スマートフォンが月1000円で持てる時代になった(2)

殆どの人が使っているのが通信料定額月7000円(安くて5000円くらい)のスマホなのに、そのスマホが通信料1000円で持てるわけがない、というのが、ほとんどの人の常識だが、賢い消費者は、月1000円で持てる格安スマホ(格安SIMカード)に既に切り替えはじめている。

どうやったら持てるか。必要なものは、以下のものである。

(1)ドコモから売られていた、中古の電話機端末 これは、ドコモから売られていたスマホの中古機であればよい。LTE対応機種であればさらによい(後述の(2)のSIMカードのプロバイダによっては3Gのみ端末には対応していなくて動かないこともあるので注意)。 もちろん端末の割賦代金は完済している中古端末でないとダメである。

(2)ドコモの回線を再販売している通信業者のSIMカードを契約して入手し、(1)の端末に指し込む

販売しているプロバイダは、山のようにある。以下で比較されているが、月1000円以下のサービスも豊富である。3回線月1500円などといった破格のプランもある。

格安SIMカード比較(MVNO/LTE/データ通信)

http://ma-bank.net/word/92/

注意すべきは、(1)の端末のカードスロットと(2)のSIMカードの大きさが違えば、差し込めない。このサイズはきちんと確認しておかないといけない。ときどき、動かない組み合わせもあるので、そこは自己責任でやってもらわないといけない。インターネットで経験談を集めて、動いたという組み合わせで調達するのがベターである。

実に、たったこれだけである。ドコモの中古Androidスマホ端末は、早くも世の中にあふれかえっており、1万円前後からいくらでも中古で売られている。ブックオフでも、楽天でも。なお、富士通製など出来の悪いという悪評がつきまとう端末を避けておくなどの注意は必要である。

ある程度の通信量までは高速なLTE回線のスピードで見られて、その後は、200Kbpsくらいの、3G回線なみのスピードに落ちるサービスが多い。しかし、3Gが遅いといっても、結局、従来のimode程度のスピードで見られるということである。軽いWebサイトを見るだけなら問題は無い。 若者必須のLINEは、ごく軽いサイトの部類であり、スマホ端末でさえあれば、よほど古くて遅い端末でない限り、月1000円スマホでなんとか見られる。ニュースサイトは、My YahooにでもRSS登録しておけばテキストベースでさくさく見られる。 但し、格安SIMをスマホに差しても当然には通話とテザリングができない(Anroid 2.3OSのrootを取得するという特殊操作をすればできないではないらしいが危険で一般にはお勧めできない)。とはいえSkypeで電話もできる。050番号も持てる。

そもそも、月1000円なのだから、PHSやガラケーと2台持ちして、1000円スマホは電話と思わず、あくまでネット閲覧用と思えばよい。子供に持たせるなら、もう一台無料キャンペーンで入手したPHSで通話、ネット閲覧は1000円スマホ。これで十分なのである。家族全部がPHSと1000円スマホの2台持ちというのは、都会ではなんら支障が無い。

既にこのような賢い持ち方をしているユーザーはひそかに増えている。あまりこういう方式が広まれば、携帯三社の利益率は減少していくことになるであろう。しかし、まだまだこの格安SIMはニッチで、まだ携帯三社が対抗値下げをする時期には到っていない。代わりに、格安SIM会社同士の競争が激烈で、消費者利益にかなっているというか、ほとんど消費者天国のような状態にある。

振り返れば、ソフトバンクが安値攻勢を仕掛けていた数年前の携帯三社の競争は、やはり熾烈で、消費者の利益になっていた。 が、もはやソフトバンクはiPhoneで勝ち組となってしまい、客単価の向上にばかり熱心で、他のニ社との価格競争を回避し、暗黙に価格維持を図っている感が強い。スマホは、一時の激烈なガラケー市場での競争で低下した客単価を無理矢理引き上げるためのエサであり、携帯三社はスマホに関しては競争に懲りたかのように割高な通信料金で横並びである。 その携帯三社の客単価向上策にまんまと乗っていったのが、スマホユーザーという言い方もできる。

この寡占状態とスマホによる客単価の向上が、ここ数年の携帯三社の兆単位の巨額利益へと繋がっており、これは消費者の利益を損ねていること、甚だしい。

そもそも1日もたずで電池切れを起こすような端末を電話として使おう、わざわざそんなものに切り替えようという発想が間違っているのではないか、と思うこのごろである。

ちなみに、格安SIMとPHS2台持ちという手法は、ソフトバンク子会社のウイルコムが再建のため安値攻勢を掛けて電波の利用効率を高めようとしている今が旬の節約法である。

もちろん、すべての人にスマホが不要と言っているわけではない。

仕事で建設現場の写真をスマホで撮影してじゃんじゃん会社に送るという現場監督などには、スマホは必須である。スマホのテザリングでPCやタブレットを一日中仕事で持ち歩く人にも、電池の保ちの問題はあるが、スマホはまあ合理的である。

しかし、世間一般の人は単なる娯楽手段としてスマホを使っている。おもちゃにしてはいかにも割高でコストパフォーマンスが悪いと思うのである。

西村幸三

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京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。