Microsoft Teamsが最強になるとき

「Microsoft Teamsが最強になるとき」と書いておきながら、私はMicrosoftは決して好きなわけでは無い。

ATOKや秀丸メール・秀丸エディタ・Google Chromeなどを愛用し続けていて、できるならMicrosoftでないより便利なツールで環境構築を目指している。

 

しかしながら、ビデオ会議ツール・ビジネスチャットツール・ファイル共有ツールとして、Microsoft Teamsは、どうやら、最強の地位を築くことになるであろうことが、見えてきた。

 

ZOOM、Slack、Chatworkといったサービスは、期間の長短はあれど、シェア面では、段段と押されていくだろう。

 

ブラウザ市場における Netscape Navigator のようなものになるとおもわれる。

 

なにしろ、Microsoft Teamsは、大企業がどんどん採用するようになっているからである。

 

理由はごく単純で、セキュリティ対策がMicrosoft水準で保証されているからであり、システム管理者はMicrosoft Teamsを採用することで、すくなくとも採用の当否判断は免責され、TCO面においても、運用人材面においても、将来的な環境の存続面においても、もっとも安全(無難)な選択だとみなされているからである。

 

官公庁においても、デジタル庁が創設され、各省庁バラバラだった環境は次第に収斂されていくであろう。

 

おそらく、官公庁において既に採用されてデファクトスタンダードとなっているMicrosoftの、Word、Excel、Power Point と並んで、Teamsが、省庁内・省庁間・外部との連携のツールとして、採用されるであろう。

 

そうなってくると、企業が、Webコミュニケーションツール(ビジネスコミュニケーションツール)を新規採用するにあたり、わざわざ、Slack、Chatworkを採用する理由となる優位性はあまりみあたらなくなっていく。

 

技術者メインの集団ならSlackを指向するかもしれないが、多数にはならないだろう。

 

Google Meetは、月額(サブスクリプション)契約で定額をGoogleに払ってG Suiteを利用するユーザーには統合環境の一部として使われるだろうが、Microsoft Word、Excel、Power Pointを使うユーザーには魅力はない。特にMicrosoft Officeのサブスクリプション契約ユーザーには、もともとTeamsは当然についてくる。

 

その統合環境は、他のビジネスチャットツールやビデオ会議ツールより、圧倒的に優位である。

 

ZOOMは、画質や音声の質、途切れにくさなど、安定性に優れていて、しばらくの間は、Microsoft Teamsよりもシェアは高く推移するだろう。

 

しかし、ZOOMはビデオ会議ツール単体なのに、その価格は、Microsoft Office(Microsoft Word、Excel、Power Point、Teams付き)とほとんど変わらず、むしろより高価なのである。

 

ZOOM無料版は40分で切断される。再接続は簡単ですぐミーティングを再開できるが、ビジネスの場面ではいかにもチープさが否めない。

 

またZOOMには、チャイナ・リスクが、つきまとって消えない。

 

これで企業のシステム管理者がTeamsよりZOOMを今後積極的に採用するかといえば、否であろう。

 

Zoom環境を用意しておくのは、「相手からZoomを指定されるから」「相手がZOOMなら操作できるというから」に過ぎないようになりつつあるように思われる。

 

もちろん、それがトップシェアを誇り先行者利益を得たZOOMの強さでもあるが、ビジネスの現場でのシェアは、既に世間が感じる以上にTeamsに迫られている状況である。

 

コロナウィルス騒動の初期には、光ファイバー環境もモバイル環境も整備されていないユーザーが多く、回線が時間帯により大変混雑していた中で、シビアな通信環境でもそれなりに途切れず繋がったZOOMにアドバンテージがあった。

 

しかし、ユーザーにおいても通信環境が整備され、回線混雑も落ち着いた現時点では、Teamsだから通信が切れて困るなどと言う話はついぞ聞かない。それでもZOOMには途切れにくさという品質面で一日の長があるようではあるが、Teamsへの優位性はない。

 

機能面でいえば、Microsoft Teamsは、この1年弱の間に、ビハインドを完全に克服した感がある。

 

サードパーティーのベンダーも積極的にTeamsに組み込むアプレットを提供するようになっており、例えば、スマートフォンにTeamsをインストールしておけば、クラウドPBXを介して、会社の電話番号からの発信・受信が可能になる。

 

Teamsプラットフォームに提供することが、手っ取り早く大企業のユーザーへの採用機会を得ることになるので、ベンダーも今後こぞって本腰を入れてくることになるであろう。

 

Teamsの仕様としては、現在、最大で、300人が参加できるオンラインビデオ会議、10,000人が参加できるオンラインイベントの開催が可能である。既にZoomと同等以上である。

 

ブレイクアウトルーム機能もZoomと同様に実装されている。

 

会議は録画録音可能。

 

会議の内容を音声からリアルタイムに文字起こしし、議事録としてWord形式のファイルで保存出来る(現時点では英語版のみだが早晩各国版が出てくる)。

 

他言語の相手とチャットをする際の翻訳機能も既に実装されている。

 

Teams単体で、無料版もある(Microsoft 365 Business Basic)
有料版として最安は540円/月(ユーザー)から。

 

お名前ドットコムが販売する、
Microsoft 365 Apps for business
https://www.onamae-office.com/lp/04/
に到っては、Teamsどころかアプリケーション版Office(Excel、Word、PowerPoint、Outlook、OneNote、Access、Publisher、共有・共同編集可能な1TBのオンラインストレージOneDrive)が付いて月900円、年契約870円@月である。

 

価格競争力でも、他のツールは完全に後塵を拝してしまっており、システム管理者が正直に情報を並べて比較すれば、経営層も、Teamsでいいや、となって当然である。

 

決してMicrosoft贔屓でも無い者でも、冷静に見れば、Teamsプラットフォームの優位性は明らか、ということになる。

 

コミュニケーションツールの導入状況は各人各社バラバラであり、リテラシーを有する者としては、相手に合わせて、E-mailに加えて、ZOOM、LINE、facebook messenger、Skype、Teams、あたりは、スマートフォンにも入れておいて、適宜PC上で操作するかスマートフォン上で操作するか使い分けるということになる。

 

言ってみればただの「下駄」であり、それをこれだけ分散して各ツールに対応するのは結構面倒だなとは思う(笑)。

 

コミュニケーションツールを扱うのに、スマートフォンが便利なのは、トップ画面での一覧性がシンプルで、新着の見逃しが少ないことである。

 

操作性はやはりPCのほうがよい。また、テレビ会議は多人数が映るPCのほうがやはりよいと思う。ということで、デバイスもまた分散しているわけである(笑)。

 

Teamsの課題は、ユーザー管理やインターフェースのわかりにくさ、面倒くささである。

 

しかし、Microsoftは、いずれ、ユーザー管理をシンプルにしたインターフェースも用意してきて、Skypeとも統合し、Microsoftアカウントと結びつけて、スマートフォンで直観的に使えるSNS要素を拡張、つまりLINEやWhatsAppなどを浸食しにかかるのでは無いかとも思われるところである。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。