株式会社の株主総会をはじめとして、社団法人・財団法人・学校法人・社会福祉法人・協同組合などの定時総会は、5月末から6月末に開催日が集中する。
今年、コロナ対応として、こういった各種法人の総会を「集まらずにオンライン開催できるか」という相談が、非常に多かった。
これについては、株主総会について経済産業省がQ&Aを出した。
株主総会(オンラインでの開催等)、企業決算・監査等の対応
https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai.html
株主総会運営に係るQ&A
https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai_qa.html
経済産業省の回答は、「株主総会を開催するリアルの「場所」を設けつつ、オンライン等での参加/出席を認める株主総会を実施することは、現行法上可能です。」
というものであった。
法務省もアナウンスした。
定時株主総会の開催について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00021.html
結局は、「日時」「場所」を決めて、そこで開催をする、オンライン(zoomなど)で繋いで出席と扱うことは構わないが、その「開催場所」に誰もいないというのはアウト、ということである。
イメージとしては、法人の事業所の一室で代表理事がzoomで参加者を繋いで開催すれば、OKである。
各種団体の総会というのは、ホテルを借りて、総会は15分か30分、あとは社員や関係先を招いて宴会、というパターンが多い。
団体からの質問で多かったのは、「全員から委任状だけもらって開催はしなくてもよいか」「密で総会ができない」というものであった。
これに対しては、
「場所と時間を決めて集まらないと、議事録がうそになり、議事録を法務局に提出して登記したらその法人登記が嘘になってしまいます。」
「委任状出席が定款や法律などで認められている範囲まではいいが、委任状を行使できる人数にも制限があるはずで、最少人数は集まって、リアルの場で総会をやる必要があります」
「総会で、宴会をやる必要はありません(笑)」
「ホテルでやる必要もありません」
「委任状は極力集めて人数を絞り、会議室か、臨時閉店している店にでも集まって、事業報告や議案は書いてあるとおりと説明して、5分ほどで全議事を承認して、すぐ解散すればいい」
とお答えしていた。
みなさん驚いておられたが、頭の整理はしていただけたようである。
しかしながら、換気をするなど対策しながら、たっぷり2時間とか半日かけて、リアルのみで、理事会や総会をされている団体も、もちろん存在する。
ZOOM対応がそもそもできる団体や理事役員がそもそも多くはない。
繋いでもらって参加する側のインフラが弱ければ簡単に接続トラブルになる。
繋がらないトラブルが起きれば参加を希望したのに参加できなかったとして総会の手続的瑕疵による無効取消事由を問われる可能性もある。
だからといってきちんとオンラインが繋がるまで全員が待たされるのは大迷惑である。
また、ほとんどの団体で、オンライン出席のための規程がそもそも整備されていない、ということもある。
オンライン会議のリテラシーの低い出席者も多いし、リアルで集まった方が充実するし、議事も円滑である。
なお、株主総会でオンライン出席を認めるかどうかは、上場企業では当然検討事項ではあるが、多くの企業がまだまだ消極的なようである(オンライン議決権行使は従来からOK)。