闇バイトの恐ろしさ

闇バイトが、さまざまな形態を取るようになっている。

 

「SMS認証」代行でアカウント不正取得疑い、男女5人書類送検 京都府警
2022年7月25日
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/843224
 携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使った本人確認手続き「SMS認証」を代行し、SNS(交流サイト)のアカウントを依頼者に不正取得させたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と城陽署は25日までに、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で、神戸市の男子専門学校生(19)や東京都国分寺市の男子大学生(18)ら男女5人を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。
 SMS認証は、携帯電話のSMSを使って認証コードをやりとりする仕組み。SNSサイトなどの利用登録時に、サイト側が利用者の本人確認をするために用いられる。本人以外が代行すれば、偽名でサイトを利用できるため、犯罪の温床になると指摘されている。 書類送検容疑は、専門学校生と大学生が、依頼者側の20~30代の男女3人と共謀し、何らかの方法で入手した他人の電話番号と認証コードを依頼者側に提供し、SNSサイトのアカウントを不正取得させた疑い。依頼者側の1人は岐阜県の国家公務員女性という。
 捜査関係者によると、専門学校生と大学生は、オンラインゲームのキャラクターやアイテムを売買するサイトで、「アカウント1500円」などと認証代行をほのめかす投稿をしていた。不正取得したSNSアカウントの一部は、売春グループの誘客に使われていたという。

 

他人が登録するLINEの認証を、自分の携帯電話番号のSMSあてにされたものを、認証番号を教えてあげるといったことをしたのだろうと思われるが、立派な犯罪である。

 

こういう風に認証されたLINEなどSNSアカウントが、特殊詐欺に使われたり、薬物密売、売春などの連絡に使われる。そうなると、犯人の一味として捕まることになり、実際に犯罪などで有罪となり、被害者から共犯として巨額の損害賠償を受けることになる。

 

一時、主婦の「バイト」として、免許証の画像を転送し、携帯電話SIMをオンライン契約され、格安SIM事業者からSIMが宅配便で送られてきたら荷物を受け取り、それをそのまま渡してしまう。

 

国民生活センター 2021年11月19日
報酬がもらえる荷物の受取代行に登録しようとしたら、個人情報を求められた

https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2021_25.html

 

これも、特殊詐欺に利用されるなどして、同様に巨額の損害賠償を受ける対象となる。

 

最近の携帯電話SIMは、届いた際、封筒に、「これはスマートフォンに挿すと使えるようになるSIMカードが入っています。携帯電話利用契約をした覚えがない場合は、かならずこちらまでご連絡ください。受け取り代行を頼まれるなどして他人に渡してしまうと、特殊詐欺などに利用される恐れがあります」と封書に書かれるようになっている。

 

他にも、闇バイトには、

(1)特殊詐欺でATMから現金を出してくる「出し子」

(2)特殊詐欺で被害者の自宅にキャッシュカードや現金を取りに行く「受け子」

(3)集団窃盗

(4)コロナの持続化給付金の申請

など、枚挙に暇がない。

 

こういった闇バイトは、TwitterなどのSNSでリンクを張って募集していたりして拡散させ、中高生・主婦が知らずに乗ってしまうことが多く、公務員と言ったまともな勤め人も引っかかることがある。

 

一度闇バイトのに関与してしまうと、自分自身も発覚をおそれることになり、また犯人グループも離脱させないように、しつこく、ひどい恫喝をして(たとえば、離脱したら「おまえも家族も命がない」など)、犯罪集団に引き込み続けようとくるため、次々と犯罪を重ねることになる。

 

自分の子供や家族がいつのまにかそういう闇バイトに手を出してしまう、といった事態で、頭を抱えることのないよう、家族の含めたリテラシーを身につけたいものである。

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。