秀丸メール(3) 迷惑メールフィルター

秀丸メールの迷惑メールフィルターは、なかなかに秀逸である。

 

初心者であれば、迷惑メールフィルターをONにすればほぼそれだけで十分に機能する。操作方法は以下に解説がある。

 

迷惑メールフィルターの設定方法
https://hide.maruo.co.jp/software/mailsetup/spamfilter.html

 

メニューの、設定→全般的な設定→迷惑メール対策→「迷惑メールフィルターを使う」にチェックする。

 

設定→全般的な設定→迷惑メール対策→迷惑メールフィルタの設定→4つのチェックを全て入れる(「迷惑ワードの自動アップデート」「発信国フィルター」「英語以外の外国語を迷惑メールとする」)。「URLチェッカー」の設定は初心者には難しいのでチェックしなくてもよい。

 

これだけである。

 

そうすると、迷惑メールのほとんどには、メール一覧の左枠に赤い×印が、自動的につけられる。

 

迷惑メールの振り分けは、右クリック→簡単振り分け設定で「X-TuruKame-Fitler:が”spam”で始まる」の選択肢を選べばよい。

 

こうすれば、迷惑メールはほとんどが迷惑メールフォルダに納まる。

 

この差出人のメールは迷惑メールに分類されたくないと思えば、メール上で右クリックで「信頼できる差出人」に登録すれば、以後は迷惑メールに分類されない。

 

設定→全般的な設定→迷惑メール対策→迷惑メールフィルタの設定→詳細設定→その他の設定、で、

「自分から自分に送ったメールの宛先を信頼できる差出人として自動登録する」(cc:やbcc:で送った先を自動登録する)、「アドレス帳に登録したメンバーを信頼出来る差出人として自動登録する」ことも可能である。

 

迷惑メールフィルターの詳細設定や、アルゴリズムがどうなっているかも、開発者は説明している。

 

秀丸メール標準・迷惑メールフィルター(TkFilter.tkf)ヘルプ もくじ(Ver7.00対応版)
https://help.maruo.co.jp/tkfilter/html/IDH_CONTENTS.html

 

「迷惑ワード」を登録することもでき、海外からの卑猥なワードなどを登録しておけば、自動的に迷惑メールにふりわける。

 

「信頼ワード」(その単語があれば迷惑メール扱いされない)の登録もできて便利なものではあるが、これはEmotetのことを考えると登録するのは善し悪しがあって微妙である。

 

「発信国フィルター」というのがあって、特定の国からの外国語メールを迷惑メール扱いすることもできる。

 

URLチェッカーも搭載されている。

 

設定できる迷惑メール対策のオプションは多すぎて解説しきれないほどである(全部チェックすればいいというわけではない。反作用も起きるので)。

 

極めつけは、秀丸メールユーザーが、自分で迷惑メールフィルターのアルゴリズムを育てる事ができることである。

 

迷惑メールフィルターの設定方法
https://hide.maruo.co.jp/software/mailsetup/spamfilter.html

 

の末尾に、「迷惑メール収集についてのご協力のお願い」という記述があるので、それに従い「ファイル」メニューの「そのまま転送」で開発者に転送する。

 

そうすると、開発者がその情報を取捨選択して「tkf_IPList.txt」というファイルに迷惑メールの送り元のIPがデータベース化され、迷惑メールを送りつけるIP(日本国内の普通のIPは登録されない)を迷惑メール判定する。

 

2048行(2048個のIP)で古いものは更新される(3ヶ月程度)が、同一IPでの発信は長期に亘ることはないから、実際に申告してみるとアルゴリズムの強化としてそれなりに有効であることがわかる。

 

このように、秀丸メールには、迷惑メール対策が、オートマチックでも十分なものが備わっている上に、マニュアルでのオプションとして、微に入り細に入り、迷惑メール対策を設定することができるようになっていることがわかる。

 

これは、開発者が、長年のユーザーの要望やウイルス添付メール、迷惑メール、フィッシング詐欺メールの動向を踏まえて、取り入れてきた結果で、使い勝手もよく、誠に賞賛されるべきものと思う。

 

秀丸メールの作者の斉藤秀夫氏が、インタビュー

「もしマイクロソフトから買収提案があったら?」 人気テキストエディタ「秀丸」開発者に聞く“スタートアップ観”
https://coralcap.co/2022/05/hidemaru-02/

で、
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ーー秀丸はずっと人気のソフトウェアなので、ずっと続けていると、たとえば、周りの方から「出資したい」とか、「買収したい」という声もあるんじゃないでしょうか。

斉藤さん:いえ、なかったですね。

ーーMicrosoftから「買収したい」という声もなかったですか?

斉藤さん:全然ないです。ただ、もし「買ってあげる」という話がきたら、売っていたかもしれないですね。社員を含めて、会社を丸ごと買収するというパターンも多いですものね。ただ、うちはそこまでの話はなかったです。
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と語っている。

 

地道な良品を作るより、見た目と金儲けが優先してユーザービリティと安全性を後回しにしてきたMicrosoftでは、たぶん秀丸メールや秀丸エディタのアプローチには関心がなかっただろうな(笑)とは思う。

 

国産のメーラーとしては、ジャストシステムのShurikenが長く存在し、秀丸メールほどではないものの快適なメーラーだったが、一般販売向けの開発継続は中止となってしまった。

 

もはや、淘汰により、Windows向けメールクライアントには、まともな選択肢がほとんど失われている、悪貨が良貨をなんとやら、と感じているのは私だけではないのでは無かろうか。

 

秀丸エディタ&秀丸メールが仮に大手企業に買収されてしまえば、儲からないとして、あっという間に開発中止に追い込まれてしまうようにも思われる。

 

秀丸メール(&秀丸エディタ)は、開発者陣が健在な間は知る人ぞ知るメーラーとして愛され続けると思うが、もし代替わりとなるなら、心ある後継者で開発が継続されるなり、オープンソース・プロジェクトとして存続してもらいたいと思うばかりである。

 

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。