文冒頭は、

The options allow for effective action

でなく、

The options allow for other effective action(s) than the options

と書くのが、通常であろう。

このように、これを両否定文と読むことが、英語としての文脈を読めていないことは、明らかである。

なお、第4文の「either notion」は明らかに単数形の可算名詞であるが、冒頭の日弁連意見書は、「これらの概念を強制することなく」と、「これら」と複数形で訳している。

どうやったら単数形を複数形に訳せるのか、理解に苦しむ。

「いずれか(一方)の概念を強制することなく」としか訳せないのを「これら」と複数形で訳しているのである。

反対派学者162名の声明でも、「もともと共謀罪や参加罪の概念を持っていなかった国が、それらを導入せずに」と、「それら」と複数形で訳している。

学問的正確性を重んじるはずの学者が162名も集まってなぜ立法ガイド51項を「それら」と複数形で書くのであろうか。

両否定であると学者たちが考えているのであれば「いずれも導入せずに」と表記するのが、法学者が集まって議論すれば普通にそうなるはずの、法学者としての論理的・学問的正確性というものであろう。

よくみれば、162名の刑事法研究者のなかには、何名かは、大学教授でなく弁護士が混じっている。

この刑事法研究者の声明の起案者が弁護士で、日弁連2006年意見書の「これら」を「それら」とちょっと表現を変えただけだから複数形で平仄が揃っている、ということだとすれば、説明はつく。

いずれにしても、このような文章読みをなんの疑問にも思わず喧伝するというのは、残念と言わざるを得ない。

結局のところ、日弁連の大誤訳が、ほとんどの弁護士の認識をミスリードし、マスコミをミスリードし、学界にすら少なからずミスリードを招いている、といってよいと思われる。

なんとなくであるが、共謀罪反対を唱える弁護士の誰かが、エムダッシュの使い方を見落として、この第4文は「without~either(~or)」構文だ、と言い始めたのが、この大誤訳の始まりなのでは無いかと思われる。

そうしたら、尻馬に乗って、周りの弁護士がそう言いだした。

そう言われて読んだら、そう読めなくもない、という人も出始めてしまった。

翻訳家にも見せたら、そう言われて読んだらそう読めるね、という人までも出て来てしまった。

法律家や日弁連までそういうのだからと、原文を吟味せず受け売りで主張する人も出て来た。

その話が拡散して、今のように学者の間にまで拡がり、このような誤訳に基づいた声明に、名前を並べる学者が162名も出るという事態になってしまったのではないだろうか。

外務省も、上記に引用したアーカイブで(下記で再度URLを掲載しておく)、実際に10年前にも国連の立法担当事務局に問い合わせて、立法ガイドの解釈は外務省の見解が正しいという回答を得ている。

http://archive.fo/lb8Qr

また、念のため、「立法ガイド」を作成した国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)に対してご指摘のパラグラフの趣旨につき確認したところ、UNODCから、同パラグラフは共謀罪及び参加罪の双方とも必要でないことを意味するものではないとの回答を得ています。

というものである。

というのに、それすらまるで聞く耳を持たないで、立法ガイド51条の手前味噌な誤訳に基づいた解釈を、共謀罪不要論の根拠として反対の理由に掲げ続けているのが、日弁連と、その受け売りの反対派学者の声明書である。

考えてみれば、外務省仮訳を誤訳と言い張るのは、日弁連や、共謀罪反対ありきで結論が決まっているような一部の弁護士の論考である。

学界において、立法ガイドの訳について両説を検討したうえで外務省訳が誤訳であると断じたような論文というのはほぼ見当たらない。

仮に学者が少し調べれば、国連の立法担当官の見解を外務省が確認したと言っていることはすぐにわかるので、筆が止まってしまって、それ以上外務省訳が誤訳であるなどと論難するような論文が書けるはずはないからである。

しかし、そんな学者も、以前からの議論をよく知らないまま、受け売りで声明書に名前を連ねるだけならできてしまう、ということであろう。

そして、どうやら、日弁連は、この10年間、一度も、国連の担当事務局に正式な文書で立法ガイドの解釈を問い合わせることもしてこなかったようである。

日弁連が仮に立法ガイド51項について問い合わせたら、外務省訳と同じ答えが返ってくることがわかっているから、問い合わせていないのだろうと思われる。

野党までが、この日弁連の誤訳を振りかざして、共謀罪・参加罪どちらも導入しなくてもよいという根拠にして、10年前も猛反対を繰り広げた。

外務省が国連事務局に問い合わせた内容が間違っているというなら、議員や政党として書面で照会すればよかったはずだが、この10年間、問い合わせもしてこないで、十年一日のごとく日弁連の誤訳の受け売りを続けていることも、ミスリードを拡大していると思われるところである。

この度の十年一日のごとき共謀罪反対論は、まずもって、日弁連や反対派学者の英文解釈のレベルの問題として再考しておくべき問題のように思われる。

あるいは誤訳の受け売りの連鎖というべきか。

残念ながら、外務省の方が英文解釈のレベルは高かったというべきか。

外務省はそもそも英語が本職の実務家集団で、ネイティブがあふれかえっていて、条約英語は最たるエキスパートなのであるから、当然といえば当然ではあるけれども。

外務省からすれば、条約英語を「当たり前」に読んでいるだけだから、それ以上にくどくどしく説明もしないわけである。

そこを、「誤訳」も100回言えば「正訳」になるとでも思っているかようなミスリードに、ほとんどの弁護士も、マスコミも、学者も、国会すらも翻弄されている、という構図が見えてくる。

日弁連会員の一人として、日弁連意見書の価値も地に堕ちてしまったという残念な思いを感じざるをえないところである。

 

(追記)

平成29年5月16日の衆議院法務委員会

2:40:00ころ

日本維新の会の松浪健太議員の質問で、同議員は

「我々から外務省にヒアリングしたところ、立法ガイド51項についての国連からの(共謀罪・参加罪どちらか導入が必要という解釈についての)回答をこれまでどうやって確認していたのかと聞いたところ、口頭だ、といわれたので、外務省から国連に書面で口上書をもらうことになり、この(法務)委員会の中盤で、国連の口上書の仮訳ができあがってきた。それによれば、第3のオプション(共謀罪・参加罪どちらも導入しない選択肢)はばっさりと切られている」

旨、述べられている。

つまり、書面による国連からの正式回答として、日弁連の2006年意見書、2012年意見書のように、立法ガイド51項を、「共謀罪・参加罪どちらも導入しないでよい。第3のオプションが採れる」と和訳するのは、間違い、だということで決着がついたようである。

ただし、この国連事務局からの口上書(回答)の仮訳については、まだマスコミは報道をしていないようである。

国際組織犯罪条約が、参加罪を導入しない限り、長期4年以上の犯罪について共謀罪を導入することを義務付けている、という結論は、もはや動かない。

それが世界標準の刑法の理論と実務の状況なのだ、という認識からスタートしなければ、すべての反対論はただのミスリードに過ぎないと思われる。

本来の争点は、長期4年以上の罪であっても、過失犯類型は除外できるから除外するであるとか、立法事実がないような(国内外の組織犯罪集団が遂行することはないと思われるような)犯罪類型を除外することができるなら除外するといった議論を尽くすべきなのであるが、残念ながら、それ以前の空虚な論争に費やされている。

残念ながら、ここまでの論戦は、大半が日弁連発のミスリードに時間を空費してきたというのが実際のところのように思われる。

実は、欧州はじめ世界の大半といっていい国で導入されている参加罪(犯罪的結社への参加)は、犯罪組織への参加の段階で犯罪が成立する。

一方で日本のテロ準備罪(共謀罪)は、諸外国の共謀罪と比べると極めて成立範囲が狭く、「組織的犯罪集団の組織の活動として、実行するための組織により行われる」「犯罪を計画し」「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われ」なければ犯罪は成立しない。

つまり、事実上、犯罪組織の活動に加わりかつ共謀しかつ準備行為に至ることが必要となっており、諸外国に比べて著しく限定的・抑制的な場合にしか共謀罪が成立しないものとなっている。

比較法的にいえば、今回のテロ準備罪が成立しても、日本は、世界的にも珍しいくらい、組織的犯罪集団への処罰に抑制的な、犯罪者に甘い国、という評価になるだろう。

国際組織犯罪防止条約の要請を満たし、相互主義的にどちらの国ででも処罰可能として、情報交換体制と、犯罪人引渡協定の整備を進め、海外で犯罪を遂行した組織的犯罪集団が日本国内でマネーロンダリングする犯罪収益を没収して、海外に引き渡し、被害回復に役立ててもらうのは、日本の国際的責任である。

その相互主義による見返りとして、はじめて、海外で没収された日本の組織的犯罪集団の犯罪収益が日本に返還され、被害回復に役立つのである。

適用罰条を外国と同レベルに整備して、犯罪人を日本に引き渡してもらうばかりでなく日本も犯罪人を外国に引き渡す。それが相互主義である。

犯罪収益を日本に返還してもらうばかりではなく、日本からも返還してあげなければならないという姿勢が、相互主義である。

反対論こそ正義であるかのように声高に主張する論者には、外国の目から日本をみた相互主義の視点が全く感じられない。

ガラパゴス、というを超えて、エゴイスティックに感じるのは私だけであろうか。

テロ準備罪の適用罰条をひたすら少なくするのが人権擁護にとって絶対善であるなどという、間違った先入観に基づいた立論を、多くの弁護士やマスコミ、学者が当然のように語ることに、違和感を禁じ得ないところである。

英語力が低すぎるから井の中の蛙でミスリードに引っかかってしまう、そしてガラパゴス、果てはエゴイスティックというのは、いかがなものであろうか。

携帯電話のブラック情報(2)端末料金の不払

2月 26th, 2017

携帯電話の通信料金の不払いと、端末代金の不払いは、実は、信用情報の登録先が異なるということを、知っている人は意外と少ない。

携帯電話利用料金はTCA、端末の分割料金はクレジットカード等の情報の信用機関であるCICなどである。

つまり、端末代金を分割にしただけで、不払いの場合、信用情報のブラックの登録が2か所にされてしまう、ということである。

ドコモ・au・ソフトバンクは、携帯電話契約を2年縛りにして、2年ごとの更新月を外しただけで中途解約扱いとして、1万円といった高額な違約金を設定し、携帯電話端末料金を9万円とか6万円といった異常な割高な金額に設定し、それを24回に分けて返済する割賦払い契約をユーザーと結び、一方で、月2000円ほどの額を月々割り引くので結局機種代金は無料あるいは格安ですよ、とセールスする、といった、面倒くさい販売手法を取る。

これは、ユーザーを2年間解約させないで高額な月額料金に縛り付けておくための、3大キャリアの側の都合で考案された、ユーザーに不利益な、ある意味あこぎな販売手法である。

しかし、ユーザーは、そのために、割賦販売契約を結ばされることになる。この場合、ユーザーの割賦販売債務がクレジット情報として、延滞もしていないのに、信用情報機関(CICなど)に個人情報が登録されてしまうことになる。

ちなみに、機種代金を一括で支払えば、割賦販売契約ではないから、CICには登録されない。

でもそんなことを知っている人はほとんどいないだろうし、一括払い契約を選択する人はもっと少ないはずである。。

やっかいなのは、通話料金を3か月以上延滞してしまうと、割賦販売代金までもが道連れで61日以上の延滞となってしまい、CICでの信用情報も、いわゆる事故状態(ブラック状態)となってしまうということである。

クレジットカードの支払いを61日以上延滞すれば、言い訳もしようがないけれども、携帯電話料金について、まさか同じ扱いがされると思っていなかった、という人はそれなりに多い。

3大キャリアのスマホを漫然と買って、携帯電話料金だけが遅れたつもりだったのに、携帯電話端末の割賦販売代金が遅れたことにされてしまい、ほかのクレジットカードなどの利用までドミノ式に次々と制限されたり、解除されてしまうことが起きてしまうのである。

CICの事故情報は、契約中および契約終了から5年間、保有される。

http://www.cic.co.jp/confidence/posession.html#sst02
http://www.cic.co.jp/qa/registration.html

携帯電話料金を支払わなかった延滞期間が61日に達しただけで、最低5年もの間、信用棄損状態が回復しない(不払いの事実を消す手段もない)というのは、相当なダメージである。

ユーザーは、本来、携帯電話利用契約を結んでいるだけのつもりであって、クレジットカードまで影響するようなリスクを自分が冒している、とは全く想定してはいない。

こうやってみるドコモ・au・ソフトバンクでスマホを割賦販売契約で買うことは、実は想像する以上にリスキーなことである。

それが、携帯電話会社がほとんどユーザーを縛るという自分の都合で、ユーザーを誘導して高額のスマホ利用契約に伴って割賦販売契約をさせているわけであるから、なんとも罪深いことである。

格安SIM会社(MVNO)で携帯電話を買えば、端末料金は普通は一括払いであり、1万円から3万円までで十分な機種が買える。

MVNOでも、好き好んで端末料金を分割払いにするユーザーもいるであろうが、安い料金を分割にしてCIC登録されてしまい一歩間違えれば信用情報が事故扱いというリスクを考えれば、分割払いはとてもお勧めできるものではないだろう。

ドコモ・au・ソフトバンクの販売手法は、ユーザーを自社に縛り付けるのに懸命である。

そのためにユーザーに割賦販売契約を結ばせ、CICに登録させ、不払いによるドミノ式の信用リスクのことをよくわかっていないユーザーがリスクにさらされてしまっている。

消費者目線でいえば実にけしからんやり方だ、というべきだろう。

私は、多重債務者の経済的更生のために、スマホをドコモ・au・ソフトバンクからMVNOに乗り換えさせるという指導はよくおこなっている。

しかし、この2年縛りの端末代金5万円とか9万円といった違約金が、解約時に一気に発生してしまい、しかもそれが信用情報のブラック化という事態を招いてしまう、という仕組みは、ユーザーにとって重大な不利益であり、苦しい立場にある方の経済的更生にとってまことに不愉快な障害になってしまっているのである。

賢い消費者は、できるだけ3大キャリアのスマホ契約は避けて、格安SIM(MVNO)を選ぶべきだろう。

通話かけ放題を使わなければいけない人は、スマホとは別に、ガラケーの中古端末を、ドコモ・au・ソフトバンク・ワイモバイルに持ち込んで通話のみの端末として開通して、かけ放題契約をすればよい。

ワイモバイルのPHSなら月1500円、それ以外のガラケーは月2200円から持てる。

持ち込み新規契約であれば、かけ放題については2年縛りにはなっても、割賦販売契約を結ぶことがないので、CICに登録もされないのである。

なお、携帯電話会社に全く支払わないまま5年以上滞納した、催告書も最近は送られてきていない、裁判も支払督促もされていない、債務承認書も書いていない、電話でも払うと言っていない、という場合は、消滅時効を主張することができる場合がある。

滞納者が、消滅時効を主張して、携帯電話会社がそれを受け入れれば、通信料金も端末代金も時効消滅することになる。

TCAやCICの登録内容の変更も請求できるだろう。

なお、それでも、不払いにした通信会社の内部情報としては保有される可能性があるので、同じ電話会社で契約するのはそれ以降もNGというのは起こりうる。

但し、消滅時効の起算点には注意すべきである。

消滅時効の起算点は、端末割賦販売代金の場合は催告による割賦販売契約解除成立の日、通信料金の場合は最終月料金の支払予定日より遡ることは無く、その後の携帯電話会社による催告や、一部弁済や債務承認によっても、中断することがある。

つまり、不払いにしはじめてから5年ちょうどでは時効消滅するわけではない、ということに注意が必要である。