ドコモの「カケホーダイ」ガラケー話し放題月2200円の衝撃

携帯電話の高額な通話料金体系に、おそろしく大胆な値下げの挑戦をおこなった、それが、平成26年6月からはじまる、NTTドコモの料金プラン「カケホーダイ」である。どの会社の携帯電話にかけても、固定電話にかけても、月2200円の固定料金で話し放題なのである(ただしスマホで契約すると月2700円である)。

結論からいえば、ガラケー(フィーチャーフォン。FOMA。スマホでない旧来型)で、メールもWebも使わなければ、ドコモのカケホーダイ月2200円少々(ただし2年縛りがある)で、話し放題の携帯電話が持ててしまう(機種代金は無視すれば)ということである。

え、メールもWebもできない?それは困る。となれば、格安SIM(MVNOのSIM)とドコモの中古スマホ(SIMフリースマホ)を別途購入すれば、メールもWebもLineも繋ぎ放題で月1000円くらいで維持できる。

つまり、月3200円ほどで、ドコモ回線で話しホーダイのガラケー携帯と、ドコモMVNOの、速度は遅くてもネットに繋ぎ放題のスマホ携帯の、2台持ちが可能になるということである。

注意すべきは、機種代金は別、ということである。

ドコモへの申込み方法はどうなるであろうか。

1.これまで、ドコモのガラケー携帯を使っている人
一番問題がない。単に契約プランを「カケホーダイ」に変えて、iモードないしspモードの契約を解約する。メールもwebもできなくなるが、「通話専用のガラケー」にしてしまうのである。それまでの料金プランが2年縛りになっていれば、2年ごとの月に切り替えるのでなければ約10000円弱の違約金を払わないといけない。
それと平行して、格安simと格安スマホ(またはドコモの中古スマホ)を買うのである。

2.これまでドコモのスマホを使っている人
機種代金の分割払い期間(普通は2年)が残っている場合は、それを払いきらないと、カケホーダイに乗り換えても2200円にはならない。これは当然のことである。
しかし、機種代金の分割期間が過ぎれば、料金プランを、カケホーダイに切り替えればよい。またそれまでの料金プランが2年縛りになっていれば、2年ごとの月に切り替えるのでなければ約10000円弱の違約金を払わないといけない。ただしスマホでは月2700円であるうえに、Webにそのスマホで繋げば高額な定額料金はかかったままである。
こういう人にとって一番良い方法は、格安SIMを申し込んだ上で、今あるドコモのスマホはその格安SIMで使い、2台目として、ガラケーを2200円の契約プランで作ることである。

3.au、ソフトバンクの携帯を使っている人
ドコモにMNPで乗り換えればよい。au、ソフトバンクで2年契約の縛りがある人が多いと思うので、中途の月ならその違約金約10000円弱とMNP手数料2000円か5000円を払うことになる。
カケホーダイ2200円を求めるなら、ドコモの新品スマホを買ってはいけない。ガラケーの一括0円(機種代金0円)の、ガラケーを申し込まないと行けない。iモードも申し込まない。契約プランはカケホーダイのみである。
そして、格安スマホと、格安SIMを申し込む。メールやWebはこちらだけでおこなう。

4.ドコモのFOMAのガラケーの中古機を持っている人
これも簡単で、ドコモで電話機を買わずにSIMだけ申し込めばよい。au、ソフトバンクの番号を引き継ぎたければ、MNPで転出する。手数料はかかる。ただし、どちらにせよカケホーダイ契約は2年縛りになるので、一括0円の機種でも購入しておくのがオトクである。ドコモのFOMAの中古機種などというものは世の中にあふれているので、購入しても良いし、人からもらってもよいし、むかしドコモだった人は家に眠っているだろう。それを使っても良い。

5.2台持ちが嫌な人に
1.~4.は、ドコモのガラケーと、MVNO回線の格安スマホの2台持ちが必要になる。そんな面倒なことは嫌だ、という人もいるであろう。
そもそも通話専用携帯でも、メールのうちショートメールは使えるのであるから、それで十分だ、Webもやらない、というひとはそもそも2台持ちは不要である。メールは緊急用だけ、Webもまずしないというなら、iモードに申し込んでも月300円とパケット通信料だけである。ただし、ドコモのパケット通信料は高いのでちょっとメールをすればすぐに月1000円くらいかかってしまう。格安SIMで月1000円の定額のほうがおトクである。
スマホは必須で持ちたい、1台にしたい、という場合は、デュアルSIMスマホというのがあり、ドコモのSIMとMVNOのSIMが2枚とも1つのスマホに挿せる機種がある。
しかし必ずしもお勧めはできない。実は不便なのは、2回線で同時に待ち受けができない機種がほとんどなのである。2回線で同時待ち受けできるデュアルSIMスマホの機種は高額であり、3~5万は普通にする。
海外からの安目の輸入機種となると、2回線目はGSMという海外でしか使えないSIMにしか対応していないことが多い。
2回線同時待ち受けができず切り替えないと行けないということは、電話の待ち受け状態でメールやLINEのメッセージが入っても電波が待ち受けていないわけだから届かず、全く気付かないということである。これはかなり使い勝手が悪いと言わざるを得ない。 つまり、2台持ちが賢明だということである。

6.2台持ちのメリット
となれば、なんといってもベストの解決方法は、2台持ちをすると割り切ることである。話し放題の通話専用のガラケーと、Webに繋ぐ(通話に使わない)専用のスマホを持つというのは、実に合理的な方法である。
2台持ちの合理性は、スマホの使いすぎでバッテリー切れして通話もできなくなるという心配がなくなるということである。スマホの最大の弱点は、バッテリーがすぐに切れるという点である。自分からLineを積極的に使わないような人は、バッテリーが減ればスマホのバッテリーを切っておいて適宜電源を入れてチェックしても不都合がないくらいであるから、そういう使い方もできるのである。

 

ということで、6月になれば、特に仕事で通話を大量にかけるビジネスマンを中心に、仕事専用ケータイについてはドコモのガラケーに乗り換える、あるいは2台持ちでMVNOに移行する人が、おそろしく増えるのではないかと思われる。MVNOも実はドコモ回線のリセールであるから、ドコモによる他社の顧客の切り崩し戦略として、カケホーダイとMVNOの2本立てで強烈な値下げ競争を仕掛けてきたといえるのである。

このドコモの発表は衝撃的で、ソフトバンクは、用意していたかけ放題プランを発表直前で撤回した。おそらくは、ソフトバンクも似たような対抗プランを出してくると思われる。さらに、auがどう出てくるか。

ソフトバンクとauが座視すれば、通話を大量に使うビジネスマンユーザーのドコモへの大量流出は不可避である。そもそも、会社で従業員に携帯を与えている会社は、会社契約の大量の回線をまるごとドコモに乗り換えるであろう。そういうヘビーユーザーは携帯電話会社にとっては金を産むタマゴであるから、auやソフトバンクがそのユーザー争奪戦をスルーできるとは思えない。
これからのドコモ携帯の使い方として、会社に1台置いておいて、どこかに電話するとき、特に携帯にかけるときは常にその携帯からかけるようにする会社も出てくるだろう。

新たな携帯電話の使い方のトレンドが、この6月以降急激に顕在化してくるであろう。

西村幸三

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京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。