レジ袋有料化の根拠法は何?

「レジ袋有料化の根拠法律は何か?」と聞かれて答えられる人は多くないのではないか。

レジ袋有料化について制度概要を説明した経済産業省サイトは以下である。

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

一番末尾まで読んで初めてわかるが、レジ袋有料化の根拠法律は、容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)と、その政令(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行令)、省令であり、レジ袋有料化は「省令」の改正により行われた。

容器包装リサイクル法の本文にはどこにもレジ袋有料化などと書いてはいない。

容器包装リサイクル法は平成18年に成立した法律で、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進で有名になり、小中学校での授業や中学受験での必須テーマとなった。

今年度の中学受験では、「レジ袋有料化を定めた法律は何か?」という設問が結構出るだろうから、子供を持つ親は注目しておく値打はある。

「根拠法律は?」

と聞かれれば、

「根拠法律は容器包装リサイクル法である」

と答えれば正解であるが、

「何という法令の改正により導入されたか?」

という質問には、

「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成七年法律第百十二号)第七条の四第一項の規定に基づき、小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」

を改正した、と答えるのが正解であるので注意が必要である。

中学受験の出題者が出題形式を間違える可能性は結構あるだろうなと思われる。

法7条の6で、容器包装「多量」利用事業者に報告義務がある。

この「多量」とは、政令6条に定めがあり、「前年度に用いた容器包装の量が50トン以上である」事業者のことである。

対象になるのは「小売業」であり、卸売業はレジ袋有料化の対象ではない。

50トンの容器包装を使う(注:レジ袋だけで50トンではない)となれば、チェーンスーパークラスであり、一般の街の小規模商店は該当しないと思ってよいだろう。

さらに中小企業者の除外規定が、法第2条第11項第四号、政令2条で定められている。

この、義務が除外される事業者がかなり多いということが、政府広報などであまり案内されないのは不思議である。

義務違反の場合は、法第7条7項で、勧告(1項)、公表(2項)、措置命令(3項)がされることがある。

罰則は、法第46条の2(措置命令違反 50万以下)、48条(報告義務違反 20万以下)に定められている、。

レジ袋有料化の改正は、施行令(政令)ではなくその下の省令改正(令和元年12月27日改正)でおこなわれた。

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/document/191227_handankijun.pdf
(容器包装の使用の合理化)
第2条 事業者は、商品の販売に際して、消費者によるプラスチック製の買物袋(持手が設けられていないもの及び次の各号に掲げるものを除く。以下この項の各号列記以外の部分及び次項第一号において同じ。 ) を有償で提供することにより、消費者にその用いるプラスチック製の買物袋の排出の抑制を相当程度促進するものとする。

とあり、要は、「有償」で提供する取り組みをせよということである。

有償というのは、1枚1円以上、1枚ごとに1円以上である。「2枚目以降無料」「3枚10円」はダメということのようである。

持手のない袋ならよいので、通信販売は普通は不適用だろうが、持ち手のあるポリ袋を小分け用に同封したら適用になる。

スーパーなどが横並びに「大5円」「小3円」としているのは実は根拠はない。

この横並びがカルテルなら独占禁止法違反のような気がする(笑)。

一枚5円ルールは、杉並区が「すぎなみ環境目的税」(平成14年制定、平成20年廃止)を制定してレジ袋一枚につき5円の課税をしたことが、それ以降の横並びを作り出した一因と思われ、その名残りだろうか。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。