メールクライアントソフトとして、秀丸メールをかれこれ15年ほど使い続けている。
秀丸メール(秀まるおのページ サイトー企画)https://hide.maruo.co.jp/software/tk.html
秀丸メールは、 V1.01 が2001年3月27日に リリースされ、もう20年近くになる、超ロングセラー製品である。
シェアウエア(2000円)であり、バージョンアップ料金は要らない。
秀丸エディタ(4000円)を購入すれば、秀丸メールは無料で使える。
なんという優れたコストパフォーマンスだろう。
優れているのはコストパフォーマンスだけではない。
機能的にも、動作速度など快適さでも、15年前も現在も、ずば抜けてトップのメールクライアントソフトだと思っている。
近年、メールクライアントソフトは、ほとんどのソフトが、発売中止、または更新を停止してしまっている。
理由は、MicrosoftのWindows標準メールクライアントに駆逐されて、わざわざ有料のメールクライアントソフトが買われなくなっているという事情が一番大きいだろう。
もう一つの理由は、Gmailが普及したことである。
PCではWindows標準メールクライアントか、WebブラウザでGmailのメールを見る、スマートフォンではGmailアプリを使って複数のメールアドレスもGmailアプリで送受信する、という人の割合が非常に増えてしまった。
有料のメールクライアントソフトはMicrosoftとGoogleにより駆逐されてしまった、ということであろう。
しかし、Windows標準メールクライアントやGmailは、大量のメールや文書を扱うヘビーユーザーには、なんとも速度も遅く、効率も悪く、まだるっこしい、低機能なメールクライアントである。
Windows標準メールクライアントやOutlookでは、呆れたことに20年近く問題点を指摘されながら、未だに、winmail.dat への文字化け問題が解消されない。
悪貨が良貨を駆逐している感はある。
今、生き残っているメールクライアントソフトといえば、秀丸メールのほかは、Becky! 、Justsystem Schuriken 、Thunderbird くらいであろうか。
現在でも、これらの中で総合的に見て、秀丸メールに軍配が上がる。
そもそも15年前に私が秀丸メールに乗り換えたのも Schurikenからであった。
秀丸メールのメリットは、以下のように多彩である。
(1)迷惑メール判別、振り分け機能が優れている
(2)受信したHTMLメールを、一旦テキスト表示するので、スパムメールのURLにアクセスすることがない。
(3)送信メールも、初期設定から、テキスト形式で送信するようになっている。
(4)動作が非常に高速である。1フォルダに何万通のメールがあっても一瞬で起動する。
(5)メールの表示や検索が非常に高速である。
(6)メール本文の置換など編集作業で、秀丸エディタと同様に正規表現も使える。
(7)Gmailのメールも、秀丸メールで受信ができる(但しGmail側の設定で、pop受信できるように設定する必要がある)。最新のGmailのOAuth認証にも対応している。
(8)主要なプロバイダのサーバー設定情報をプリセットすることが可能。マルチアカウントは当然可能。他のメールアドレスのサーバー設定情報をコピーして新しいメールアドレスのアカウントを作成することもできる。
(9)C:\tsurukamedata フォルダに、全てのメールと設定ファイル(.iniファイル等)が格納されているので、C:\tsurukamedata フォルダをコピーするだけで、フォルダや振り分け設定も含めて過去に送受信したメール環境の移行が完了する。
(10)起動時パスワード設定が可能
(11)テンプレートを作成し、デスクトップにショートカットを作成すれば、to:やsubject:や本文の頭書きなどをプリセットしたメール作成画面が立ち上がる。
たとえば、
“C:\Program Files (x86)\HidemaruMail\TuruKame.exe” newmail Template=”打合せ記録”といった風。
そのほかにもいろいろメリットはあるが、際立って優れた点は、以上のようなものだろう。
Gmailと比較する。
最近、多くの人が「便利なメーラー(メールクライアント)」と推奨するのがGmailである。
Gmailをブラウザで閲覧するのがベストだというのである。
理由としては、スマホ・タブレット・PC、どれでも、同じように閲覧、受送信ができるからというのである。
これは、どうも、@gmail.comというアドレスが、便利である、ということが大きいように思われる。
でも、メールクライアントとしての、スマートフォンアプリや、ブラウザ上で開くgmailクライアントを「便利である」といわれると、違和感は隠せない。
確かに私も、gmailは、スマートフォンでは使用している。
一方、PCでも、秀丸メールでもGmail アドレスのメールを、pop・smtp送受信している。
しかし、私の場合、メインに使うメールアドレスはgmailアドレスではない独自ドメインアドレスである。
その独自ドメインアドレスのメールをわざわざgmailクライアントで送受信することはない。
メールを閲覧・整理し、文章をタイピングするメールクライアントは、圧倒的に秀丸メールが便利だからである。
私は、スマートフォンで送受信できるという他に、Gmailを、メールクライアントとしては、特に便利と感じたことはない。
Gmailに対する印象は、まずもって「遅い!」である。
そもそも、送ったメールがGmailまで届くのが遅い。
逆にGmailから送信した場合も同じである。
さらに、メールクライアント(たとえば秀丸メール)からGmailのサーバーにアクセスして受送信すると、そのサーバー転送速度の遅さに、けっこう唖然とする。
本当に遅い。
格安レンタルサーバーすら、こんなに遅くはない。こんなに遅かったら苦情ものだろう。
別にこれはメールクライアントの場合に限らず、ブラウザで閲覧している場合でも、スマートフォンのアプリGmailで閲覧している場合でも、メールの到着の遅延は発生する。
また、Gmailのアプリやブラウザ閲覧版は、フォルダ振り分け機能がない。
多数の送受信先=顧客毎にメールを振り分けて、顧客毎にやりとりの流れの一覧性を高めておきたいというユーザーにとっては、Gmailは、せめてフォルダ振り分けに長けたメールクライアントでも使わないと、選択肢に入ってこない。
Gmailをメインのメールアドレスにするにしても、結局は、秀丸メールをメールクライアントとして、独自ドメインアドレスのpop・smtp送受信や、Gmailのpop・smtp送受信もできる(Gmailは、Gmailアプリでもブラウザでも閲覧できるようにはしておく)ようには設定してしまうことになるだろう。
Gmailのメールは、メールクライアントでもダウンロードしてローカルに保存しておくことで、より快適になる。
ひとつは、Gmailのサーバー上のメールを、一定期間経過後に、自動削除することができる。
一定期間経過後自動削除する設定をメールクライアント側でしておけば、Gmailのメールサーバーのデータのダイエットになる。
これで、古いメールをいつまでもGoogleのクラウド上に置かないで済む。
仮に、何年分ものメールデータをGmailのサーバー上で削除せず蓄積して、いざ、Gmailのサーバーからエキスポートなど試みようものなら、エキスポート作業に、一体何時間、何十時間かかるかわからない。
Gmailのサーバーは非常に速度が遅いからである。
メールクライアント側からGmailのサーバーのメールデータを定期的に削除する際も速度は結構遅いと感じるくらいである。
また、Gmailサーバーで検索するより、ローカルのメールデータを秀丸メールで検索する方が、はるかに速い。
さて、秀丸メールでは、ローカルのc:\tsurukameフォルダにメールデータが全て入っている。
単にフォルダをコピーすれば、他のWindowsPCですぐ読める。振り分け設定もそのままコピーされる。
あまりに簡単である。
しょっちゅうPCを買い換えて、蓄積したメールを移行しなければいけない者、複数のWindowsPCを使い分けている者にとっては、秀丸メールでは移行が極めて簡単なことが、大変有り難い。
PC移行のときの、メールの振り分けの設定のやりなおしなどは、苦行の類いであるが、Microsoft標準メールクライアントやOutlookでは長年これが全く改善されない。
秀丸メールにおいては、ローカルのPCの、c:\tsurukameフォルダを、別のPCのc:\にコピーするだけである。
移行に要する時間は、HDDやSSDのコピーに必要な時間だけに過ぎない。
大量のメールを扱うほどに、秀丸メールの優秀さに及ぶメールクライアントは存在しない、というのが、私の長年の到達点である。
最近、ほとんどのメールクライアントが開発を中止してしまったために、余計に秀丸メールの優秀さと健在ぶりが目立つようになっている。
次回(2)では、秀丸メールの迷惑メールフィルター機能やテンプレート機能について紹介したい。
(続く)
秀丸メール(2) ウイルス対策に強いメールクライアント
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