WindowsPCでの日本語IMEの選択肢は、現時点では、
(1)MS-IME
(2)Google日本語入力
(3)ATOK
に事実上限られている。
私は、Windows以前のMS-DOS時代は、管理工学研究所のワープロソフト「松」に添付されていた「松茸」ユーザーで、Windows95以降はWindows標準装備のMS-IMEがあまりにダメなIMEで(カスタマイズがまともにできない)、ほかに選択肢もなくATOKに乗り換えた。
ATOKのキー操作は便利でも好きでもなかったが、キーカスタマイズが柔軟になったので、自分の使いこなした設定にすることができて、ようやく乗り換えられた。
以降も、日本語IMEの選択肢はほかになかったので、ATOKユーザーだった。
ところで、ずいぶん後発のGoogle日本語入力も、変換性能についてはほぼATOKを代替できるレベルのIMEに成長したと思う。
でも一番大事なのはキーカスタマイズがどこまでできるかであり、試しにキーカスタマイズをしてみたら、Google日本語入力のキーカスタマイズは実に柔軟で、なんと、99パーセントまで、ATOKでやっていたキーカスタマイズが再現できた。
これならほぼ使い物になる、ということで、サブ機についてはATOKからGoogle日本語入力に順次乗り換えていこうと思う。
登録辞書を育てて30年以上になる私が直ちにGoogle日本語入力に全面乗り換えできるかというと、「まだ」ということになるが、登録単語なしで使う人なら、Google日本語入力に乗り換えて、何も問題はないだろうと思った。
私の場合は、多台数のPC持ちなので、ATOK Passportのライセンス(10台)を空けやすくなったのがありがたい。
では、どんなキーカスタマイズをしたのか。
ATOKユーザーにも、MS-IMEユーザーにも応用できる、5つのTipsとして紹介したい。
Tips1.日本語IMEのオン・オフを変換キーと無変換キーに設定する
ATOKでは、「日本語IMEのON/OFF」という機能で、一つのキーを繰り返し押せば日本語IMEがオンになったりオフになったりする。
私は、ATOKでは、なにも文字を入力していない、「未入力」状態のときに、「変換」キーに、「日本語IMEのON/OFF」機能を割り当ててきた。
Google日本語入力では、「日本語IMEのON」と「日本語IMEのOFF」の機能は別のキーに割り当てるしかない。
さきほど、ATOKでできることの「99パーセント」がGoogle日本語入力でもできると書いたのは、できない残り1パーセントが、この、Google日本語入力では日本語IMEのON/OFFが1つのキーでできないことである。
だから、やむを得ず、直感的にわかりやすく、日本語IMEのオンは「変換」キーに、日本語IMEのオフは「無変換」キーに割り当てることとした。
これで、日本語IMEのオンオフのために手をキーボードのホームポジションから動かす必要はなくなる。
ネット上のTips情報でも、この設定は、Google日本語入力でのカスタマイズでは鉄板の設定である。
Tips2.変換時の、文節の左右の移動を「変換」「無変換」キーに割り当てる
上記のTips1の設定をすることで、「未入力」状態では、変換キーと無変換キーは日本語IMEのオンオフ機能として働くのだが、さらにお勧めの設定は、「変換時」状態では、文節の左への移動、右への移動を、それぞれ「無変換」キーと「変換」キーに割り当てることである。
文節の左右への移動は、おそらく、カーソルキーを使っておこなう人が多いと思う。
MS-IMEなら←、→、ATOKなら shift+ ←、→である。
しかし、カーソルキーは、キーボードの右下端にあるもので、文節移動のたびに確実に手がキーボード上のホームポジションから離れる。
これは相当なストレスである。
文節の左右の移動を、変換キー、無変換キーに設定するだけで、びっくりするくらい、カーソルキーを日本語入力のために使う頻度が減る。
この設定は直感的にわかりやすいこともあるし、便利なテクニックと思うのだが、なぜか、ネットで紹介されることはほとんどない。
もちろんMS-IMEではこのカスタマイズはできない。
Tips3.文節を一字短く切り直す、文節を一字長く切り直すのを、「F3」「F4」に割り当てる
日本語入力中は、文節を一字短く切り直す、文節を一字長く切り直すという操作は、かなりの頻度で実行する。
MS-IMEではshift+ ←、→、ATOKは、←、→である(文節移動と文節切り直しの操作がちょうど逆で、ややこしい)。
shiftキーとカーソルキーを同時押しすると言う事は、右手がホームポジションから離れるか、左手でshiftキーを押せば両手がホームポジションから離れてしまう。
しかし、ファンクションキー1つづつに割り当ててしまえば、ホームポジションから離れることはない。
私が採用しているのは、F3(一字短く切り直す)、F4キー(一字長く切り直す)である。
キーはやや端で遠いように思えるが、手の届く範囲で、間違いにくいといえる位置にある。
文節切り直しはF3かF4だと決めてしまえば、shiftキー+カーソルキーの左右矢印キーなどは、まだるっこしくて使うことは全くなくなってしまう
なお、F2に割り当てないのは、辞書登録機能を、未入力時にF2に割り当てるから、わかりやすく棲み分けているからである。
またF1に割り当てないのは、F1はヘルプを呼び出すキーとしてWindowsで予約されていて、これを変更するのはWindowsのコントロールパネルからキーボード設定を行うしかないからである。
Tips4.カタカナ変換、ひらがな変換、全角英数変換、半角英数変換の順にファンクションキーに割り当て、半角カタカナ変換は外す
MS-IMEでもATOKでも、ファンクションキーのF6~F10あたりにこれらの変換機能は割り付けられているが、わざとらしく微妙に設定が違うので困る(笑)。
私は半角変換(半角カタカナ変換)はキー設定から外している。
使うことはまずないからである。
カタカナ変換、ひらがな変換、全角英数変換、半角英数変換は、しょっちゅう使うが、これをファンクションキーでやらないのはもったいない。
私の場合は、F7~F10に、左から、「全角カタカナ変換」「全角ひらがな変換」「全角英数変換」「半角英数変換」を割り当てる。
F6に半角カタカナ変換を割り当てても良いが、使うことはないだろう。
全角英数変換、半角英数変換は、F11、F12にも重ねて割り当てておくのがよい .
ちなみにHPのノートパソコンでは、他機種では「Fn+ファンクションキー」で呼び出す機能が初期出荷状態では「ファンクションキー」1つだけで呼び出す仕様になっており、BIOS画面で設定をしなければ、ファンクションキーを駆使するカスタマイズはできないので注意する必要がある。
https://support.hp.com/jp-ja/document/c02498652
Dell製ノートパソコンのファンクションキー動作の設定
https://jp.ext.hp.com/v-ivr/note-pc/other/faq/29/
Tips5.日本語英語の文字種の入力モードの変更もTips.4の並びに準じてファンクションキーに割り付ける
IMEをオンにしたまま、入力する文字種を、日本語のひらがな入力モード、カタカナ入力モード、英字大文字入力モード、英字小文字入力モードなどを、切り替えたい場合に、やはり、ファンクションキーに設定をしておく。
私の場合は、Tips.4の並びに準じて、F7~F10に、左から、「全角カタカナに入力切替」「全角ひらがなに入力切替」「全角英数に入力切替」「半角英数に入力切替」を割り当てる。
ひらがな変換やひらがな入力モードに戻したければF8、と覚えておくのが基本になる。
ちなみに、Google日本語入力では、F5,F6には、日本語IMEのOFF機能を割り当てるのもよいと思う。
無変換キーで日本語IMEをOFFするより、F5やF6キーのほうが押しやすいという人も多いと思われるからである。
以上、5つのキーカスタマイズのTipsを紹介した。
いかがだろうか。
実は、上記のTipsは、いずれも、「変換キー」「無変換キー」「ファンクションキー」に未入力時や変換中の動作機能を割り当てている。
それによって、 日本語入力中に、shift、ctrl、alt、カーソルキー、さらにこれら+文字キーといった2つのキーを組み合わせたショートカットキーをできるだけ使わないように済ませる、ということができる。
MS-DOS時代は、ファンクションキーというのは、OSでは初期設定ではほぼ機能は割り当てられておらず、ユーザーが好きに機能を割り当てワンプッシュで呼び出すためにあり、だからファンクションキーだったのである。
私は、MS-DOSの時代から、松&松茸で、文章をバリバリ書いてきたが、管理工学研究所のワープロソフト「松」とデータベースソフト「桐」は、ファンクションキーにユーザーがいろんな機能を設定してワンプッシュで呼び出せることで人気を博したソフトだった。
マイクロソフトのユーザビリティのセンスの悪さは、30年来変わることがないが、殆どの日本人は唯々諾々とMS-IMEの標準設定で日本語入力をしている。
生産性が悪いことこの上ないので、キーカスタマイズをして、生産性を上げよう。
設定と習得のための1の手間で、生産性向上のリターンは1万倍を超えると思う。