Windows XPパソコンをLinuxにしてみました

WindowsXPのセキュリティサポートが、2014年4月9日で切れてしまいます。

私の場合、オフィスも自宅もほとんどすべてのPC端末はWindows7かWindows8プリインストール版に買い換えてありました。

しかし、ひとつだけ、WindowsXPのPC端末が残っていました。モバイルPCのASUS Eee PC 1001HAです。5、6年前に買ったのですが、5年保証をつけていたところ5年経過直前に壊れ、無料修理でマザーボードごと交換されHDDも容量アップして直ってきました。

モバイルPCで9時間くらいバッテリーが保ちます。出張時にはいまも重宝しています。速くはないですが、メールとブラウザだけできればよいので、十分な性能なのです。メモリは1G。

とはいえ、4月9日以降WindowsXPでこのPCからインターネットに繋ぐ気はさらさらありません。

Windows8かUbuntu(代表的なLinuxディストリビューション)を入れよう、どちらにするか、ということだけが、検討課題でした。

試しに、メモリスティックにUbuntu12.04LTS(安定版)をインストールして見ました。HDD上のWindowsXPをいきなり消してしまうつもりはありません。共存インストールをしていろいろ試してみることにしました。

遅い・・・・遅すぎる。

やはりメモリスティックではだめで、HDDにインストールするしかないと思い至りました。

共存インストールのやり方はいくつかありますが、私は、

Wubi

http://www.ubuntu.com/download/desktop/windows-installer

を使うことにしました。WindowsXPのデスクトップ画面にWubi.exeをダウンロードして、exeファイルを実行すれば、あとは流れのまま、Ubuntu12.04LTSのインストールができるようになっています。

あちこちのブログを参考にしながら進めると、あっさり完了です。

実はインストール時の心配として、ASUS EeePC内蔵の無線LANチップに、Ubuntu標準内蔵のwifiのドライバが対応しているか、が、かなり不安でした(対応していなければUSBコネクタをひとつつぶして無線LANアダプタを購入することになります)が、インストール中に、あっさりとWifiルータの電波を認識してくれました。

HDDのパーティションは、セカンドパーティションにインストールすることにしました。WindowsXPに悪影響は与えたくなかったからです。

しかし・・・遅い。遅すぎる。画面のもっさり感と、アプリ起動のたびの止まった感がひどい。

そうです。HDDにインストールしてもひどく遅い。5年前のモバイル端末用CPUである旧型Atomでは、Ubuntuは重すぎるということがわかりました。

さあて、どうするか。Ubuntu以外のディストリビューションを試すか。OS移行をあきらめるか。32bit版Windows8を買ってきてインストールするか。

いろいろ考えた結果、メモリを1G→2Gに増設しました。アキバに寄った際に購入。4000円也。

まあまあ、多少は動きが良くなりました。でも、それでもUbuntuは遅い。XPよりははるかに遅いのです。Linuxは軽い、なんていう人がいますが、ディストリビューションによっては全然軽くありません。特にUbuntuは多くのアプリケーションが常駐しており、メモリ食い、リソース食いなのでしょう、XPよりはるかに動きが重いです。

別のディストリビューションを入れるかどうか、いろいろ調べてみた末、デスクトップ画面のアプリだけを、軽いと評判の

LXDE

http://ja.wikipedia.org/wiki/LXDE

に入れ替えてみることにしました。

UbuntuのソフトウエアセンターからLXDEをダウンロード。

次に、再起動します。 パスワード入力欄のすぐ上のユーザー名の右の白丸をクリックすると、LXDEが選択できます。

それでパスワードを入力。

立ち上がりました。LXDEです。すっきりした画面です。

まずChromium(クロミアム。GoogleのChromeブラウザのLinux版です)を立ち上げてみました。

速い。速いです。XPのGoogle Chromeと大差ありません。うれしい。

次にメーラです。Linuxのメーラも慣れた方がいいのはわかっていますが、とりあえず慣れたWindows製メーラがよいということで、秀丸メールを入れてみることにしました。

秀丸メールはWindowsソフトです。そんなものがLinuxに入れられるのか?入れられます。

Wine

http://ja.wikipedia.org/wiki/Wine

というアプリケーションをUbuntuにインストールすると、Wine上で、Windowsアプリケーションをインストールして、そして、動作させることができます。もちろん動かないものもあるとのことです。

あちこちのブログを参考にWineをインストール。続いて秀丸メールをインストール。フォルダの指定にちょっと戸惑いましたが、あっさり成功です。

秀丸メールは、\turukameというフォルダにすべてのデータや設定ファイルが格納されているので、それをXPのパーティションからコピーしてきて、Ubuntuのパーティションに貼り付けてしまい、秀丸メールのフォルダ設定でそのフォルダを指定。

なんとそれだけで、メールも環境も完全にUbuntuに移行できてしまいました。

日本語入力には戸惑いました。Ubuntuをインストールしてからここまで作業しても実は、日本語入力ができないのです。

ううむ、クセがありますね、Ubuntu。さすがにシロウトには無理だなというのがこのあたりにあるのでしょう。

Linuxの日本語入力には、キーボードを制御する Input Methodという分類に属するアプリケーションと、その上に乗っかる、日本語入力アプリケーションの、2つが、日本語入力に必要です。

Windowsなら、MS-IMEとかATOKひとつでまかなえるものが、Linuxでは2つ必要になります。

それを理解するまでにしばらくあちこちのブログを調べ、時間がかかりました。

調べた結果、いちばんオーソドックスと思われる選択をしました。 Input MethodにはiBus、日本語入力アプリケーションにはmozc for iBusを選びました。 それぞれをインストールし、設定です。これも、ブログをあちこちみながらでした。

iBusの場合、Input Methodの起動は、ctrl+スペースが、標準なのです。alt+漢字などという起動方法はありません。それもまあ、すぐ慣れるでしょう。

こうして、めでたく、メールとブラウザだけできればよい、という私にとって必要な環境ができあがりました。

やってみて感じたのは、あちこちのブログを調べながらやればできますが、Windowsのインストールもやったことのない人には無理でしょう。Windows8を入れておくほうが無難です。

なお、私のEeePCは古すぎて、Atomが64bitOSに対応していません。つまり、Ubuntu でもWindows8でも32bit版しか動きません。まあ、メモリを3G以上積みたいわけではないので、32bitでも64bitでも関係はありません。 いずれにせよ、Windows8でなく、 Wubi+Ubuntu+LXDE+Chromium+Wine+秀丸メール+iBus+mozc で、十分に使えるモバイルPCが出来上がりました。

なお、Officeソフトは無料のLivre Officeが最初から入っています。Microsoft Officeとの互換性はそこそこですが、外出先での閲覧や修正程度の用途に不自由はありません。pdfファイル閲覧も、Adobe ReaderのLinux版があります。

さあ、それでは、これで、壊れるまでEeePCを使い倒すことにいたしましょう。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。