西村法律事務所のWebサイトのタブ「珠玉のことば」https://www.lawfield.com/proverb.htmlに、私が心の拠り所とする書籍や心に刻み込まれた文章をアンソロジーとして集めているのでその中から抜粋して紹介する。
旧約聖書続編(外典。アポクリファ)のシラ書(新共同訳)から抜粋する。
旧約聖書の中で、「箴言」や、続編の「知恵の書」「シラ書(集会の書)」は、ユダヤ教・キリスト教信者の枠にとらわれることなく、感銘を受ける、まさしく珠玉の箴言が並んでいる。その珠玉の箴言に一貫するのは、神への畏れと敬いである。
神への畏れと敬いによって、人は謙虚になる。
洋の東西を問わず、神仏といった人間を超越した存在や真理を畏れ敬うことによって、人ははじめて傲慢不遜から免れて謙虚になり、正しい道理を受け入れるようになるように思われる。
艱難辛苦に見舞われたとき、心を強く持ちたいとき、勇気を奮い起こしたいときに、「神よ、勇気と力を与えたまえ」と念ずるのが、「ラインホルド・ニーバーの祈り」に限らず、キリスト教徒の習いだろうし、ユダヤ教の聖典である旧約聖書は全編そういった祈りに満ちている。
戦国武将や現代人が不動明王や毘沙門天に祈るのも、浩然の気に文天祥や浅見絅斎や吉田松陰が心奮わせるのも、祈りが、勇気と力の拠り所、源泉だからである。
以下抜粋。
主を畏れることは、誉れと誇り、幸せと喜びの冠である。
主を畏れることは、心を楽しませ、喜びと、幸福と、長寿をもたらす。
主を畏れることは、知恵の初めである。
理不尽な憤りは、身の破滅を招く。
辛抱強い人は、時が来るまで耐え忍ぶ。耐え忍んだ後には、気分が晴れて爽快になる。
主は誠実と柔和を喜ばれる。
主に仕えるつもりなら、自らを試練に向けて備えよ。
災難の時にも取り乱すな。
何事をなすにも柔和であれ。
偉くなればなるほど、自らへりくだれ。
心のかたくなな者は、晩年になって苦しむ。
罪人は、罪に罪を重ねる。
高慢な者が被る災難は、手の施しようがない。
飢えている人を悲しませるな。
途方に暮れている人を怒らせるな。
いらだっている人をさらに苦しめるな。
貧しい人から顔を背けるな。
不当に扱われている者を加害者の手から救い出せ。
正しく時を見極め、悪から身を守れ。
自分の気持ちを裏切ってまで、他人にこびるな。
必要なときに発言するのをためらうな。
愚か者のいいなりになるな。
権力者にへつらうな。
真理のためには、命がけで戦え。
軽はずみな口を利くな。
仕事を怠けたり、なげやりにしたりするな。
家の中で獅子のようにふるまうな。
自分の家の召使いたちを気まぐれに扱うな。
「わたしは、何でも思いのままだ」と言うな。
「だれもわたしを支配できない」と言うな。
「罪を犯したが、何も起こらなかった」と言うな。
主は忍耐しておられるのだ。
主は哀れみだけでなく、怒りをも持ち、その激しい怒りは罪人たちの上に下る。
自分の見解には確信を抱き、発言には一貫性を持たせよ。
人の言葉には、速やかに耳を傾け、答えるときは、ゆっくり時間をかけよ。
名誉、不名誉も言葉次第、舌は身を滅ぼすもととなる。
陰口をたたく者と呼ばれるな。
舌で人を陥れるな。
友となるべき時に、裏切って敵となるな。
のどの麗しい声は、友人を増やし、舌のさわやかな語りかけは、愛想のよい返事を増やす。
多くの人々と親しく挨拶を交わせ。
だが、相談相手は千人のうち一人だけに限れ。
友をつくるときは、試してからにせよ。
すぐに彼を信頼してはいけない。
都合のよいときだけ友となり、苦難のときには、離れてしまう者がいる。
また、心変わりして敵となる友もいて、争いでお前が吐いた悪口を暴露する。
食事のときだけ友であり、苦難のときには、離れてしまう者がいる。
お前のはぶりがよいと、お前のようにふるまい、お前の召し使いたちになれなれしくする。
しかし、お前がおちぶれると、背を向け、お前の目から身を隠す。
誠実な友は、堅固な避難所。
その友を見いだせば、宝を見つけたも同然だ。
誠実な友は、何ものにも代えがたく、そのすばらしい値打ちは計り難い。
誠実な友は、生命を保つ妙薬。
主を畏れる者は、そのような友を見いだす。
主を畏れる者は、真の友情を保つ。
悪を行うな。
そうすれば、悪はお前を襲わない。
不正から遠ざかれ。そうすれば、不正がお前を避けるだろう。
ためらいながら祈ってはならない。
心を痛めている人をあざ笑うな。
どんな偽りも口にしてはならない。
うそが身につくと、ろくなことにはならない。
罪人の仲間に加わってはならない。
金のために友を裏切るな。
賢くよい女をめとる機会を逃すな。
彼女のもたらす喜びは、黄金にまさる。
誠実に働く召し使いや、懸命に尽くす雇い人を、冷遇するな。
賢い召し使いを心から愛し、その自由を奪ってはならない。
生きとし生けるもの、すべてに恵みを施せ。
また、死者にも思いやりを示せ。
泣く人とともに泣き、悲しむ人とともに悲しめ。
病人を見舞うのをためらうな。
権力者と争うな。
金持ちとけんかするな。
口数の多い者と争うな。
粗野な者をからかうな。
老人たちの話を聞き逃すな。
傲慢な人の挑発に乗るな。
お前の力量を超えて保証してはならない。
愚か者と相談するな。
内密にすべきことを他人の前で公にするな。
相手構わず、人に心を打ち明けるな。
ふしだらな女に近づくな。
娼婦にうつつをぬかすな。
古くからの友人をなおざりにするな。
罪人の成功をねたむな。
不信仰な人の成功をうらやむな。
命を奪う力を持つ権力者から遠ざかれ。
できるかぎり隣人を見極め、知恵ある人と相談せよ。
正しい人たちと食事を共にし、主を畏れることを、お前の誇りとせよ。
口数の多い者は、町中で忌み嫌われ、口の軽い者は、その言葉によって憎まれる。
隣人のどんな不正な仕打ちにも、憤りを抱くな。
また、決して横柄なふるまいをしてはならない。
身に着けている衣服を誇るな。
栄誉を受けるときでも。おごり高ぶるな。
よく調べないうちに、とがめてはならない。
まず、じっくり考え、その後に叱れ。
よく聞かないうちに、答えてはならない。
他人の話に割り込むな。
自分にかかわりの無いことで、人と争うな。
ならず者たちの言い争いに加わるな。
だれかれかまわず家に招き入れるな。
彼は、善を曲げて悪に変えようと狙っており、申し分のない行いにさえ、批難を浴びせる。
他人を自分の家に同居させてみよ。
もめごとでお前は頭を悩まし、身内の者からも疎まれる。
信仰深い人に善い業をなせ。
そうすれば報いがある。
信仰深い人に施せ。だが罪人には援助するな。
謙遜な人には善い業をせよ。
しかし、不信仰な者には施すな。
不信仰な者に施すあらゆる善い業は、二倍の悪となってお前に返ってくるだろう。
幸福なときには、真の友を見分けられない。
不幸なときには、だれが敵かはっきりする。
高慢な人と交われば、高慢な人間になる。
お前よりも力や金のある者と交わるな。
うまい言葉を並べ立てて、「お役に立つことはありませんか」と言う。
そして、ごちそうを振る舞って、お前を恐縮させ、今度は二度も三度も搾り取り、最後には、お前をあざ笑う。
その後は、会っても知らぬ振りをし、お前を無視して顔を背ける。
用心せよ。だまされることのないように。
権力者に招待されたら、一応遠慮せよ。
深入りするな。だが、遠ざかってもいけない。
彼と対等に話ができるなどと、思い上がるな。
援助するときには、相手を傷つけるな。
施すときにも、相手をおとしめる言葉を吐くな。
親切な言葉は、高価な贈り物にまさるではないか。
情け深い人は、両方とも備えている。
愚か者は、おもいやりがなく、小言ばかり言う。
欲望にひきずられるな。
情欲を抑えよ。
享楽にふけるな。
酒におぼれる労働者は、金持ちにはならない。
酒と女は、聡明な人の思慮を奪う。
口を慎む人は、平穏に暮らす。
うわさ話は繰り返すな。
友人について、また敵について、何も語るな。
罪とならない限り、人の秘密を明かすな。
うわさを聞いたら、腹の中に納めておけ。
うわさの渦中の人には、問いただせ。
彼は何もしていなかったのかもしれない。
彼は何も言わなかったのかもしれない。
しばしば中傷にすぎないから。
友をののしると、友情は壊れる。
悪口、高慢、秘密の暴露、だまし討ち、こういうことをすると、友人は皆逃げていく。
逆境にあるときは、ずっとそばにいてやれ。
人はどんなときにも、貧しい境遇を軽蔑したり、知性に欠ける金持ちを、賞賛したりすべきではない。
物の売り買いには、不正行為が入り込む。
心から主を畏れ敬わなければ、その家は、驚くほど急速に落ちぶれていく。
復讐する者は、主から復讐を受ける。
人が互いに怒りを抱き合っていながら、どうして主からいやしを期待できようか。
掟を忘れず、隣人に対して怒りを抱くな。
いと高き方の契約を忘れず、他人のおちどには寛容であれ。
口論に加わるな。
口論は頑固さが加わると、激しさを増す。
貧しくても健康で体力のある方が、裕福で病気に苦しんでいるよりはよい。
強じんな精神は、莫大な財産にまさる。
体の健康にまさる富はなく、心の喜びにまさる楽しみもない。
悲しみに負けて気力を失うな。
あれこれ思い悩むことはない。
朗らかな心は、人を生気にあふれさせ、喜びは長寿をもたらす。
気分を変えて心をふるいたたせ、悲しみを遠くに追い払え。
ねたみや、怒りは寿命を縮め、思い患いは人を老けさせる。
いずれにもまさるのは、(子や業績より)非のうちどころのない妻である。
いずれにもまさるのは、(酒や音楽より)知恵を愛すること。
いずれにもまさるのは、(笛や竪琴の快い調べより)楽しい会話。
いずれにもまさるのは、(愛らしさや美しさより)野に生える若草。
いずれにもまさるのは、(友人や仲間との出会いより)妻が夫と共にいることである。
いずれにもまさる支えは、(金銀より)良い助言である。
いずれにもまさるのは、(富と力より)主を畏れること。
主への畏れがあれば、何物にも事欠かず、ほかに助けを求める必要はない。