格安スマホ 3GB+かけ放題で月2500円の時代へ

日本通信が求めていた総務省裁定で、NTTドコモへの接続料の大幅減額を勝ち取った。

接続料は半額ほどになる、日本通信は、3GB+かけ放題で月2500円以下のプランを検討中、とのことである。

格安スマホ通話料半額も ドコモ回線レンタル料下げ裁定
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60990660Q0A630C2TJ1000/

ドコモ電波の格安SIMは、横並びで、接続料が半額になることととなる。

私も回線にOCNモバイル回線があるので、おそらく自動的にかなりの値下げになることになる。

OCNモバイルはじめ格安SIM各社から、かけ放題プランも提供されることになるだろうし、そもそも通話の従量制料金が大幅に減額になるだろう。

OCN電話アプリからかける場合も当然減額になるだろう。

ドコモ、AU、ソフトバンクの3大キャリアを選ぶ優位性、積極的理由は、もはや、「docomo.ne.jp」「ezweb.ne.jp」「i.softbank.jp」といったキャリアメールが付いてくる、というだけに近くなってしまった。

おサイフケータイも、SIMフリー端末でどんどん実装されて行っている。

キャリアメールは、もはや、「レガシー」というような存在になっている感がある。

私も、キャリアメールの相手宛てに送るときに必要だから、持っている。

キャリアメールに送る相手は年配の方が大半で、どんどん使わなくなってきている。

キャリアメールは、最近では、ZOOMの登録メールや招待メールが届かないというトラブルが頻出している(笑)。

ビデオ通話の招待メールを、PC、スマホ、タブレットとデバイスを問わず送受信するには、gmail が事実上のスタンダードになりつつある。

かけ放題SIMが月2500円くらいで提供されれば、会社の従業員に持たせることに抵抗もなくなり、私用の携帯電話を使い使わせるような気遣いもなくなる。

最近のスマートフォンは、SIMを2枚挿せてその2回線とも同時に電話待ち受けや通信ができるDSDV端末も増えたので、「2台持ち」ではなく、「1台でSIM2枚挿し」がクールである。

私用と社用で番号を使い分けるので、より、携帯電話回線の需要は増える、というべきだろう。

ところで3大キャリアは、「+メッセージ」というRCS(リッチコミュニケーションサービス、Rich Communication Services)を導入しながら、ショートメールが長く打てるようになりました、などという程度のものを提供し、開始したサービスに「携帯電話番号からの通話をデータ通信上でできる」という、RCSにあたりまえに実装されているはずの機能を削除し、RCSによるデータ通信経由のかけ放題をできないようにしてしまった。

そして、3台キャリアは、かけ放題プランにはさらに2000円以上の料金上乗せをおこなっている。

そのため、ビジネス顧客は、3大キャリアと契約していると、1回線、月1万円前後の料金を払っていることが多い。それで容量は7GB、といったものである。

楽天モバイルは、RCS国際標準準拠のデータ通信アプリ「Rakuten Unlimited」により、月額2980円で通話し放題込み、データ通信容量は事実上無制限、となっている。

そもそも、LINEやfacebook messengerなどのメッセージアプリでもビデオ通話があたりまえにできるようになり、3大キャリアはそれに対抗するために「+メッセージ」を導入したはずが、ビジネス顧客からの「通話収入」の収奪をやめられず、日本のRCS環境の展開を台無しにしてしまった。

さらに3大キャリアはその「+メッセージ」すら、格安SIM各社に開放していない。

しかしながら、その寡占の努力は崩れ、今回の日本通信の得た総務省裁定で、格安SIM各社でかけ放題が2500円程度で提供される見込みとなった。

本来は、RCSも格安SIM各社に開放され、通話も格安SIM各社がRCSでデータ通信の中でもできるようにすべきである。

ちなみに楽天モバイルは既に世界標準RCSを採用しているが、3大キャリアの「+メッセージ」から排除されている。

楽天モバイルの仕様の方が世界標準RCSレベルで優れていて、ユーザメリットが大きいから、排除されている、とも言える。

一方で、Googleは、2019年11月から、米国の全AndroidユーザーにRCSを提供開始している。

Google、米国でも「RCS」を全Androidユーザーに提供開始
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/15/news050.html

日本の3大キャリアが、レガシーなキャリアメールの囲い込みの優位性を誇り、中途半端な「+メッセージ」でユーザー不在の言い訳をしている間に、LINEどころか、zoom、skype、teams、meet、duoといった、SNS系含めたビデオ通話アプリがコロナを機に圧倒的に普及が加速し、gmailが招待用メールアドレスのデファクトスタンダードとなり、日本の3大キャリアはガラパゴス化していくのであろう。

リテラシーの低いユーザーを囲い込んで割高に料金をとるビジネスモデルに、明るい未来はなさそうである。

ユーザーのリテラシーのわずかな差で、月額3000円と10,000円の差は大きいとも思う。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。