KDDI(au)も、スマートフォンのデータ容量20GBの格安プランを出してきた。
1回5分かけ放題つきなら、月2980円である。
これで、ドコモのahamo、ソフトバンクのSoftbank on LINE 、auのpovaと、横並びになった。
KDDIが異なる点(優位性)は、1回5分かけ放題を付けなければ、月2480円になることである。
通話することがほとんどない若者の場合、KDDIのプランは柔軟である。
また、プラス200円で、24時間データ通信し放題になる。このプラス200円払った無制限部分はテザリングも無制限に可能である(ソフトバンクやauの無制限プランはなんとテザリング上限があり、auは30GBが上限である)。
プラス200円オプション(KDDIは「トッピング」というそうだ)は、たとえば、自宅に固定回線を持たない大学生のオンライン授業の場合に有効であろう。
ZOOMでデータ通信を1GBを消費するのに一時間半くらいであるから、大学生のオンライン授業に使うには月20GBでは実は全然足らないのである。
いずれにせよ、菅義偉総理大臣と武田良太総務大臣のトップダウンで、あっと言う間に、スマートフォンの価格の4割減という目標は、達成されてしまった。
おそらく、ソフトバンクは、auの後出しプランに直ちに追随するであろうし、そうするとドコモも追随する以外に選択肢は無い。
楽天モバイルも、2980円を値下げしてくる可能性が高い。
さて、3大キャリアの20GBプランがあるとしても、第4の選択肢としては、楽天モバイルがある。
楽天モバイルは、2980円で、データ通信使い放題(一日10GB後は3Mbps)、ショートメールが国内向け送信し放題、アプリ経由(Rakuten-Link)で電話かけ放題である。
ちなみに、申込み300万名まで、1年間無料である。
相変わらず楽天モバイルの料金面の優位性は変わらない。
これが、2480円にでもなれば、ユーザーとしては、大変嬉しい話である。
大学生や一人暮らしのユーザーなどは、楽天モバイルがあればもう光ファイバーがいらなくなるであろう。
楽天モバイルが劣るのは、電波である。
付与されている周波数帯が少なく、プラチナバンド帯がないので、建物の中で圏外やパートナー回線(au電波)になりやすい。
しかしながら、例えば、私のオフィスのあるビル(鉄筋コンクリート造)では、ドコモやauの電波が、建物内部にいくほど電波が入りにくいが、建物内部に一番近い会議室では、ソフトバンク電波となぜか楽天モバイル電波がよく入り、ドコモやauの電波はかなり入りにくい。
電波が入りにくいと、まず、Wifiに繋げない来客が困る。
来客のPCでオンライン会議などのデータ通信をおこなうため繋ぐ際に不都合が起きる。
その場合は、楽天モバイル端末があれば、応急処置として、テザリングしてもらうということもできる。オンラインビデオ会議をすれば、あっという間に1GBや2GBは消費するので、データ無制限・テザリングも無制限、という楽天モバイルは実に有り難い。
大学のオンライン授業も、1日に3~4限も入れば、あっという間に一日5~6GBを消費するから、3大キャリアの月20GBでは実は全く足らない。
そういう層には、楽天モバイル電波が入る圏内に学校や職場や自宅がある場合は、やはり、楽天モバイル一択になるように思われる。
楽天モバイルは1年間無料であるから、とりあえずサブ回線として契約しておいて、最悪パートナーエリアでも月5GB(+容量消費後1Mbps)確保されているau電波で繋ぎ、1年間、楽天回線エリアの拡大と電波の具合を様子見しておけばよいのである。
3大キャリアから正式に乗り換える段階で、一旦サブ回線の楽天モバイル回線を解約して、新たにMNPして楽天モバイルと契約すれば、従来の番号を引き継げる。
契約事務手数料がないので、そんなことも気軽にできる。
楽天モバイル対応のスマートフォンは楽天モバイルのサイトで販売されている。
OPPO Reno A などの、DSDV対応の機種を選んでおけば、SIMの2枚挿・待ち受けもできるから、3大キャリアの番号と楽天モバイルの番号の2台持ちでも、1台のスマートフォンで可能である。
3大キャリアの2980円プランの実施は3月か4月以降であり、そのときまでには、まだまだプランの見直し(値下げ)合戦が展開されるから、もう少し待ってから決めればよいのである。
それにしても、やはり、3大キャリアの「横並び」という名の暗黙のカルテルは、健在、というしかない。
通謀していないので、違法なカルテルと認定できなくても、寡占3巨大企業による長年の「心の通い合い」「持ちつ持たれつ」とでもいうのだろうか。
くしくも、昨年末、NTTドコモは、総務省の裁定を無視して、日本通信への通話料値下げの提示をおこなわないという、ある意味露骨なサボタージュによるMVNOいじめに出た。
MVNO、特にNTTはじめ3大キャリアが出資していないようなMVNOは、ahamoはじめ3大キャリアの20GBプランの競演で世間が沸騰しているのに対して、全く手をこまねくしか無い状態に追い込まれ、プレセンスを失ってしまった。
ドコモが裁定に従わず通話料値下げの提示をしなかったのはおそらく技術的な理由を使うと思われるが、企業の価格戦略的にみれば、仮にahamoに対抗するかのごとくMVNOがさらに工夫した安く有利なプランを出せば、今度はたちまち3大キャリアのahamoはじめ20GBプランがプレセンスを失う番になってしまうからである。
こうやってみると、やはり、「4大」キャリアでないと、どこまでも、まともな料金競争が起きない、「3大」ではすぐに寡占に陥って消費者の不利益になっていたし今後も「3大」である限りそうである、ということが、はっきりしたように思われる。