日本学術会議問題の世論調査結果

共同通信が2020年11月16日に公表したところによれば、支持政党別に、日本学術会議の任命拒否について、政府が撤回すべきかを問うた世論調査の結果が出た。

しかしながら、知る限り、京都新聞が同日の朝刊紙面でのみ掲載したのみで、他のメディアは一切報じていないようで、少なくともインターネット上の記事では、以下のデータを全く見ることができない。

大手マスコミが揃ってスルーするのは首をかしげるところで、備忘録として、世論調査結果を、下記に掲載しておきたい。

パーセント表示すると以下のようになる。

 支持政党 任命拒否を撤回する必要はない 撤回するべき 分からない・無回答
全体 48.0% 32.6% 19.4%
自民 66.1% 22.4% 11.5%
公明 42.9% 36.1% 21.0%
維新 55.1% 43.9% 1.0%
支持政党なし 35.3% 29.4% 35.3%
共産 32.1% 60.4% 7.5%
立憲民主 13.1% 80.3% 6.6%

 

(2020.11.24追記)

なお、朝日新聞社が毎月実施している全国電話世論調査の結果について、記事が、yahoo news (withnews提供)で2020年11月24日に発表された。

65%という高水準でスタートダッシュを切った菅内閣の支持率。10月調査では53%に落ち込みましたが、11月調査では56%とやや上がりました。30代と70歳以上をのぞく年代で10月調査よりも持ち直す傾向が見られました。
支持率が下げ止まった背景には、10月調査で支持率下落の一因となった「日本学術会議」問題への視線の変化がありそうです。
この問題は、日本学術会議が新たな会員候補として学者105人を推薦したのに対し、そのうち6人を菅首相が任命しなかった、というものです。
菅首相の対応は、「(同会議の)推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と定めた日本学術会議法違反の疑いが指摘されています。
「日本学術会議」問題について、10月と11月の調査では菅首相の対応を妥当かどうか聞きました。
     ◇
Q:「日本学術会議」についてうかがいます。会員を選ぶにあたって、菅首相は、学術会議が推薦した学者の一部を任命しませんでした。あなたはこのことは妥当だと思いますか。妥当ではないと思いますか。
【妥当だ】10月→11月
全体=31%→34%
18~29歳=38%→44%
30代=38%→43%
40代=40%→39%
50代=35%→36%
60代=24%→30%
70歳以上=20%→22%
【妥当ではない】10月→11月
全体=36%→36%
18~29歳=26%→16%
30代=26%→21%
40代=27%→32%
50代=38%→42%
60代=50%→49%
70歳以上=44%→45%――*その他・答えないは省略
     ◇
11月調査は「妥当だ」34%、「妥当ではない」36%という結果となり、10月調査よりも「妥当だ」「妥当ではない」が競り合いました。「妥当だ」は、18~29歳と30代、60代で10月調査よりも増えました。

(朝日新聞記者・磯部佳孝)

政党別もさりながら、世代別で見ても、ずいぶんと受け止め方の落差が大きいことがわかる。また、時間的経過による推移の傾向も興味深い。

これは、メディア・リテラシーの差によるものだろうと思われる。新聞やテレビ視聴に情報源が偏っているか、インターネットメディア上でのニュースや論説から多面的に広く情報を集めているかの違いが、顕著に出ているものと思われる。

時間の経過とともに、大手マスメディアに限定されない多面的な情報に触れる者が増えていき、またそれが若者ほど顕著ということであろうか。

マスメディアの報道への信頼性に時間経過とともにフィードバックされていくいつもながらのありさまを見ているように思える。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。