LINE WORKS は優れもののチャットツール

チャットツール(コミュニケーションツール)としての、LINE WORKS のできのよさに、最近注目している。

 

多くの中小企業にとって、スマートフォンによる業務管理の核となるチャットツール(コミュニケーションツール)の中で、LINE WORKSは有力な選択肢と思う。

 

特に、従業員のITリテラシーが高くない企業、PCを拡げてその前に座っていられない外回りや現場で稼働する社員が多い企業、顧客と頻繁に速いレスポンスでの接触が重要な業種にとって、最有力な選択肢になると思われる。

 

LINE WORKSについて、感心したきっかけは、「時間外の場合の自動応答メッセージ機能」である。

 

LINE WORKSの解説に、

 

https://guide.worksmobile.com/ja/message/message-guide/message-with-external-user/message-auto-response/

 

「指定した時間帯にトークを受信した場合、事前に設定しておいた文章を自動返信することができます。

外部の人が勤務時間外と知らずにトークを送信し、返信がないと悪い印象を与える可能性があります。このような時に「自動応答メッセージ」を使って、勤務時間情報や不在である旨ことを伝えることができます。」

とある。

 

つまり、勤務時間外に、顧客や上司がトークで連絡を取ろうとしても、「18時から10時までは営業時間外なので応答できません。時間内にお問い合わせください」と自動応答のトークが返信されるという仕様である。

 

最近、働き方改革が叫ばれる中、LINEや電子メールで、時間外まで従業員に連絡したり、顧客からの連絡に応答させれば、無給の時間外労働をサービス残業として強要していると言われかねない時代である。

 

LINE WORKSで、時間外自動応答メッセージを導入しておけば、顧客とLINEで繋がっていても、時間外であることが顧客に留守電メッセージのように伝わる。

 

従業員は、「会社からシステム上時間外対応を禁止されています。翌朝(週明け)に読んでおりますので」と、言い訳できるのである。

 

なお、LINE WORKS のユーザーと、LINEのユーザーは、トークはできるが、無料電話・無料ビデオ通話はできない。

 

でもLINEアカウントにもボイスメッセージは送れる。

 

つまり、顧客のLINEとはあくまで非同期コミュニケーションと整理しているのである。

 

別に携帯電話番号などで繋がっていない限りは、顧客との電話にリアルタイムに出る必要はなく、非同期コミュニケーションのチャットに対応が限定されるので、働き方改革にもなるし、業務の中断もないので、業務の効率性は高まる。

 

プラットフォームとして、この仕様のバランスのよさに感心したのをきっかけに、LINE WORKSを調べていくと、ITスキルの低い従業員が多い企業で、特に外回りや外部対応が多い業種では、報連相や顧客対応記録を残していく上で、導入が非常に手軽であり、報連相のレスポンスが早くなり、また必要な機能が十分にそろっている優秀なアプリであることがわかってきた。

 

LINE WORKSのアカウントを取得する場合には、月額0円のプランもあるが、制限が多く非実用的である。

 

実用的なのは月額300円のライトプランか500円のベーシックプランである。

利用料金

まず、LINE WORKSのアプリは、LINEアプリと別である。アイコンが、LINE WORKSと、LINEは、別々にデスクトップに置かれる。

 

従業員は、個人のスマートフォンにであっても、LINEアプリと、LINE WORKSを両方入れることが出来る。

 

もちろん、業務用には別にスマートフォンを持たせるのが理想である。データ通信も携帯電話通話も駆使することを考えれば、楽天モバイル(月額2980円。データ容量制限なし。かけ放題)が本命であろう。

 

スマートフォン自体を貸与しておけば、時間外は、その貸与スマートフォンは電源を切っておくようにさせればよい。

 

従業員個人のスマートフォンにLINE WORKSアプリをインストールさせるのは、勤怠管理上もマイナスがあり、種々セキュリティ上の懸念も考えると、次善の策であろう。

 

なお、オフィスの営業アシスタントなどPCの前に座っているデスクワーク組は、スマートフォンを貸与しなくても、PCのLINE WORKS アプリかブラウザでも作業は足りる。

 

管理者は、全従業員分のLINE WORKSのIDやデータを管理・監視することが出来る。

 

有料プランであれば、180日間分の、全従業員分の、従業員間・顧客との間のトーク内容などの入力内容(修正・削除の経過含む)を監査できる。

 

ストレージが、月300円のライトプランでも基本100GBで、一人当たり+1GB追加される。

 

共有フォルダも作れる。つまり、顧客ごと、案件ごとに共有フォルダを作ればよい。

 

建設業などでは、現場写真を撮影して、共有フォルダに放り込んでいけば、オフィスにおいてアシスタントがPCから共有フォルダをチェックして、現場監督が送ってきた写真データを加工してすぐに写真撮影報告書を作成できる(もっともこういったフローは小規模な建設会社においても現在でも普通に実践されている)。

 

商品カタログや、商品見本を撮影した写真を共有フォルダに置いておけば、顧客訪問時に、スマートフォンやタブレットでカタログを顧客に見せることができる。

 

月500円のライトプランなら、ストレージやメール機能も拡張され、

 

ストレージの基本1TB
(一人当たり1GB追加)
・メール(30GB/ユーザー)
・Drive(30GB/ユーザー)

 

である。こうなるとなかなか立派なクラウド環境である。

 

LINE WORKSの「メール」とはなにかというと、要は、メーラー(メールクライアント)である。自社の独自ドメインでもgmailでも追加できる。

 

つまり、顧客と繋がる場合に、LINEを基本にしつつも、メールでの連絡も可能である。

 

ちなみにスタンプもメールで送れる。つまり、ポップなメールのやりとりも出来る。

 

Eメールしか無い顧客にも、チャット感覚でコミュニケーションが取れる。

 

トーク機能はといえば、ほぼLINEそのままである。

 

つまり、LINEユーザーは日本で9000万人近いわけだから、トークだけなら誰でも使える。

 

顧客と繋がっていても、多忙な顧客も多く、顧客に連絡する際、電話での行き違いも多い。

 

Eメールも読まれるまでに時間がかかる。

 

LINEトークは、非同期コミュニケーションで、必要な連絡を顧客におそらくあらゆる連絡手段の中でも最短のタイムラグで読んでもらえる。

 

LINEトークであれば、メール作法もそこそこに、チャットとして、シンプルにトークで上司部下と報連相ができる。

 

伝言した方が早いと思えば、LINEトークで、ボイスメッセージにより留守電メッセージのように残しておけばよい。

 

たとえば上司がわずかな隙間時間にトークで返す余裕がないので部下にボイスメールで指示しておく、といったイメージである。

 

会社の上司・同僚・部下や、顧客や、ビジネス相手が、多忙であるほど、移動時間や隙間時間(Eメールまではチェックできない)にちょっとスマートフォンを取り出したときにLINEをチェックするだろうから(あるいは別の会議などに在室している間に、内職的にチェックしてトークで返せる)、読まれレスポンスされるまでの時間が、PCメール(Eメール)より速い。

 

若者ほど、EメールよりLINEでのつながりを好む。

 

携帯番号やメールアドレスを教える必要も手間もなし。

 

いつでもブロックできる分、LINEアカウントの交換にも抵抗が少ない。

 

とにかく、一般の顧客においても、LINEはレスポンスは速い。

 

その社内連絡・社外連絡のログが全部残り、180日以内に管理者が定期的にバックアップしておけば、業務記録になるのである。

 

スケジュール管理機能もある。

 

忙しい上司や営業マンなら、口頭で部下や営業アシスタントに指示して、上司のスケジュール管理を許可されている者が代理に入力できる機能もある。

 

従業員ごとのスケジュール表、設備や会場(会議室)ごとの予約管理表、グループ単位のスケジュール(ミーティングなどの)表が用意されている。

 

ミーティングなど予定への招待機能がある。

 

当然ながら、予定の通知(アラート)機能がある。

 

LINE WORKSは、スマートフォンはもちろん、モバイルPCでもトークの入力やファイルの受け取りや送信ができる。

 

デスクワーク時は、当然、キーボード入力ができるわけである。

 

電話やFAXが届いていれば、営業アシスタントは、オフィスの未決カゴに放り込むのと合わせ、外回りの営業マンのトークにサッと送信しておけばよい。

 

営業マンが一日外回りでも、顧客からの引き合いを承れば、まずはオフィスの営業アシスタントにトークやボイスメッセージや無料通話で伝え、バックヤードでアシスタントが見積書や資料を作成、パンフレットのPDFやURL、説明を営業マンのトークに送信、それを顧客に転送、といった流れである。

 

営業マンは、日報を書いて、自宅に直帰すればいい。

 

商談内容でも日報でも、アシスタントにボイスメッセージで頼んでおけば、書いてアップしておいてもらえるだろう。

 

なお、営業アシスタントのLINE  WORKSアカウント自体を、顧客のLINEとのグループに招待することもできる。「外部のLINE WORKS連携」を許可されたユーザーだけが外部と繋がれる。そもそも外部ユーザーを招待したグループを作成できるかどうかは管理者が設定できる。

外部ユーザーとのグループの作成

https://guide.worksmobile.com/ja/contacts/contacts-guide/group/external-group/

 

なお、グループ設定で、外部ユーザー込みのグループではトークのみ利用可としておくほうがよいだろう。これは管理者でなくグループマスターが設定する。

 

 

こうやってみると、営業マンの仕事を見える化して、営業アシスタントが、現場に出ている営業マンのサポートをするのに最適だということがわかる。

 

機能の説明としては、

LINE WORKS かんたんマニュアル スマートフォン操作編
https://line.worksmobile.com/jp/wp-content/uploads/2020/10/lineworks_manual_smartphone_200918.pdf

が、一番わかりやすい。詳細仕様は、以下の、

 

各種資料
https://line.worksmobile.com/jp/ebook/#

にある。

 

LINEに実装されている機能と同じだが、LINE WORKSアカウント同士であれば、無料通話、無料ビデオ通話、無料グループ通話、無料グループビデオ通話があるので、社内の相手と、会議ができる。

 

LINEの無料通話は、圧縮率が非常に高く、その分遅延はほとんどなく、IP電話の中でも音質がかなりよい(LINEは電話会社系はじめIP電話各社が標準として採用するプロトコルのSIPを採っていない)。

 

海外との間での電話が特に優秀である。

 

海外から日本にLINE無料通話やLINEコールクレジットで電話を掛けたことがある人ならわかると思うが、国際電話よりはるかに安いのに、遅延も無く、音が切れることもまず無いのである。

 

グループを作ってチャットするのは、まさにチャットツールの中核機能で、Microsoft TeamsでもChatworkでもそれがウリである。

 

チャットツール機能自体で、LINE WORKSは、競合アプリとさほど劣るところは無い。

 

チームごと、さらにはプロジェクトごとにグループを作れば、チャットがそのまま業務進捗の記録になる。

 

顧客とのチャットは、そのまま、おたがいの備忘録、打ち合わせ記録になる。

 

ノート機能を使えば、業務日報も、議事録も、隙間時間に作れる。

 

稟議回覧決裁のフォーマットもトークの中で用意されており、関係者がランダムにトークで応答して承認していくため、極めて迅速な稟議が可能になる。

 

遠隔間の会議であっても、書記役は、ノートPCで、グループ通話で会話に参加しながら、ノート機能で議事録をリアルタイムで作っていくことができる。

 

予定調整表の作成機能がある。

 

繋がっているグループメンバーへのアンケート機能がある。

 

トークの機能には、英語や中国語との間での通訳機能まである。

 

こうやってみると、テレワークにあたって必要な環境としてみても、まあまあ備わっているのである。

 

カスタマイズもあまり要らず、トークをLINEの感覚で使う延長に、上司部下顧客との非同期コミュニケーションの交換がまめにでき、スケジューラ、日報作成や稟議作成フォームに落とし込んでいくというところまで、誰かが始めれば自然に浸透する流れである。

 

各従業員に、楽天モバイル入りスマートフォンと、キーボード入力の利便性を重視するならモバイルPCを持たせておけば、工事現場にいても、顧客回りに外にいても、社内社外で会議漬けになっていても、役員ならリゾートホテルでワーケーションをしていても、報連相にタイムラグやストレスは極めて少ない。

 

社長やエグゼクティブが、休日や、時差のある海外旅行でバカンスをしていても、隙間時間に一気にトークをチェックして、都度、無料通話するか、入れ違いならボイスメッセージで指示を吹き込んで送っておいてしまえばよい。

 

エグゼクティブは、予定は、自分で入力しなくても、部下に入力させればよい。

 

アイデアも秘書にボイスメッセージで文字起こししてもらえばよい。

 

さて、チャットツールやオンライン会議ツールとして比較対象となるアプリとして、Microsoft Teams、Chatwork、Slackなどがメジャーである。

 

いずれも、PCでもスマートフォンでも使えるし、愛好者も多く、長所もある。

 

でも、LINE WORKSに比べると、使用経験の無い者が、各端末で使いこなせるようになるまでの設定や、インターフェースの操作感については、覚えることが、かなり多い。

 

LINE WORKSの強みは、ほとんどLINEを使っている感覚と変わらないということである。

 

つまり、多くの従業員にとって、導入と操作習得の敷居が非常に低く、チャットを始める=トークを始める・グループトークや通話をする、と同じレベルでしかない。

 

社内に留まらず顧客や外注先などとの業務連絡ツールとして導入することが非常にスムーズなのである。

 

従業員のリテラシーの低い企業ほど、従業員はLINE WORKSを自然に使いこなすようになり、徐徐にいろいろな機能を使っていけるようになるだろう。

 

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。