ドラッカー名言集「経営の哲学」より ピーター・F・ドラッカー 珠玉のことば

西村法律事務所のWebサイトのタブ「珠玉のことばhttps://www.lawfield.com/proverb.htmlに、私が心の拠り所とする書籍や心に刻み込まれた文章をアンソロジーとして集めているのでその中から抜粋して紹介する。

ドラッカー名言集「経営の哲学」より ピーター・F・ドラッカー

「企業をはじめとするあらゆる組織が存在するのは、組織自身のためではない。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。組織とは、目的ではなく手段である。」

 

「マネジメントにとって最大の責任は、組織の生存を確実にすることである。組織の構造を健全かつ堅固にし、打撃に耐えられるようにすることである。急激な変化に適応し、機会をとらえることである。」

 

「マネジメントとは、ニーズと機会の変化に応じて、組織とそこに働く者を成長させるべきものである。組織はすべて学習と教育の機関である。」

 

「事業の定義は、組織が目標を達成したとき陳腐化する。目標を達成したときは、お祝いをすべきときでなく、事業の定義を見直すべきときである。」

 

「知っている仕事はやさしい。そのため、自らの知識や能力には特別な意味はなく、誰もがもっているに違いないと錯覚する。逆に、自らに難しいもの、不得手なものが大きく見える」

 

「他社はうまくできなかったが、我が社はさしたる苦労なしにできたものは何かを問わなければならない。同時に、他社はさしたる苦労なしにできたが、我が社はうまくできなかったものは何かを問わなければならない」

 

「多くの領域において卓越することはできない。しかし成功するには、多くの領域において並み以上でなければならない。いくつかの領域において有能でなければならない。一つの領域において卓越しなければならない。」

 

「企業が自ら生み出していると考えるものが、企業の将来や成功にとって重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが、事業と事業が何を生み出すかを規定し、事業が成功するか否かを決定する。」

 

「社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる。企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、有用かつ生産的な仕事をしていると見なされるかぎりにおいて、存続を許されているにすぎない。」

 

「顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見いだしているかを知ることができる。」

 

「いかなる事業にあろうとも、責任ある立場の者は、多くの時間を社外で過ごさなければならない。外に出てノンカスタマを知ることだけが、知識の幅を拡げる唯一の道である。」

 

「イノベーションを行うにあたっては、外に出、見、問い、聞かなければならない」

 

「イノベーションの戦略では、既存のものはすべて陳腐化すると仮定する。」

 

「知識労働者の生産性を向上させる条件は、大きなものだけで6つある。仕事の目的を考えさせる。生産性向上の責任を負わせる。イノベーションをおこなわせる。継続して学ばせ教えさせる。量よりも質が問題であることを理解させる。彼らをコストではなく資産として遇する。」

 

「知識労働者とサービス労働者のあらゆる活動について、本来の仕事に必要か、本来の仕事に役立つか、本来の仕事がやりやすくなるかを問わなければならない。答えが否ならば、そのような活動は、仕事でなく雑事にすぎない。独立した別個の仕事にするか、なくしてしまう必要がある。」

 

「実際に仕事をしている人間こそが、何が生産性を高める役に立ち、何が邪魔かを知っている。したがって知識を持ち、技能をもつ者本人に責任を持たせることが大事である。」

 

「生産性向上のための最善の方法は、他人に教えさせることである。知識社会において生産性の向上をはかるには、組織そのものが学ぶ組織、教える組織とならなければならない。」

 

「利益はコストを賄う。しかし、利益を生む活動に意識的に力を入れなければ、コストは何も生まない活動、たんに多忙な活動に向かっていく。資源や業績と同じように、活動やコストも拡散する。」

 

「コスト削減の最も効果的な方法は、活動そのものをやめることである。コストの一部削減が効果的であることは稀である。」

 

「組織は透明でなければならない。誰もが構造を理解できなければならない。最終的な意思決定者がいなければならない。階層の数は少なくしなければならない。階層が増えるごとに、組織は硬直性を増す。情報量は半減し、雑音は倍となる。ミドルの減量を開始するときである。一つの方法は不補充である。空席にして静観し、強い要求がなければ、そのままポストを廃止する。管理、コミュニケーション、人事など、組織体を動かすことに時間をとられないほどよい。」

 

「組織改革を手軽に行ってはならない。それは手術であり、小さなものでも危険が伴う。度々の組織改革は退けなければならない。もともと完全無欠の組織はない。ある程度の摩擦、不調和、混乱は覚悟しておかなければならない。」

 

ドラッカーの言葉は、企業経営者が普段気付いていないままに、一時は卓越さをもって成功し、時間が経つと成功に甘んじたあげく陳腐化して失敗していく原因を、残酷なほど鮮やかに浮彫りにする。

ドラッカーの著作は、何度読んでもいつも新たな発見がある。

何度ドラッカーの戒めを心に刻み込んでも、経営者は成功の瞬間に慢心し、自分自身がたちまち陳腐化するのである。

定期的にドラッカーの耳の痛い警鐘に触れる習慣を持つべきである。

ドラッカーの言葉に触れると、これまでに、自分が成功して成果を得た瞬間には、ドラッカーの言う奥義を、確かに会得して体現していたといえる瞬間がある。

しかし、現在の自分は、かつての成果をあげた時点の卓越さを新鮮に保ち続けているだろうか。

成功に安住して、すっかりなまくらになってしまっているのではないだろうか。

 

西村幸三

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京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。