光回線の通信障害対策

先日、auの通信障害が3日間にわたって継続し、大きな衝撃をもって受け止められた。

 

しかし、ドコモ、SoftBankでも、程度の差こそあれ、年に1回かその前後くらいは、通信障害に見舞われる。

 

怒りのあまり単にauから乗り換える、というだけでは、実は、振り回されているだけで、対策になっているか、はなはだ疑問である。

 

私の場合、

(1)Y!mobile(SoftBank)のかけ放題ガラホ
(2)mineo(ドコモ回線)のマイぴた(データプラン)
(3)povo2.0

の3台持ちで、通話・データともキャリアを分散しているので、1社の通信障害で電話ができないということは全くないし、ネットが繋がらないで困るということもほぼない。

 

しかし、このお盆休み明けは、事務所の光回線の速度遅延という事態に見舞われた。

 

NTTフレッツ光回線であるが、休み明けの2022年8月18日、朝9時から30分間ほど、ダウンロードが遅くてメールのダウンロードにも困るくらいに、回線の速度低下(不通では無く繋がっているが遅い状態)が生じた。

 

回線スピードテストで回線速度を測ると、アップロードは通常どおりに極めて速く、ダウンロードだけが激遅であったから、原因ははっきりしていた。

 

今月は、Microsoftから、Windows Updateが、2022年8月10日に配布されていた。多くの事業所が8月11日~17日を夏期休暇としていた。

 

つまり、8月18日朝に始業時に一斉に、光回線を共有している事業所の各PCが、Windows Updateを自動でダウンロードしはじめたのであろう。

 

Windows Updateの配布開始時ではなくても、家庭用を含む通常カテゴリーの光回線では、金曜夜や土曜夜といった、家庭での接続が混み合う時間では、数Mbps以下といった極端な速度低下が生じることは、周知のとおりである。

 

光回線がいくら高速とはいっても、NTT東西・NTTコミュニケーションズの提供している帯域は決まっているから、普段は数百Mbps出ている回線が、突然に数Mbpsに低下するのは、家庭では頻繁、理屈の上では事業所でも同じである。

 

しかし、事業所でそんな速度遅延が起きれば信頼性を失い、嫌われて解約されてしまうので、各プロバイダや、卸元も、NTT東西・NTTコミュニケーションズも、平日昼間の事業所で使われる時間帯で速度遅延に見舞われないようには気を遣って帯域を確保していて、事業所での速度遅延という事態は、あまり顕在化しない。

 

ということで、平日昼の事業所ではめったにそのような速度低下が生じないのだが、おそらく例外が、Windows Updateの同時ダウンロードが休み中に配布され、休み明けに一斉に起こる場合である。

 

休み明けの業務が大抵メールのダウンロードとチェックから始めるので、この、休み明けの光回線混雑というのは、なかなか厳しい。

 

回線スピードテストの結果をみて、即座に、事務所にあった楽天モバイルSIMのスマートフォンのテザリングをオンにして、各PCを接続してみたところ、Androidの上限10台近くを同時に接続しても、ごく快適にインターネットアクセスができた。

 

30分ほどで混雑は落ち着き、普通に光回線でインターネットアクセスができるようになっていた。

 

楽天モバイルは都会なら数十~百数十Mpbsを確実に出してくれる優秀な回線である。

 

仮にpovo2.0で「24時間ネットつなぎ放題」330円のトッピングをしてテザリングしても、おそらく同様に快適な通信ができただろう。

 

つまり、光回線の通信障害の緊急時用のバックアップ(冗長化)には、楽天モバイルやpovo2.0によるテザリングという手段が有効であることがわかる。

 

光回線の速度遅延という事態は、光回線周りのハードウェアのコストを掛ければある程度対応できる。

 

光回線をIPv6回線(IPv4 over IPv6)に変更したり、ビルの共用回線でなく専用回線を引いたり、ルータ、ネットワークハブを最新のものに変更したり、さらなる高速専用回線に切り替えたり、さらに障害用の冗長化として別に高速回線をバックアップとして自動的に切り替えられるように契約しておく、といったことで、改善または解決できることもある。

 

が、それなりに大がかりであり、入居ビルやハードウエア環境等の制約によっては採用できない方策もある。

 

場合によっては交換機の入れ替えさらにはビジネスホンの電話機全部の入れ替えに発展して巨額な費用が発生してしまうこともある。

 

しかし、回線やハードウェアの環境を入れ替えたとしても、混雑の程度の問題であって、光回線までが混雑する時間はやはり混雑して速度が低下する。

 

IPv4 over IPv6 回線にしても、やはり、混み合う金曜日夜、土曜日夜は、目を疑うほど、ダウンロード速度は低下する。

 

ビジネスの現場でも状況は大差無く、「Windows Update 混雑」でGoogle 検索をかけてみればわかる。

 

事業所の規模問わず、頻度の差と程度の差こそあれ、見舞われている問題である。

 

しかも、光回線であっても、本当に通信障害で不通で繋がらなくなることも、稀に起きてしまう。

 

光回線は、NTT東西・NTTコミュニケーションズという、非常に高品質な信頼性重視のプロバイダが運営しているから、通信障害が少ないだけで、決してゼロでは無い。

 

そのときは、高速な光回線や環境であっても不通になるので、共倒れである。

 

そうすると、年に1度あるかないかの速度遅延のための対策として、回線やハードウェア投資をしても、冗長化にはなっていないとなれば、コストパフォーマンスに合っているのか、はたと考えてしまう。

 

上記のように、光回線が一時的な通信障害で繋がらない場合に備えておくためには、結局は、スマートフォンSIMへのテザリング環境をバックアップ(冗長化)として用意しておくことが、簡単かつ有効である。

 

光回線の一時的な通信障害が、1回330円のpovo2.0へのテザリングで解決するなら、速度遅延・不通、どちらの場合にせよ、必要な冗長化対策を兼ねているということであるから、実戦的には(クリティカルの程度によるが)、繋がればなんとかなるなら通信障害対策としてはこれでもよいのだなと、改めて感じた次第である。

 

携帯電話の3キャリアの回線としては、エリアで(田舎や山の中含めて)ドコモ電波が優秀、通信障害が起きにくい品質面の高さでもドコモ電波が優秀である。

 

だから、普段使いの通信SIMとしては、ドコモか、MVNOのドコモ系SIMがお勧めになる。

 

都会中心ならSoftBank系のサブブランド(Y!mobile)やMVNOのSIMでもよいかもしれない。

 

さらに、光回線の冗長化、兼、ドコモまたはSoftBank回線の冗長化の対策としては、auのpovo2.0という選択肢が最有力となる。

 

普段は月額料金不要で、ときどき(最低半年に1回)24時間データ通信使い放題330円をトッピングして維持しておけば、緊急時にも330円で24時間データ通信し放題をトッピングすればよい。

 

このトッピングは、実際には、翌日の23時59分までつなぎ放題であるから、実質は最小24時間から最大で48時間データ通信し放題330円である。

 

povo2.0 データトッピング

https://povo.jp/spec/topping/24/
購入完了から24時間、データ通信が使い放題となります。
※当面の間は、期間満了日の23時59分59秒までご利用いただけます

 

つまり、au回線でpovo2.0を用意しておけば、他社の通信障害にはほぼ330円か660円までで対応できるだろう。

 

さらに、通話手段のバックアップとしても、povo2.0は、無制限通話かけ放題のトッピングが月1650円である。

 

現在は、当面の間ではあるが、月途中からトッピングした場合、月末までに解約すれば、トッピングした日から月末までの日割りになっている。

 

povo2.0 通話トッピング

https://povo.jp/spec/topping/kakeho/

月の途中で通話トッピングを購入した場合、定額料は満額かかります(当面の間は日割りとなります)。

 

つまり、メイン回線はドコモ系MVNO回線、バックアップ回線はpovo2.0、この組み合わせが、通信障害を見据えた場合、最適な選択として、お勧めということになる。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。