PHSの終わりと、ワイモバイル国内通話ずっと無料キャンペーン

PHSの新規契約は、ついに、来年2018年3月31日で一切受付が停止になる。ちなみに、機種が故障しても、機種の交換も、中古機種への入替も不可となる。

といっても、そもそも、1年くらい前から、PHSはほとんどの機種で新品での販売は停止されており、契約をしようと思えば、中古機種をオークションサイトなどで購入して、持込して、機種変更・新規契約をするしかない状態だった。

私も、スタッフ用のPHS電話機の交換は、そうして調達するしかない状態だった。

逆に言えば、そういう意味では、今でも、PHSの新規契約も、MNPによる転入も、PHSの実機さえあれば、しようと思えばできるのである。

今さらPHSの契約をするような人はまずいないわけであるが、実は、まったく意味が無いわけではない。

実は、2017年8月1日から2018年1月14日まで、ワイモバイルの「スーパー誰とでも定額」ユーザー向けの、4G回線(ガラホ・スマホ)乗り換えキャンペーンが実施されている。

これが、とんでもなくオトクなキャンペーンなのである。

ケータイ・スマホに契約変更で、国内通話ずーっと無料キャンペーン
http://www.ymobile.jp/cp/tsuwamuryo/index.html?ref=toppick

なんと、次回機種変更まで、スーパー誰とでも定額月1000円が無料(基本料金だけでよい)というものである。ガラホ(メール・Webオプションを解除してしまう)であれば、なんと、機種代金込みで、基本料金のみの月980円+税の月額料金で、他社携帯・固定まで掛け放題となる。

これは電話のカケホーダイを重宝して使っている人間にとっては、おどろくほど有利な条件である。ドコモ・ソフトバンク・AUの掛け放題は、同じ条件なら月2500円はするからである。

PHSのスーパー誰とでも定額が、メール・Web付きで1500円で他社掛け放題だから、ガラホ通話のみ980円より、PHSの方がオトクでもある。

あるいはメール・Webはスマホで別に足りるという人には、基本料金込み980円だからPHSのスーパー誰誰とでも定額よりさらにオトクになるのである。

また、ドコモ・ソフトバンク・AUのユーザーでも、今からでもPHSにMNPをして、ただちにワイモバイル(ソフトバンク電波)の4G回線に乗り換えることで、月980円の掛け放題のガラホを持つことができる。

ただし、PHSにMNPしようと思えば、PHSの端末を持ち込まないと、ショップは受け付けてくれない。つまり、必ずPHSの中古端末が必要なのである。

ワイモバイルにこんな持ち込みによるMNPを今からしても、このずっと無料キャンペーンは適用されるとのことである。

そして、一旦契約すれば、機種変更をしない限り、ずっと980円で4G回線の他社掛け放題が使える。

さすがに、4G回線がなくなってしまうような遠い将来には、使えなくなるだろうとは思うけれど。

但し、この乗り換えキャンペーンにはいくつか注意点がある。

掛け放題契約には2年縛りがある。2年目以外の月での解約は9500円の違約金。これはドコモ・ソフトバンク・AUの掛け放題と同等である。PHSの副回線(縛りなし)ほど有利ではないが、さすがにもはや比較しても意味が無い。

次に、一旦乗り換えれば、名義変更できない。つまり他人への契約譲渡はできない。契約譲渡をすると掛け放題は月2500円に跳ね上がる。

また、機種変更すると月2500円に跳ね上がる。だからショップでの「機種変更」は禁忌である。

それではガラホが壊れたときに困る、というかもしれない。

しかし、これは容易に解決可能である。

もし端末が壊れれば、中古でワイモバイルのガラホを買えば、そのままSIMを差し替えて使える。

SIMフリーのガラホも、各種新品が販売されている状況である。

だから、壊れてもワイモバイルショップに行って機種変更する必要が無い。

そもそもワイモバイルのガラホのSIMは、ソフトバンク電波の4Gであり、4GスマホのSIMと変わらない。

現状では、ガラホのnano SIMを、SIMフリースマホに挿してしまえば、普通に通話専用端末として使える。

これは、ネット情報でも、ワイモバイルショップでも、可能ですといっている。

つまり、2台持ちにして、ワイモバイルの掛け放題ガラホ(月980円)のほかに、もう一台データ通信専用の格安スマホを持てばよいのである。

2台持ちは嫌だという人は、スマホ1台で済ませる応用テクニックとして、例えば、SIM二枚挿し・2枚待ち受けができるスマホに挿せば、データ通信はもう一枚の格安SIMで行えば済むということになる。合計で2000円程度で掛け放題スマホ環境の運用ができることになる。

こうやってみると、なかなか、驚きの超お得なキャンペーンである。

このキャンペーンは法人でも個人でも契約可能だそうである。

私は、スタッフ用に携帯電話を複数台契約しているが、このキャンペーンでさすがにPHSからガラホに乗り換えようと決断した。

PHSは電磁波がスマホの何十分の1と格段に低く、耳鳴り予防によいので、ずいぶん重宝してお世話になったものだが、とうとうお別れである。

これからは、bluetooth ヘッドセットなどで電磁波対策をするしかなさそうである。

ガラホは、電磁波量はスマホよりは少し低いくらいで、それは不満であるが、電池の持ちがガラケー並みによいし、なによりエリアが拡がるので、まあ、乗り換えもやむを得ないとは思っている。

それにしても、ガラホに乗り換えたあと、契約が消滅したPHSの中古端末が、手許に何台も余ってしまうことになる。

ドコモ・ソフトバンク・AUの契約の人も、一旦ワイモバイルのPHSにMNPして、さらにガラホに乗り換えれば月980円掛け放題になるので、知人に希望する人があれば、融通してあげようかと思っているところである。

しかしあまりにニッチなやり方なので、誰もやりたがらないだろう。

そもそも掛け放題自体の需要が、若い世代では壊滅的になくなっている。

そもそも世の中の人はほとんどこんなオトク情報は知らない。

若い人には掛け放題など興味がない。

ワイモバイルがいくらPHSをてこ入れしても、掛け放題の需要自体がニッチとなってしまっていたために、退潮傾向を止められなかったのである。

現在も数百万回線という単位で生き残っているPHS契約者は、基本的に、話すことが多い人のはずであるから、こういうキャンペーンが成立するのである。

ガラホといっても、若い人から見れば、なにそれ、である。

しかし、年配層は、電話するには、ガラケー、ガラホの方がかけやすい、便利だ、スマホはすぐ間違い電話をかけてしまうから嫌だ、という人が今も相当数存在する。

未だにPHSから移行しない根強い既存ユーザーの存在は、今もレガシーなガラケーを好む年配層の存在と無縁では無い。

PHSのエリアは昔と比べると格段に広いため、ほとんど不自由はしないのだが、今でも山間部では電波が入らないところがあるので、エリアが狭くてダメだという昔ながらの先入観は否定しがたいものがあり、到頭それを克服できなかった。

今回のオトクなキャンペーンは、ひっそりと終わりゆくPHSに別れを告げなければならない長年の愛用者のための、お別れのお礼の儀式のようである。

長時間話す上で、PHSを電磁波回避対策として愛用していた者にとっては、一層のさみしさを感じる、PHSとのお別れである。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。