荀子について(2)

以下では、荀子の中から、心に響く箇所を我流で抄訳・意訳してみたい。

 

勧学篇第一

 

「学びは決して中断してはならない。絶えず続けなければならない」

 

「青はこれを藍より取りて藍より青し」

 

「君子広く学びて日に己を三省すれば智明らかにして行い過ち無し」

 

「終日立ち止まって悩み考えていても、わずかの時間学ぶことに及ばない」

 

「良い結果にも悪い結果にも必ず原因がある。怠慢で身を忘れれば厄災を生み、よこしまで穢れた心は人の怨みを招く」

 

「土が積もれば山となる。

 

千里の道も一歩を踏み出さずにはたどり着かない。

 

善徳を積めば神聖な智恵や心が備わる。

 

学びは終わることがない。

 

学びは死して後止む。

 

わずかな時間も学びを脇において怠ってはならない。

 

礼(倫理)、道徳の極みに到るのが学びの目標である。」

 

修身篇第二

 

「善を見れば我が身に置き換え参考にし、悪を見れば我が身に置き換え反省する。

 

自分を咎める者は師だと思い、自分を肯定してくれる者は友だと思い、自分に阿諛追従する者は賊だと思え。

 

飽くことなく善を求め、諫めを重んじて身を戒めよ。」

 

「善を人に先立って行え。善をもって人と和せよ。」

 

「自分の血気が剛強に過ぎると思えば血気を和らげて周囲との調和を図れ。

 

深遠に思慮を巡らせすぎていると思えばそれを平易に説くようにせよ。

 

勇猛な者は道理に従うことを大切にせよ。

 

自分が拙速だと思えば立ち止まって考えることを大切にせよ。

 

偏狭だと思えば視野を広く持て。

 

心卑しく利に聡いなら志を高く持て。

 

良き師を持ち、礼(倫理)により自分を規律することこそ、気を治め、心を涵養する技術である」

 

「高い志を持ち道義を重んじれば富貴な者に怖じけることはない。

 

怖じけないのは外面より内面を重んじるからである。

 

大変なことでも心を落ち着かせてこれをおこない、利が少なくとも正しければこれをおこなえ。

 

良い商人は損だからといって商いを止めないし、君子は貧窮だからといって求道を怠ることはない。」

 

「恭しく、慎み深く、真心があり、言動が倫理に沿って正しく、情愛が心からのものであれば、必ず人から尊ばれる。

 

労苦を進んで引き受け、楽は人に譲り、謹厳で真面目、誠実で、己の職分をよく守り仕事に精通すれば、必ず人から信頼され任される。」

 

「駄馬でも一日十里を行けば駿馬のように最終的に千里を行くことができる。

 

跛行する亀でも千里を歩くことができる。

 

限界まで急げば骨折したり筋を切るものである。

 

遅くとも恥じることなく歩みを積み重ねよ。

 

速い遅いはあっても、已まず続けることで、たどりつけるのである。

 

君子は、高度で極端な形而上の議論をせず、奇を衒ったりおおげさなことを行わない。

 

これは、できないからではなく、自分の目標に向かってひたすら歩んでいるからであり、あえてそういった奇を衒ったおおげさな言動を自制しているのである。

 

人間の才能には、駿馬と跛行する亀ほどの差は無い。

 

ひたすら努力して行動するか、しないかの差なのである。

 

近いところでも、歩まなければたどり着けない。

 

小さな事でもやらなければ成就しない。

 

怠って喜んで暇を過ごす者はよい結果は得られない。」

 

「倫理や理法を好み、志を篤くもって自分のものにせよ。

 

理法を知っていても、その意味まで理解していなければ不安定であり、理法の意味を理解することで悠々と穏やかにことに臨むことができる。」

 

「君子は、利を求むる欲は薄い。

 

君子は害となる要素を自分の身から遠ざけることには機敏である。

 

君子は辱めを受けるような言動を避けて慎み恐懼する。

 

君子は道理にかなったことは勇気を持って敢然と行う。」

 

「君子は、貧窮でも高い志を忘れない。

 

無私と求道の精神(「仁」。無私・志道・克己・利他・謙譲などの精神態度)があるからである。

 

君子は富貴になっても恭しく謙虚である。

 

権勢を誇らないように自制するからである。

 

君子は、安逸な生活ができても血気を奮い起こすことを怠らない。

 

理にかなった心構えを意識し怠らないからである。

 

君子は疲れてもだらしなくならない。

 

人と交わることを大切にしているからである。

 

君子は人に怒ったからと言って過度に責めたり奪うこともなく、喜んでも過度にはしゃいだり散財することもない。

 

礼(倫理)の心が私情に勝っているからである。」

(3)に続く

荀子について(1)
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西村幸三

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